2-50 ヴァンパイアの嫁
「人の気持ちをどうこう言う前に、登場人物に人の気持ちがあるとは思えない」尾張の言葉が私の胸に冷たく突き刺さる。「そういう性格、背景、設定だったのだろう。それを分析した中でクリティカルな行動を起こせば想定した結果が得られる。今回はキミがたまたま、それをやっただけだ」
「じゃあ私が流しているこれは何?ねえ、何?私は登場人物なのよね?」私は温かい涙と鼻水だらけの手を尾張に突きつけた。これは紛れもないものだ。
しかし尾張は「汚いな...」と数歩下がると「キミもそういう設定で、そういう筋書きをたどった結果なのだろう」と冷たく言い放った。
心が軋む音がする。私のあふれるこの気持ちは結果なのだろうが、筋書きとそんな簡単な言葉で表せるものではない。そんな雑な言葉で言い表さないでほしい。
「私はルリも、お城にいる非適合者だった人たちも、この世界のヴァンパイアとか、魔物とか、この町の人とか...みんな幸せになれるような終わり方を目指したかった...それだけなの」
「それは理想、できることは限られている」
尾張の言うことは冷静で、理論的には正しいのだろう。ただそこには夢も希望も何もない。
「...物語くらい、ハッピーエンドで終わっていいじゃない」
この言葉は私の言葉、決して筋書きではない。私の信念であり、尾張にもそう思って行動してほしいのだ。
尾張は深くうなずいた。「確かにそうかもしれないが、すべての物語が幸せになるわけではない。不幸があって幸せが引き立つし、もしかしたら今回の物語は一部、二部、のようなそんな中の一部に当たる部分で、二部では幸せな展開が待っているのかもしれない」
空気を響かせる音は地響きに変わり、地面がわずかに揺れている。
「少なくともキミはこの物語でいろいろと学んだはずだ。すべては自分の思い通りにならないし、そう思っているうちはただの傲慢、できることとできないことを精査するべきだ」
尾張は宙に浮く光る文字に手を近づける。「リンクが消えてしまう前に行くよ」座り込んでいる私の腕を掴んで思い切り引っ張った。
私はその瞬間、光る文字の文字列に見覚えがあることに気付いた。しかしすべてを読み取れず、光る文字に尾張と共に吸い込まれる。
最後に大きな月が私の目に映る。その光は私の心を溶かすように包み込み、ユリとしての思い出と物語に残した悔しさを私の胸に強く刻んだ。
第2パート終了
■登場人物(私からの目線)
・おじさん:現実主義でそんなに好かない。
・私:名前が「アミ」ということが分かった。
・チート婆:この人がいたから私が「消滅」されずに済んだ。
・賀門花丸:結局、どんな姿をしているのだろう。
・ヴァンパイア:とても素敵に思えたけど、やっぱり裏の顔がある。
・タケミ:私の登場人物として間違った行動をしたことで豹変した人。物語での振る舞いを気を付けようと思った。




