2-42 ヴァンパイアの嫁
それがきっかけで少し尾張の筋書きからズレそうになってしまった、もしかしたらズレて物語の結びまで導くことができなくなる。そんな想像が私に行動を制限し、冷静に物事を考えられるようになった。
そんな私に試練は次々と押し寄せるわけで。
「そういえば、ルリ様は双子でいらっしゃいましたね」タケミは外を見ながら言った。
私はドキッとしたが平然を保ちつつ「ええ」と答えた。
「一卵性だとお聞きしておりますが、お顔はそっくりなのでしょうか」
「はい、そうですね」タケミは私をゆさぶっている。嫌な感じだ。できるだけ情報を出さないように聞かれたことだけを答えよう。
タケミは小さくうなずき、その後は会話がなくなった。聞いたところで私が多くは答えないことを理解したのだろう。
しばらくすると馬車が止まり、イチカワは扉を開けた。「着きましたよ」と声をかけて馬車から降りるためのステップを用意した。「足元お気を付けください」
私はルリの家を初めて見て、普通の家だな、と思った。二階建ての一般的でシンプルな住宅。言ってしまえばお隣さんとはデザインは違うが同じ家、という感じだ。
うさぎがモチーフのデザインが施されている門を開けてゆっくりと玄関まで歩いた。ドアの前に着いて気付いたのだが、インターフォンは門にある。登場人物上、私の家ではあるものの、いきなりドアノブに手をかけるのは気が引けた。ドアをノックするのも門から見ているタケミとイチカワにどんな風に映るのだろう。やはりドアノブに手をかけるのが先だろうか。
そんなことを考えていると、急にドアが開いた。
「おかえり」そこにはルリのホッと胸をなでおろす姿があった。大きく深呼吸をして、そして私に思い切り抱きつき「ごめんね」と小声でつぶやいた。私もルリの背中に手を回してギュッとしようとしたが、背後に影を感じた。
「失礼ですが、私もお邪魔して宜しいでしょうか」タケミだった。




