2-39 ヴァンパイアの嫁
「...そうかもしれないですね」私の質問は彼を追いつめている気がして、だけども本当の心境を覗けた気がして、しかしながら解決する手段は一筋縄ではいかない気がした。町の人とヴァンパイアの関係を大きく変えること、私にできるだろうか。
様々なことが交錯して、一度誰かに相談したい、そう思った。それは尾張の筋書き通り、町に戻ることになる。だから私は敷かれたレールを走ってみる。
「ヴァンパイア様、先日お城を抜け出した時、実は妹のユリに会いたいと思い抜け出しました」
「ほぅ」ヴァンパイアは興味を示したかのようにあごを触った。
「もしかしたらもう二度と会えなくなる、そんな気がしました。ただ森の前にたどり着いた時、この中に入っては私は魔物に食べられてしまう、そんな気がしました。そんな時にヴァンパイア様に助けられて...本当に感謝しています。私が町に戻りユリに会うにはヴァンパイア様の助けが必要です。どうか一度だけ、ユリに会うために町へ戻りたいのですが宜しいでしょうか」
「構わないよ」
私は『それは少し考えさせてもらおう』とか『ダメだ』とか、否定的な回答があるものかと思い何度か問答することを想定していたのだが、意外な回答に拍子抜けだった。
「いつ行きたいんだい?」
「そ、そうですね...明日の朝に出発したいのですが、いかがでしょうか」
「分かった。タケミ、手配をしてくれ」
「承知しました」
ポンポンと事が進んでいく。これは物語が順調に進んでいるということなのだろうか。




