2-25 ヴァンパイアの嫁 〜いざ、ヴァンパイアと面会
タケミは振り返り、アミの身だしなみを見た。「ヴァンパイア様との謁見となりますので、最後のチェックをさせて頂きます」
「ちょっと緊張します」ちょっとどころではない。得体のしれないヴァンパイアの待つ広間まで、いよいよ扉一つとなった。ひどく筋肉が萎縮する。
そんな私を察して、タケミは諭すように言った。「緊張はあって良いのです。常に気を張れるようになります。ですがヴァンパイア様がルリ様を選んだのですから、自信をお持ちになるべきです」タケミは私の衿を正して背後へ周ると、強く肩を握った。「たった一歩を踏み出すだけです。後はなんとかなるでしょう」そしてタケミは私の腰もとに手を当て、優しく揉んだ。
「ひゃぁっ…」私は腰が引けるようにして前へ何歩か進んだ。
「一歩、歩けましたね」タケミは私に二コリと微笑みかけた。
「緊張はなくなりましたよ...」そうはいうものの、強張った気が緩み、改めて引き締まった。
私は扉までの数段の階段を昇り振り返ると、お辞儀をして送り出すタケミがいた。その美しいほどのお辞儀を見て、残りの階段を昇るにつれて緊張が高まっていく。目の前の扉からは威圧のような黒い何かが漏れ出ているのが分かり、そんなことはないのだがガタガタと音を立てて扉が騒いでいる気がした。
ドアノブに手をかけて、重厚に感じる扉をゆっくりと開けた。部屋の奥に見えた、それはヴァンパイアだ。ヴァンパイアの鋭い瞳孔が私を捉えると、その瞬間、体を揺らすほどドクッと心臓が鼓動を打った。すっかりひるんでしまい、ヴァンパイアに近づくことが恐い。




