2-21 ヴァンパイアの嫁 〜ブックマーク・賀門花丸
私は化粧台の前にある腰までゆったりと包み込んでくれる椅子に腰かけた。大きな鏡を前にしてみると圧倒されてしまう。こんな大きな鏡を見るのは初めてだし、こんな世界なのだから、もしかしたら鏡に問いかければ鏡とお話しできたりして。そんなことをするのは周りに人がいなくても恥ずかしさを覚えてしまう。そんなことを考えてしまうとつい、鏡に映った私と対面してふふっと笑ってしまう。
「ん?」私はふいに小窓を見た。誰もいない。私は空耳を聞いたようだ。安心して改めて鏡を見ると、鏡の自分に目を疑った。
「アミ殿、今はどういう状況でござんしょう」鏡の自分は私に問いかけた。
私は口を動かしていないのに、鏡の自分が勝手に話している...だが『アミ殿』という言葉にハッと気が付いた。
「尾張さんなの?」
「いえ、拙者は『賀門花丸』という者、尾張殿の使いでござんす」
鏡の私が男声かつ特徴的な口調で話しているのだから違和感がある。
「あなたもあの栞から出てきたの?」
「そうでござんす。尾張殿からアミ殿の様子を見てきてほしいと命を受けたでござんす。さて、今はどういう状況でござんしょう」
「これからヴァンパイア様に会う予定、みたいだけど、私も詳しくは分からないわ」
「ヴァンパイア殿と謁見の予定、と。承知つかまつった。そのように尾張殿に伝えるが故、これにて―」
何やらせっかちな様子であり、花丸ともう少し話をしてみたいと思ったので問いかけた。




