3-74 転生免許
「だったら企院さんは抱きしめるんですか!?抱きしめたエチワカと私の間にゴブリンの頭だけがあるんですよ?抱きしめますか」
企院は少し考えると「ゴブリンの頭をハタくだろ」と私と同じ答えを出した。
「でしょ?なんだって頭だけっていうのは気持ち悪いし怖いんです」
「なるほどなぁ」企院は物陰からコチラを窺うエチワカにおいでと手招きした。
エチワカは臆病な猫のように、まるでどこかの床が抜けるのを恐れているかのように緊張しながら企院に近付いた。
「おーヨシヨシ。よく来れたな」企院はエチワカの頭を雑に撫でると、エチワカは企院の手から離れようと頭を大きく振った。「おい、人によってはな、嫌いなものとか怖いもの、苦手なものがあるんだ。お前は人が苦手なものを突きつけて嫌がられたんだ。お前が良くてもダメなことはある。分かったか」
私は鼻でフンと鼻を鳴らし、そんなことで分かってもらえるわけないのに、と冷めた目で二人を見た。
「分かった」とエチワカは答える。
分かったの?私は耳を疑いギョッとした。
エチワカは企院の手から離れることができると、私の背中に隠れた。「企院、苦手。分かった。イヤなこと分かる」
私はピカンと理解した。「なるほど、企院さんが自らをエチワカに差し出して、エチワカに嫌悪感を生んだ、と。私がゴブリンの顔がイヤなように―」
「誰がゴブリンの顔だ」企院は鬼の形相になると、エチワカがヒッと震え上がった。
「企院さん、エチワカが怯えるのでそんな怖い顔をするのはやめて下さい」
企院は眉を吊り上げ口元をピクピクと動いた。「おいおい、私はそんなに怒ってないし、優しく接してるつもりだが」企院はさらに迫った。「それにこの顔は生まれつきだ!」
私たちは同時にひぃ、と首を絞められたように鳴いた。




