3-72 転生免許 ~一方その頃、手引は
手引はすでに調査を終えていた。
物語によってはあるのに無いものがある。それはアミが初めにいた世界、蜃気楼のような白い世界もその一つだ。町の名前はあるが具体性がないために、町の原型がない。それが無い、である。しかし今回はあった。この物語の作者は、物語よりも先に舞台を先に、それもしっかりと作っていたらしい。
どこを歩いても見える、天までそびえ立つバベルの塔、いやここでは天霊府と呼ばれている。道の国は天霊を崇拝する宗教国家である。
道の国の都市『キンカ』は区画整備ができており、馬車が通る大通りを挟む歩道を歩きながら脇に入る道を覗くと商店が立ち並ぶ。脇道を覗く度に色が変わるので、飽きがこない。注意しないと人にぶつかってしまうほど混雑した脇道を通り抜けると、やがて広場に出る。さらに歩くと大きな建物が立ち並ぶ閑静な場所、そこには図書館や資料館、大学などの研究施設がある。ここからだと天霊府は見上げないと上の方は見えない。
この場所には何度来ただろうか。この都市もそうだが、ここまでリアルな街並みを表現しているのだから、調査内容もだいぶ濃くなった。
天霊とは…その内容を聞けばきっと尾張たちは驚くだろうな、と手引はニヤついた。
この近くに美味しいお茶を淹れる喫茶店がある。最後にそこに寄ってから尾張たちに合流しよう。
手引は匂いに釣られてお菓子も注文した。




