3-68 転生免許
「そしてカケノブさんは戦いに?」
「はい。魔物たちの侵攻の一報があり、カケノブが徴兵されました。激しい戦いだったと聞いています」
「それでマヨリさんはカケノブさんの帰りを待っていたの?」
マヨリは首を振った。「戦いが終わった報せを聞くまで私は村で待っていました。しかし待てども帰ってくる気配はなく、ただ時間だけがいたずらに過ぎていきました。もしかしたらケガでもして動ける状態ではないかもしれないと思い、このレミノリアに向かいました」
行動力が極端に高いように思えた。愛する人がいれば、誰でもこのようになるのだろうか。私は相槌を打ち、マヨリの話に耳を傾けた。
「残念ながら、カケノブは見つからず、代わりに―」マヨリは立ち上がるとあの箱を持ってきて、一つのペンダントを私たちに見せた。「このカケノブのペンダントが見つかりました。この場所でです…」そのペンダントはカケノブと書かれており、戦いに参加した全員に渡される物だ。「戦場はひどい有様でした。草原がえぐられたようにあちこちに焼け焦げた土が見え、歩けば足元には武器や甲冑が常に落ちていて、多くの遺体もありました…このペンダントが見つかった時、近くの遺体を調べてみました。しかしカケノブらしい人はおりませんでした。このペンダントだけが落ちただけなのかもしれない。まだどこかで生きているかもしれない。私は希望を持って救護所を探してみましたが、そもそも救護所はありませんでした」
「それで村に戻ったと」
「はい。それから年月は経ち、魔物との戦いも終わった後、この地に鎮埠と町を作る計画を知り、その計画に参加するため、同郷の同じ境遇を持つ人達とこの地に越してきました」
「この地にはそれがキッカケで住み始めて、この地でカケノブさんを探し、毎日鎮埠に祈りを捧げているのもそのためですね」
「はい、そうです。その後、府でカケノブの安否を確認しましたが、『行方不明』だと分かり、この地で帰りを待ちつつ、情報を集めることにしました」これがマヨリがこの地に執着した理由。そしてマヨリはあの幽霊を生み出したのだ。
「マヨリさんは幽霊を見たことがないと、以前に仰りましたよね」
「はい」
「長くレミノリアに住まわれているのに見たことがないというのは偶然かもしれませんが、違和感を覚えます」
「はあ…」マヨリはピンときていないようだった。
しかし私は構わず続ける。「昨夜のことです。私が鎮埠で幽霊調査をしていた所、あなたと出会いました」




