3-67 転生免許 ~調査結果
「尾張さん、昨日はありがとう」宿屋の廊下ですれ違った尾張にお礼をすると、尾張は眉間にシワを寄せて「ああ、なんてことないさ」と答えた。変な答え方をするなぁ、と思ったが、尾張ならなくもない返答なので深くまでは気にしなかった。
朝食後、企院とキョウトに昨日見た幽霊と私なりの考察を含めた話をした。
「そうか、それが本当なら幽霊調査は終わるかもな。以降は府が対応するだろう」
ただ、この調査の結果が良いものなのかといえば、違うと言い切れる。
最後のピースだけはまだ分かっていない。そのピースを手に入れるための技術や労力を私は持ち合わせておらず、どうしても府の協力が必要だった。府にいる高等の役人ならそれができる。府を動かすための確実な説得材料が必要であった。つまりは一人にたどり着く。
私とキョウト、そしてキョウトの背中に掴まるエチワカはマヨリさんの家に行った。「マヨリさん、こんにちは」
マヨリは恐る恐るドアを開き、隙間から「シスター様、こんにちは」と答えた。
「マヨリさん、少しお話をしたいことがあります。中に入れて頂いても宜しいでしょうか」
「えと…」マヨリはまるで拒んでいる様だったが、私は間髪入れずに言った。「カケノブさんのことでお伝えしたいことがあります」
すると扉が勢いよく開いたので、私は身を反らした。
目をギラつかせたマヨリはニュッと顔を覗かせ、時が止まったかのようにピタッと止まった。互いに目が合い、引き離せない。やがてマヨリは「どうぞ」と家の中へ案内した。
マヨリはお茶を出し向かいに座ると、興奮を抑えて静かに鼻で深呼吸をした。
その様子から、何度も何度もマヨリとカケノブの関係についてあくまで予想することしかできなかったが、確信に変わった。
「カケノブさんの話を―」
「生きているんですか!?カケノブが」マヨリは今にも掴みかかってきそうな勢いでテーブルに身を乗り出した。
驚いたエチワカはギョッとし、キョウトのマントを引っ張り自分の顔に被せた。
ハッとしたマヨリは「すみません…」と言うと椅子にゆっくりと腰掛けた。
気を取り直して私は「カケノブさんの話をする前に、マヨリさんとカケノブさんのご関係についてお話頂けますか。先ほどの態度で非常に懇意であるように想像できましたが…」
マヨリは観念したようにため息をついた。そして静かに語り始めた。「私とカケノブは、今の同盟の国のとある村で生まれ、幼い頃からの友人であり、時を経て恋仲となりました。それからは貧しいながらも楽しく幸せな時間を過ごしました…確かに懇意ですが、それ以上の関係です」マヨリは鼻をすすり、気が緩まないように力を入れていた。




