3-62 転生免許 〜進捗報告
「本当にありがとう」
町に戻ってきた私たちは、その中で私だけはみすぼらしく汚れた格好でエチワカをなだめた。命の恩人ではあるものの、目の前にゴブリンの頭部を差し出され、ついつい叩いてしまった。褒められると思っていたエチワカの思いも叩いたわけで、いつもなら抱き上げたら喜ぶのに、手から抜け出そうと必死にもがいた。そしてキョウトのマントに隠れた。
「嫌われちゃいましたね」
「自業自得ですから…」
事故的であったとはいえ、ゴブリンの頭を叩いた後のエチワカの顔は、それは見たこともないものを見るような顔で目を真ん丸にしていたのだ。
「エチワカを任せてもいいですか?」
「オレも懐かれてはいないですけれども…」
トボトボと宿屋に戻る道中、上手く物事が進まないなぁ、と肩を落として歩いていると「シスターアズミ」と背後から呼び止められた。振り向くと、琅邪が手を振って近付いた。
琅邪は私の格好を見て眉間にシワを寄せた。「どうしましたか?服が汚れていますよ」
「実は―」私はゴブリンに襲われた顛末を話すと、琅邪は驚いて眉間のシワを濃くした。
「それは大変難儀でしたね。それにしてもそんな近くにゴブリンがいるとは…無事で何よりです」琅邪は笑顔で頷くと「ところで」と切り出した。
私は何となくこの展開になることを予想して身構えた。
「幽霊調査の件は進捗いかがでしょう」
「それが―」と私が切り出すと、琅邪は突然声を出して笑った。
「やぁだ。こんなこと、立ち話ですることではありませんね。府でお話しましょう」
そうして府に移動することになった。
移動の道中の足取りは少し重い。何を話そうか、なんて考えていた。今までの経過を話した所でそれ以降がない。何かするにも具体的な行動がない。それを考えると憂鬱だ。今日はとことんツキがないな。
府に到着し、琅邪の部屋に案内されソファーに座ると、成り行きで真ん中にキョウトが収まった。
琅邪はお茶とお菓子を用意し、エチワカには専用の皿で用意された。




