3-58 転生免許
自称、私のボディガードには私からレミノリアの戦いについて府や書物で調査してもらうことにした。キョウトは最後まで私から離れようとはしなかったが、本人からの提案であることもあり、渋々承諾したのだった。
私とエチワカはというと、聞き込みを始めた。あれからエチワカは不気味なほど大人しく静かだ。それはそれで気が楽なのだが、調子が狂う。この子が自ら反省する機会なんて普段はないものだから、黙って見守ろう。
聞き込みは昨夜、幽霊と出会った場所付近で行うことにした。その場所に近付くのはやはり恐いものの、そうは言ってられない。
「レミノリアの戦い?ああ、多くの人が死んだと聞いてるよ。カケノブさん?知らないねぇ」老人は言った。
「幽霊?さぁ、私は見たことないけど…」女性はそう言った。
「鎮埠は行ってみたかい?あそこにある碑にはレミノリアの戦いについて刻まれているはずだ…ああ、行ったのか」男は残念そうに言った。
まるでゲームのモブキャラとの会話のように似たような会話を繰り返し、ついには成果がなかった。
夕暮れにキョウトと宿屋で待ち合わせ、そういう段取りだ。言葉のまま、足取りが重い。エチワカは「もう立てない」と言って私の背中で寝ているし、足が棒になるまで聞き回ったし、昼食も食べてないし、早くベッドに飛び込みたい。
「シスター」宿屋までの道中、キョウトは私の背後から声をかけた。
「あら、キョウトさん」私は流れるように背中のエチワカを引き渡し、さらにキョウトの肩を掴まえた。
「見覚えのある疲れた背中を見かけましたのでお声をかけました。大丈夫ですか…いや、大丈夫ではないようですね」
きっと私の顔は鬼のようになっていたに違いない。キョウトは私と目が合うと、すぐに顔を背けるのであった。
「どこかに入りましょうか」
お腹が捻れて絞り出したような、悲鳴にも思えるお腹が鳴る音が聞こえた。
私たちは近くのレストランに入った。
今日のキョウトは本当に頼りになる。私とエチワカを席につかせると、手早く注文をした。
そうして目の前に煙のように現れた数々の料理は無意識に私の口の中へと運ばれた。匂いに釣られ、エチワカの鼻はピクピクと動くと、バチッと目が見開き私とキョウトと料理を順番に見渡して、フォークとスプーンを両手にさらに目をギラギラとさせた。言うまでもなく堰を切ったような勢いで、空になる皿が続々と増える。キョウトが手を出そうとするお皿から空になる。
ついにエチワカの手が止まる頃、そのお腹は見て分かるくらい膨れていた。ひとまず今日の成果について聞くことにした。
「ところでキョウトさん。私たちの収穫はなかったんですけど、何か成果はあった?」
「え?」キョウトは耳を疑って「何もなかったんですか?」と聞き返した。
「キョウトさん。私はキョウトさんに聞いているんです。いかがでしたか?」




