表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アミテイル  作者: Yah!結う湯酔~い宵
112/140

3-57 転生免許

 何とも空気が悪く居づらい。


 「マヨリさん、粗相を申し訳ございませんでした。本日はこれでお邪魔させて頂きたいと思います。もし良ければですが、またお話をお聞きしたいのですが宜しいでしょうか」


 マヨリは鉄くずの箱を大事に抱えながら、静かにコクリと頷く。


 「それでは、失礼します。行きましょう」エチワカの背を押しながら私はマヨリの家を出る。「キョウトさんも行きましょう」


 キョウトはマヨリの持つ箱を見つめていたが、すぐに軽い会釈をして家を出た。


 外はいまだ雨雲が空を覆っているものの雨は止んでいた。


 エチワカは珍しく反省しており、シュンと小さくなっていた。自分のせいで家を出ることになったと感じているのだろう。


 まあ、あそこまで黙られるとさすがに何か起こることなんて期待できないし、家を出るタイミングを実は探していたということも考えれば、エチワカの粗相は私には良いキッカケだった。


 キョウトはしゃがみ込み、エチワカの目の前で指をヒラヒラさせた。いつもならその指を掴んだり、叩いたりするのに、私の服を引っ張り顔を隠して見ないようにした。キョウトは私を見上げて言った。「どうします?これから」


 「そうですね…」どうするも何も、私たちには足りないことばかりが多すぎて、何から手を付ければいいやら。「整理すると、今はマヨリさんの敷居に土足で入り込んでいる状態で、マヨリさんの過去と幽霊の関係性を示さないと彼女から話を聞けないと感じました。私の憶測で彼女に詰め寄っていたので、私の行動が間違いでした。まずは幽霊の調査を深掘りましょう」とは言うものの、だから何をすれば…


 「それなら、一度この鎮埠が建てられたキッカケとなる戦いについて調べませんか?」


 キョウトからの提案にしては具体的に思えた。「どうしてですか?」


 「実は、先ほどマヨリさんが持っていた箱の中に入っていた鉄なんですが、砕けた鎧や剣の残骸でした。それに、聞いた話ですが、戦いに出た全ての兵士には名前入りのペンダントが配られるそうです。例え顔が分からなくとも誰だか分かるように…」


 それはあまり想像したくないものだ。


 「そのペンダントがあの箱の中にありました。あれほど箱を大事そうに持っていたので、余程大切なものなのでしょう」


 「ペンダントがあった…ということは」


 「はい。マヨリさんにとって大事な人のものかもしれません」


 事情は深刻なのかもしれない。それが、彼女が言いたくない理由なら察せる。私は自然と顔を曇らせた。


 「最悪のことを考えているみたいですが、だからといってペンダントだけがたまたまマヨリさんの手元に行き届いていて、実は『カケノブ』さんが別の場所で生きている可能性だってありますよ」


 確かに事実確認をしていないのでキョウトの言う通りだ。私は深く頷きながらも、キョウトが滑らしたように言った名前が気になった。「『カケノブ』さんって誰です?」


 「ペンダントに刻印されていた名前です」キョウトは得意げに答えた。「俺、目が良いんですよ」


 キョウトの態度は腹立たしいが、それは重要な情報だ。「その名前を調べて、どんな人かが分かれば、マヨリさんとの関係性や、レミノリアでの戦いにも参加してるかもしれない…珍しく頼りになりますね」


 「『珍しく』は余計です」


 「そはれではレミノリアでの戦いから調べましょうか」


 空を見上げれば雲の隙間から手を差し伸べるように光が差していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ