3-56 転生免許
「私たちは幽霊の調査と騒動解決のために動いてます。そのために必要な質問です。なぜマヨリさんは鎮埠に花を持ってくるのでしょうか。しかも昨日も、今日もということは、もしかしたら毎日鎮埠に行っているのではないでしょうか」
私はマヨリがこの地に固執しているのではないかと思った。あの鎮埠に関わっている、だからこの地に移住したのではないだろうか。ただ状況から導いた答えに過ぎないのだが。
「それは…」マヨリは言葉を詰まらせる。以前は移住の理由を聞いた時に言葉を詰まらせていた。少しずつ、マヨリの鎮埠に対する執着を感じる。
少しの沈黙がマヨリを追い詰めようとするのを感じ、私は冷静さがなくなっていることに気付いた。人を詰めて気持ち良くなっていたのだろうと思う。
家の中をキョロキョロと観察してみると、ヤケに目立つ鉄くずが入った箱がある。またその隣には羊皮紙に描かれた男性の絵が飾られていた。
「あちらの絵はご自身で描かれたんですか」
「はい、趣味で絵を描いてますので…」
「どなたですか?」
「それは…」マヨリは再び黙ってしまった。
この絵の人は間違いなくマヨリにとって大事な人なのだろう。そのような人ではないと描くわけがない。
行き詰まってしまいそうな会話の風通しを良くしようとしたのだが、余計に悪くなったようにも思える。
これ以上話して何かを得られる未来が見えない。
マヨリを困らせているだけ、そう思ってしまう。しかし彼女が話してくれさえすれば、きっと幽霊調査も進展するに違いない。
「これ何?」鉄くずの入った箱にエチワカは手を伸ばす。
「あ、ダメッ!」マヨリはエチワカが伸ばす手よりも先に箱を取り上げた。その反動で箱から鉄くずが落ちる。「あっ…」
地面に落ちる前にキョウトは鉄くずを掴んだ。
私はエチワカを暴れないように腰をしっかりと捕まえた。「マヨリさん、ごめんなさい…」
「はい、どうぞ」キョウトはマヨリに鉄くずを渡すと、マヨリは奪い取るようにして鉄くずを掴んだ。




