3-50 転生免許
結果はボウズ。散々歩いたにも関わらず、得られたのはこの町の地図に詳しくなったことくらいだ。
幽霊が現れるのは日没後。それまでは企院がとった宿で休むことにした。
「キョウトさんはもうダメみたいですね」立ち疲れ、歩き疲れですっかりベッドから起きようとしなかった。枕に乗る顔からはベッドで休める喜びなのか、幽霊の調査をしなくてよい安心なのか、ニンマリとしていた。
「少し外に出ますね」
宿屋の主人は「ちょっとちょっと」と私たちを引き留めた。「シスターたち、旅のものだろ?だったら夜に外を出るのはオススメしないよ」
「幽霊が出るんですよね」
「知ってたのか。だったら何で外に出るんだ?」宿屋の主人はしかめっ面に私を見た。
「はい。私はレミノリア府長の琅邪さんの依頼でその調査をしています」
「そうなのか。だったら止めやしないが―」宿屋の主人は私たちに手招きをし、小声で言う。「それなら鎮埠方面に行くんだな。幽霊の目撃は鎮埠に近ければ近いほど多いんだ」
「そうなんですか!」思わぬ情報に驚いた。
「ああ。実は俺は見たことないんだが、それ目当ての旅行客が度々来るんで、その情報だがな…」
確かに宿屋に然り、飲食店などの情報が集まる場所、この町の住人に聞き込みをすれば情報を得られたかもしれない。日中はマヨリ探しに没頭してしまった。今後の改善点だ。
「分かりました。貴重な情報をありがとうございます」私たちは宿屋の出口に向かい、エチワカが振り向いて主人に手を振ると、主人も手を振り返した。
街灯は少なく、ぼんやりと浮かぶ道を歩いていると、たまにすれ違う人が幽霊なのではないかと身構えてしまう。
「エチワカは幽霊、怖くないの」
「うん。見てみたい」
明るく言うこの子が横にいるのは何とも心強い。キョウトとは大違いだ。気持ちはだんだんと落ち着いてきた。
日中の探索で分かったことは、どうやら鎮埠は町に囲まれるように、町の中心近くにあるということだ。まずは鎮埠へ向かい、そこから円を描くように町を周ることにした。
町の中心に近づくにつれ、人家の明かりは少なくなっているように感じる。幽霊騒動でこの町の眠りは早い。そんな中、いよいよ誰ともすれ違わなくなる。
それは突然、私が思った以上に早く訪れた。キッカケは大体エチワカで、唐突に走り出した。無論、私は追いかけて行くと、エチワカは狭い十字路の真ん中で立ち止まり、右を向いた。




