3-48 転生免許 〜幽霊調査
府での顛末を企院に話すと「簡単にバレたか」と、琅邪との関係や琅邪に送った手紙なんて吹き飛ばすように大きく笑った。「まあ、幽霊の件はどうにかなるだろう、な!頼んだぞ」
不安は募るばかりだ。
やがてキョウトが戻って来ると、休む間も与えず私たちは調査を始めた。まずはあの鎮埠、行き方はどうだったか。何となく歩いてたどり着いた場所。マヨリに府まで案内してもらった道順で府から行ってみるのは?いや、話に夢中で覚えていない。
まさに行き当たりばったり。歩いていれば着くかもしれないし、マヨリにも会うかもしれない。しかし何となく景色は覚えているもので、さっきはこっちに次はあっちに、と薄れた記憶を頼りに過去の軌跡を辿る。路地に入り道も複雑になると、それは分からなくなる。どっちに進めば良いのか困っていると、急にエチワカは私の手を離すと、わっと犬のように走り出した。
「ちょっと、一人で行っちゃダメ!」そう言ってもエチワカは聞きもせず、タッタと自分の庭のように走っていった。私も急いでその後をついて行くと、フワッと覚えのある道を通り、まるで導かれるようにやがてあの鎮埠に着いた。その前にエチワカが鎮埠のテッペンを見つめていた。
「着いた」
後から追いかけてきたキョウトは息を切らしている。そして先ほどから繰り返し同じ言葉を吐いた。「休ませて…ください」
「鎮埠を調査するので、そこにいてください」
キョウトはグッタリと道端に尻もちを着いて息を整えた。
相変わらず、先ほどから誰も訪れてはいないのではないかと思うくらい殺風景なものだから、墓地にも思えた。
エチワカは鎮埠の周りをグルグルと走り出し、私も鎮埠の周りに何かしら情報でもないかと探し始めた。するとこの鎮埠にたどり着いたちょうど反対側に、まるで隠れているかのように碑文石があった。まだこの物語の言葉をマスターしているわけではなく、たどたどしく解読するように読み進めた。単語が合わさって何となく理解すると、例えエチワカが私の側面にぶつかったとしても読むことに没入していた。
魔物がこの地に侵攻を始め、人間はこの地に集められた。予定されていなかった東方の民の召集があり、数では魔物軍に勝るものの、力でねじ伏せられ惜敗したという。多くの人間が死に、その悔しさや悲しみ、怒り、恐怖を鎮めるためにこの鎮埠がある。
この鎮埠を見ているとその光景がまぶたの裏に浮かんでくるようで、武器が重なる音や絶叫する声までもが遥か遠くから聞こえてくる。そんな壮絶な戦いがこの地で行われていた。
気付けばエチワカは私の頭に乗ろうと背中まで這い上がっていた。 「コラ、降りなさい」
エチワカは楽しそうに私の体をまさぐるようにして逃げまわった。ようやく捕まえて、悪さをしないように抱きかかえた。
無邪気に悪うこの魔物の祖先と人間は戦っていたんだ。なぜそうなってしまったのだろう。




