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幻想い足跡  作者: うさぎ
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渦巻ク境界と人形ノ唄

 一隻の巨大な人型怪物が無限の時空の裂け目から這い出し、無限の異なる『階層』の『宇宙』を肉体とし、無限の公理法則を魂として紡いだ怪物が、その無限の暴戾な咆哮を解き放った。

 

「あら~ごめんなさい、可愛いお嬢さんたち。」エドの嫌らしい声が響く「殺人ゲームが終わるまで、まずは私の代表作と存分に遊んでください。」

 

 怪物の咆哮は、単なる音波ではなく、無限の論理法則そのものを吼えさせるものだった。その声は、無限の『階層』の宇宙を誕生と崩壊へと直接駆り立てる。

 

 ユーナは微塵も動じず、ただ前方へと手を伸ばした。彼女の指先が虚空に触れるや、怪物の肉体を構成する無限の異なる『階層』の『宇宙』の一つ一つが、突然、自己の存在階層を疑い始めた。怪物の拳は、無限の質量と『幽暗の間』の時間と空間の欠片を纏い、彼女を粉砕せんと迫る。

 

 巨大な人型怪物を見据え、ユーナは両刃の湾刀を抜く。左手の白刃は翠緑色の輝きを放ち、右手の黒刃は周囲の時空を歪ませる「二刀流——獄神斬っ!」黒刃に黒紅の光が迸り、白刃は青い光を煌めかせ、双刃はまっすぐモンスターの急所を斬り裂く。

 

 ユーナは普段ややぼんやりして見えるが、戦いになると全く疎かにはしない。人型怪物は巨体ながら動作に一絲の鈍りもなく、むしろ極めて敏捷で、巨大な拳は全てを滅ぼす衝撃を伴い、ユーナの二刀流斬撃と正面から激突する。

 

 巨拳の衝撃は『公理法則崩壊』の属性を帯びていた。ユーナは白刃を振るい、『向下反射』を発動。拳の威力定義を瞬間的に捕捉し、そのまま弱一層の「投影」を生成。衝撃波は自らのコピーと虚空中で相殺、消滅した。

 

「隙あり。」ユーナの黒刃が闇を切り裂く『概念の閉鎖』。

 

 刀鋒が巨体を掠めるや、怪物の構成存在の『宇宙』は上位存在による「無効」判定を受け、その存在基盤が揺らぐ。動作が一瞬鈍った。

 

 その刹那、ユーナの双刃が交差『獄神斬っ!』の真髄は、存在の階層そのものを断つこと。巨体は爆散せず、静かに理解できないの記号へと分解、虚無に還った。

 

 これがユーナの獄神斬っ!モンスターの巨体は破壊されたのではなく、存在の根源たる「定義」そのものから瓦解、降格させられ、最終的に到達不能を象徴する乱码へと収縮し、跡形もなく消散した。

 

 獄神斬っ! 斬るのは肉体ではなく、存在の根幹と階層なのである。

 ......

 一方、イアナと彼女の人形はエドと対峙していた。

 

「狡猾なるいけにえ!」無限の人形たちがイアナの指揮に従い、次々と異なる陣形を組み、敵を葬らんとする。無限の人形弾幕を前に、エドは心の源の盾を展開する。しかし彼女が驚いたことに、その無限の弾幕は彼女の全力の盾を易々と貫き、打ち破った。さすがはかつて母をも打ち倒した少女……それから何年、その実力はもはやどのような恐るべき域に達しているのか……。

 

「くっ……!」エドの驚愕の声は、次の瞬間、無限の衝撃に呑み込まれた。

 

 イアナの指揮する人形たちが放つ弾幕は、単純な物理衝撃ではない。一つ一つの攻撃が『存在の否定』、『可能世界に不可能世界を加える』という概念を帯びており、エドの張った心の源の護盾は、あたかも存在しなかったかのように、易々と貫かれていった。

 

「狡猾なるいけにえ!」——その名の通り、これは敵の「存在」そのものを少しずつ削り取る、極めて陰険な儀式だった。

 

 最初の一撃がエドの左肩を掠める。傷口から流れるのは血ではなく、彼女の存在の輝きそのものである『心の源の光』だった。第二、第三の攻撃が彼女の周囲の空間を歪ませ、黒い礼服の裾が光の粒子となって消散する。肌に走るのは亀裂ではなく、『存在が薄れる』ことによる不気味な半透明化だった。

 

「この……存在侵食……!」

 

 エドは歯を食いしばる。全身が虚無に引き裂かれるような感覚に襲われた。かつて母を倒した彼女ですら、この無限かつ根源を否定する攻撃の前には、深刻な脅威を感じざるを得なかった。

 

 しかし、彼女は死なない。

 

 膝をつき、体が震えても、エドの蒼い瞳の輝きは消えていない。

 

「イアナ……お前の『狡猾』は認めよう……!だが、これで私が倒れると考えるな!」

 

 エドは全身の力を振り絞って叫ぶ。彼女の周囲にちらちらと消えかかっていた心の源の光が、再び強く輝き始める。もはや防ぐことはできない。ならば......!

 

心源転生しんげんてんせい!」

 

 エドは、侵食されつつあった自身の存在の一部を、あえて『犠牲』として切り離した。それは壮絶な痛みを伴う選択だったが、その代償として、彼女は一瞬、イアナの弾幕の『存在否定』の概念の流れを読み取り、唯一の生路へと飛び込む隙を作り出した。

 

 次の瞬間、エドの姿はその場からぼんやりと消え、無数の光年後方に再構成された。彼女の顔色は明らかに蒼ざめ、息は荒く、左腕の半透明化は完全には回復していない。この一撃で、彼女の存在の基盤は確実に削られた。

 

 しかし、彼女は立っていた。そして、イアナを真っ直ぐに見据え、燃えるような戦意を瞳に宿していた。

 

「……次の一手は、必ず返す。」

 

 エドは今、窮地を脱したとはいえ、惨澹たる状態であったが。それでもなお自らの勝利を確信していた。彼女は宇宙戦争の時から育ててきたこの最終試験体......無限の異なる『階層』の『宇宙』の血で染まり、無限の罪と穢れを浴びせられながらも純粋な魂を保ち続ける試験体......ジューンが、自分を失望させはしないと固く信じていた。

 

 そして、彼女には最後の切り札がある......『復活』した母、吸血鬼の王、ブルダ。

 ......

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