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幻想い足跡  作者: うさぎ
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浮焰灯

「あら……ついに来たね……。」ようやく現れた二人の少女を見つめ、エラは微笑んだ……ついに、来たわ。ただ来方が少し風変わりだったな……まあいい、いかにもィアナらしいわね。


 大崩壊の中、ラナは恐怖で叫んだ「わああああ!!!ィアナの大バカ!!!力入れすぎて、『幽暗の間』全体をぶち壊しちゃったじゃないか。」


「何て奴だ……。」エドは予想外の状況に考え込む、一つだけじゃないのか。だが、この騒動はちょうどいい……。


「ジューン、今のうちに、ラスティを……。」エドの声が、双鎌の少女ジューンの耳に届く。ジューンはイニンへの攻撃を途中で止め、鎌を素早くラスティに向けた「抹殺せよ。」


「な、何だこれは……。」ラスティは予想外の事態に同樣に警戒していた。先ほど二人の親衛隊が死んだことで、彼女の神経はピンと張られていた。ガキン!!両手で太刀を握りしめ、ジューンが彼女の後ろ首に繰り出した双鎌の攻撃を防ぎ止める。

「ちっ……エドの小娘め!」


 エドの嘲る声が後方から聞こえる「小娘?笑えるわ。分かってるでしょ、ラスティ、こんな時にはわざわざお飾りの仮面を繕う必要なんてないんだよ。勝てば総領、負ければ――何もかも無い。」


 ラスティのまぶたがピクッと跳ね、危険な心悸亢進……そして無力感が襲う。まるで自分がロックオンされ、逃げ場も隠れ場もないかのようだった。必死で振り返り、最後に自分を地獄へ落とす者が誰かを見ようとする……そして眼前にあったのは、巨大で残忍な影だった。

「ブルダ……。」ブルダは瀕死の女親王を一瞥し、取るに足らない虫を見るような眼差しで「どうか、消え去ってください……」ズブッ……黒い霧に包まれた拳が、女を容易く肉塊へと変えた。


「えへへ……おかえり、ママ。」エドは興奮して叫んだ「ママの遺体を媒体に、集めた吸血鬼の強者たちの心の源と『記憶』を『元素』として融合させることで、ついにママを戻してくれたんだ。」


「エド、この狂人め。分かっているだろうが、お前がそうして作り出せるのは、吸血鬼の『記憶』の中にある母を再現した『虚ろな殻』に過ぎないのだ。」エラは、エドがここまで企てていた最終的な目的がまさにそれだと知り、驚きを隠せなかった。


「待ち続けたぞ……この懐かしい気配……あの敗北以来、私はあなたのことをいつまでも考えていたのよ……ィアナ!」エドによって『復活』させられたブルダは、赤く染まった双眸に憎悪と悔しさを満たして嗤う「毎日、毎日、毎日、毎日!!!次に会った時にはどんな方法でお前を血肉醬と引き裂いてやろうかと思い続けてな!!!」


 エドは母の言葉にハッと微かに愣け、イアナという名前に、骨髄に刻み込まれた憎しみが簡単にかき立てられた。

「イアナ……イアナ……イアナ!!ははは、はははは!」エドの漆黒の瞳は完全に赤い光に置き換わり、貴婦らしい微笑みは完全に崩壊、長い髪が揺らめき、手にした剣は血ともつかない鮮紅色に染まっている「見つけた、見つけた……ママを殺した張本人!斬り捨て……。」


「ああ……ったく煩いわね、現場に着くやいなや、こんなにたくさんのとんでもない人たちに会えるなんて、今日は本当にイアナのラッキーデーなのかもね。」『幽暗の間』が完全に崩壊し粉砕され、無限の時空の塵の中からイアナの姿が現れた。彼女はちょうど大崩壊の中で抱きかかえていたラナを腕から下ろしたところで、金色の瞳が次第に鮮紅色へと褪せていく「あんたたちそうよね、エラお姉ちゃんを傷つけた連利、本当に身勝手な人たちね、いったい何度家族を傷つければ気が済むのよ!」


 エラ、星、リサ(イニン)、エド……ブルダ、ラナ、そして虚空にこそこそとした影……どうやらユーナのバカね、ああ……もうすぐ人揃いになりそうだわ……まさか、まさかこれが本書の最終決戦なのか?イアナは周囲に揃いも揃った『主演陣』を見渡し、ひそかに舌打ちした。

 ......

 ......

 イニンは優秀な殺し屋である、それは彼女が感情を制御するのに長けていることを意味する。さっき孤児たちの悲報を知ってエドを殺すという衝動に駆られたが、今は……もう冷静さを取り戻した。今エドとエラの両者が対峙している隙に、逃げることを決意する。そう、孤児たちを連れてまずは撤退……だが自分一人ならともかく、彼女たちを連れてとなると、それはかなり容易ではないのだ。


 イニンが悩んでいるとき、ある声が彼女の耳に聞こえてきた「イニン、いったい何が起こったの?子どもたちがどうして……。」


 イニンは声を聞いて素早く振り返り、ユーナだと分かると一瞬安堵したが、すぐに眉をひそめた「なぜここにいるの、言ったはずよ、『これから先永遠にわたしの視界から消えなさい』って。」


「今はそんな事を言っている場合じゃないでしょ!」ユーナは少し腹が立った、傷が癒える前まではあんなに親しかったのに……どうして急に……それにこんな時にそんな态度をとるなんて!イニンもユーナの口調に込もったいらだちを聞き取った「とにかく、今はまず逃げましょう。あなたが先に子どもたちを連れて行って、わたしは後から追います。」


 ユーナは一瞬躊躕ったが、やはり頷いた。自分の実力ではここに居ても邪魔にしかならないことを彼女は理解していた。


「そこの虫けら共、逃げるつもりか?」ブルダの暴戾な気配に満ちた声がイニンとユーナを同時に固まらせた「ダメだ、それは認めないよ……デスゲームは人数が多いほどゾクゾクするんだから。」


「そう……。」ユーナの身形は絶対的虚無と化す「それなら先に死んでください、『最強の吸血鬼』の実力を見せてもらおう。」

 ガキン!ユーナが最後の言葉を吐くと同時に、幽鬼の如くブルダの背後に現れ、両手の匕首をその後頸へと弾き出した。ブルダは冷ややかに鼻を鳴らし、自身の存在を歪ませた。


 イニンはブルダの反撃がここまで凄まじいとは全く予想していなかった。自身の存在を歪ませ、絶対的な一切超越、全ての宇宙、多元宇宙、全実在宇宙、生命/死、始まり/終わり、概念/観念/公理、創造/消滅、存在/非存在など。

 ただ無造作な一拳だが、それでも力は驚くほど大きく、直撃されたイニンは小さく血を吐きながら吹き飛ばされた。しかしイニンを迎え入れたのは綿のように柔らかい棘のない薔薇の茂みだった。エラは敵の敵は潜在的な友という道理をよくわきまえていた。


「ありがとう……。」先ほどから長い間観戦してきたイニンはもちろんこの薔薇の主を知っていた。この感謝の言葉は『友』という関係を暗黙のうちに認めることになる。


 ブルダがエラとイニンに足を取られている隙に、ユーナは急いで子どもたちを閉じ込めていた宇宙船を起動させ、今のうちに逃げようとした。しかし……。


 一隻の巨大な人型怪物が無限の時空の裂け目から這い出し、無限の異なる『階層』の『宇宙』を肉体とし、無限の公理法則を魂として紡いだ怪物が、その無限の暴戾な咆哮を解き放った。


「あら~ごめんなさい、可愛いお嬢さんたち。」エドの嫌らしい声が響く「殺人ゲームが終わるまで、まずは私の代表作と存分に遊んでください。」

 ......

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