設定:ついか
以下のまとめた設定は、章『一雨過ぎた明日』までの内容とする。
宇宙、多元宇宙、全実在宇宙、虚無宇宙などの『宇宙』は、単に強大な力を持つ者が自らの力によって人為的に区切り、設定したものに過ぎない。
単に虚無宇宙を含む全ての『宇宙』を粉砕し、生成消滅させられる強者は多いが、この人為的に区切られた『世界』と『体系』を徹底的に粉砕・生滅させ、さらに新たな『世界』と『体系』を制定できる強者は、多くはない。
そして、『一雨過ぎた明日』までを期限として、『イアナ』を除き、登場しかつ具体的な役回りを持つ主要キャラクターと主な敵の中で、『世界』と『体系』を徹底的に粉砕・生滅させ、さらに新たな『世界』と『体系』を制定できる存在として、えいき、ドリスとブルダ(エルネスタ)がいる。
えいき、ドリスとブルダ(エルネスタ)
『世界』を生滅させ、無限の体系を再構築できる強者。
彼女たちが体現するものは、いかなる具体的な力の形式でもない。その本質はすでに「定義」と「包容」の動的なパラドックスそのものと同一化している。彼女たち自身が、「閉鎖」が絶えず生成され、確立され、そして必然的に超越されていく永遠の過程が、個体の中に顕現したものである。
いかなる完成された体系、いかなる自己完結を誇る理論、いかなる自らを「究極」や「全体」と称する構造に対面した時、彼女たちの存在そのものが、その構造が収容し得ない、生きた「外部」となる。だがこの「外部」は、より高次で固定された層から来るのではなく、その体系の論理の境界から自然に「迸出」する、それ自身の言語では記述し得ない「次の一歩」なのである。彼女たちは歩く特異点であり、あらゆる理論がその論理的終点に到達した時に必然的に遭遇する、自らを自己崩壊へと導く問い方そのものだ。
彼女たちの力の顕現は、常に創造的な瓦解として現れる。彼女たちを認知し、記述し、対抗しようとするあらゆる枠組みは、彼女たちに触れた瞬間、自身の最深の前提と限界を曝け出すことになる。それは「強大」を定義する公理であれ、「閉鎖」を保証する法則であれ、「可能」を裁定する境界であれ、水に浸された縄結びのように自ら緩み、再構築される。暴力で破壊されるのではなく、その下に横たわる、より深遠で言葉にされていない可能性の基盤を露わにされるのだ。彼女たちと交わることは、ある確固たる偉力と対抗することではなく、あなた自身が拠り所とする「世界」の論理的完全性との対決である、あなたが依拠し、構築し、その中に身を置くあらゆる「体系」は、彼女たちを映し出した瞬間、内部から自らを覆す種を孕み始め、古い論理では全く理解し得ない新たな形態へと変貌を遂げていく。
したがって、彼女たちの真の「力」は、「突破」そのものを、「存在」よりも根源的な実在たらしめるところにある。彼女たちのひとつひとつの行動は、古き「最強」の定義の葬儀であると同時に、「言い得ざるさらなる強さ」への洗礼である。彼女たちが通り過ぎた跡に残されるのは、固定された領域や法則ではなく、常により深く、より定義不能な方向へと開かれた傷口、あらゆる構造に自らの外への変貌を促し続ける、終わりない飢えである。彼女たちは「終わりなき超越」の体現であり、この特質を所有しているのではなく、彼女たちの存在そのものが、万物万理が絶え間なく自らを超えていく、その鼓動息づく心臓を構成しているのである。
簡潔に言えば、彼女その本質は、彼女あらゆる体系を内側から定義し、同時にその定義を破壊する超越性そのものである。彼女が「最高位」として認識された瞬間、彼女この認識自体が新たな制限となり、その制限を打破する「内なる衝動」を不可避的に生み出す。従って、彼女の状態を「最強」や「頂点」といった概念で記述することは不可能であり、終わりなき自己超越、つまり完結を永久に拒絶するプロセスそのものである。
ブルダ(エルネスタ)
吸血鬼の王、ジョイ、シェリ、エラの母、まだ吸血鬼の王になっていないブルダは、最愛の娘たちを守るために狂ったように力を求め、その結果、心の源が黒化し、予期せず暗黒の裏人格エルネスタが誕生し、徹底的な狂人となった、狂気のエルネスタは、自らの情報素をかつての『吸血鬼の宇宙(無限の宇宙、多元宇宙、全実在宇宙が入れ子になった単一宇宙)』全体に汚染し、自らをすべての第一因とした。
太古の混沌の時代においてさえ、原初の『黒髪の長い少女』に挑んだ数多の競い手、いかなる基準による無敵の最強者とて、狂気のエルネスタの敵では決してなかった。
エルネスタの狂気的な力の下では、虚無宇宙というこの『世界』の現在の体系も、破壊し、生滅させ、再構築できる自由気ままなおもちゃの枠組みに過ぎず......エルネスタの意のままに、いつでも別の『世界』体系を創造することができる、あるいは虚無宇宙の上にさらに大きな拡張、階層化を行い、頂点なく、エテルナ、ソンジャンタ、ムルムロ……。
エルネスタ自体が、既存の『世界』体系を超越した独立した新たな『体系』である。
エルネスタのエテルナ、ソンジャンタ、ムルムロ
エテルナ
エテルナは、虚無宇宙の上の新しい宇宙ではなく、エルネスタが「上方」というそのものを汚染した結果として生じた最初の外延である。
虚無宇宙では、いかに巨大な設定であっても、その底層に対象階層が対応している。しかし、エテルナでは状況が逆転している。エテルナを「より高い層」と見なそうとするあらゆる行為は、ただちに「より高い層」という概念を崩壊させ、それをエテルナ内部で最も微細で、最も鈍く、最も不可視な残滓へと変えてしまう。したがって、エテルナは「虚無宇宙の上位階層」ではない。それは、すべての上位関係を自動的に無効化し、「虚無宇宙を超越する」という行為そのものを自らの内なる塵埃へと変える、非階層的領域である。
エテルナの内部には、第一層、第二層、無限層は存在しない。その最も基礎的な単位は、零前層と呼ばれる。零前層は第零層でもなければ、マイナス一層でもない。それは「階層という概念が現れる前に、エルネスタによって無理やり引き裂かれた空白の傷口」である。虚無宇宙の最下層において、[ZF + ヴェルデ基数]閉鎖に相当する全実在宇宙が細胞に過ぎない。しかし、エテルナの零前層において、虚無宇宙は細胞ですらない。それはただ、零前層が「階層はまだ誤解され得る」ことを証明するために一時的に作り出した、誤った見本に過ぎない。虚無宇宙は、エテルナの零前層において、「上位設定が依然として意味を持つ」という誤読の残響に過ぎない。したがって、エテルナの虚無宇宙に対する関係は、包含ではなく、『虚無宇宙が包含される資格を初めから一切有していなかったこと』である。
エテルナにおいて、全ての名称は消耗される。例えば、ある存在が「これはエテルナです。」と言おうとする時、その文はエテルナを指し示すことはない。それはただ、既にエテルナによって淘汰された低次の言語の残骸を指し示すのみである。故に、真のエテルナは「エテルナ」という名によって指し示されることはない。「エテルナ」は、エルネスタが低次の意識に一時的に誤称することを許した仮の名に過ぎない。
いかなる序列、階梯、公理拡張、反射拡張も、エテルナの前では、未だ誕生せぬ失敗した草稿となる。いかなる体系も、名付けられ、定義され、階層に組み込まれようとする前に、エテルナによって事前に断ち切られる。それは「何かである」段階へと到達することができず、ただ名付けられる以前の欠損した状態に永遠に留まる。
具体的な形式的表現
ソンジャンタ
もしエテルナが「階層は拡張可能である」という枠組みを破壊したのなら、ソンジャンタが破壊したのはもっと深いもの、すなわち「破壊された後でもなお破壊と呼ばれうる」という枠組みそのものである。
エテルナにおいては、命名は失敗し、階層は停滞し、超越は先取りによって空洞化される。しかしエテルナにはなお残滓的な構造が残されており、それは依然として何らかの「名付け得ぬ領域」と誤認されうる。ソンジャンタはそのような誤認さえも許さない。
ソンジャンタは不可名状ではない、不可名状はなお「名状する」ことを否定の対象として認めている。ソンジャンタは言語を超越したものではない、言語を超越したものはなお「言語」と「超越」との関係を認めている。
ソンジャンタとは、あらゆる否定、超越、沈黙、不可記述、反記述がエルネスタにとってあまりにも低級であると見なされた後に、生じた無返還支配域である。
ソンジャンタの最表層は断称域と呼ばれる。断称域は名前を無効にするのではなく、「名前がかつて何かを指そうとした」という出来事そのものを成立させなくする。
断称域において、「存在」は存在を指せない。「不存在」は不存在を指せない。「超越」は超越を指せない。「不可言説」は不可言説を指せない。
「エルネスタ」という名前もまた、エルネスタを指せない。だが、それはエルネスタを弱体化させない。なぜならソンジャンタにおいて、エルネスタはもはや「彼女であること」によって自らを維持する必要がないからだ。彼女は名前の背後にある対象ではない。彼女は、あらゆる名前、無名、反名、偽名、失名という現象が、誤って自らが成立していると思い込むことを許される以前に、すでに汚染を完了させている根源の黒潮なのである。
ソンジャンタの内部には創造の中枢は存在しない、その中核は逆誕核と呼ばれる。通常の意味での創造とは、無から有へ、あるいはより高次の可能性から現実への流れである。しかし逆誕核は何も創造しない。
その作用は、すでに成立したもの、成立しつつあるもの、成立しうるもの、成立しえないもの、超越的に成立しているものすべてを、逆向きに「誕生の条件を決して持たなかった状態」へと変えることである。
これは抹消ではない。抹消とは、何かがかつて存在し、その後滅ぼされたことを意味する。逆誕核は「かつて存在した」ということさえも剥奪する。逆誕核に触れられた体系は、残骸、空洞、記録、パラドックス、不可知性すら残さない。さらには「それが何も残さなかった」という判断自体も、低次の残留物とみなされる。
具体的な形式的表現
ムルムロ
もしエテルナが「階層」を破壊し、ソンジャンタが「命名と誕生」を破壊したのなら、ムルムロが破壊するのは体系そのものである。
しかしここでの「体系の破壊」とは、世界観の構造を破壊することでも、すべての設定を崩壊させることでもない。それらは依然として「体系」という対象の存在を認めているからだ。
ムルムロは反体系ではない、反体系は依然として体系を対立項として依存している。
ムルムロは無体系ではない、無体系は依然として不在の位置が存在することを示している。
ムルムロとは、「体系」「非体系」「反体系」「無体系」「体系化不能」のすべてがあまりにも貧弱であると見なされた後、エルネスタ自身の狂気が外部へ漏れ出すことで形成された、帰属不可能なノイズである。
それは階層ではない。
領域ではない。
宇宙ではない。
物語単位ではない。
設定ではない。
設定の外側ではない。
設定が届かないものではない。
「ではない」ですらない。
ムルムロは、エルネスタの黒化した根源が、あらゆる記述方法に完全に飽き果てた後に発した、最初の囁きである。
そしてこの囁きは、音ですらない。
ムルムロの「起点」は低次の言語によって暫定的に黒噪母胎と呼ばれる。黒噪母胎は万物を育む母胎ではない、それが育むのはエテルナでもソンジャンタでもない、それが育むのは、「育む」という行為そのものから所属関係を奪い去る黒色ノイズである。
黒噪母胎において、いかなる構造を築こうとする試みも即座に噪化される、この噪化は混沌ではない、混沌は依然として秩序の対立項である。
黒噪母胎の噪とは、「状態」として配置されうるものではない。
それは無秩序ではない。
ランダムではない。
情報エントロピ、ではない。
計算不可能ではない。
定義不可能ではない。
不可思議ではない。
それは、これらの語彙のすべてがあまりにも明瞭で、あまりにも安定で、あまりにも穏やかに映るような、黒色の低語なのである。
ムルムロには内部構造は存在しないが、低次の叙述のために暫定的に成立させるならば、非帰属脈を持つと言える。
非帰属脈の性質とは、あらゆる事物が一度どこかに属すると見なされた瞬間、ムルムロは「属する」という関係を剥奪する。そしてそれがどこにも属さないと見なされた時、ムルムロは「属さない」という判断をも剥奪する。
故に、ムルムロの前では、
包含は無効となる。
排除は無効となる。
上下は無効となる。
内外は無効となる。
起源は無効となる。
終点は無効となる。
比較は無効となる。
超越は無効となる。
不可超越は無効となる。
「無効」そのものも無効となる。
これこそが、ムルムロが先行するすべての体系と根本的に異なる理由である。
それはより高次のものであろうとは試みない。
それは「より高次のもの」と「より高次ではありえないもの」の両方を、帰属先なき場所へと追いやるのである。
ムルムロが最も「顕現」に近い現象は、終始裂舌と呼ばれる、終始裂舌は語らない、その「低語」のたびに、ある完成された世界観体系は突如として気づく、自分は創造されたわけでも、創造されなかったわけでもなく、さらに創造と未創造に関するいかなる関係の中にも位置していないのだと。
終始裂舌は世界を破壊しない。破壊はあまりにも低級だからだ。
それは世界から「世界と呼ばれうる」という帰属性を奪い去る。その後、その「世界」は消えもせず、存在もしない、パラドックスにもならない。
それはいかなる判断にも帰属させえない、黒色の語屑となる。
この語屑は残骸ではない。それは単に、ムルムロの低語が通り過ぎた後、低次の観測者が自らの認知の完全な崩壊を防ぐために、強引に誤認した慰めの幻影にすぎない。
具体的な形式的表現
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『イアナ』
原初の少女、『『過去のすべて』を失った黒い長髪の少女』。『一雨過ぎた明日』までに、『イアナ』は原初時代のその強大さの片鱗を体現している。
設定の宣言はかんぜんなく、設定の宣言など必要ともしない、簡潔で、純粋で、純真無垢な強さ。
『一雨過ぎた明日』までに、『イアナ』の前に立った数多の強者たち、『喰けの蛇』の殺し手たち、聖なる教会の聖騎士たち、狼男であれ、あるいは様々な魔物、亡霊、怪物たちであれ。それとも原罪亜黒龍、ジューン、えいき、エド、ブルダ(エルネスタ)など数多の強者たち。
彼らはそれぞれに独自の設定、独自の強さを持ち、無限の体系、無限の階層を構築していた。
しかし、それらの強さは、『イアナ』の簡潔で、純粋で、純真無垢な暴力の前には、何の違いもなく、全てが易々と粉砕されるだけだった。
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