表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/12

クーデター 1

「とにかく疲れたので今日のところは、部屋で休ませてもらえませんかね」

部屋には案内されたものの、

翼の願いはあえなく却下され、

夕食の準備が始められた。


4人分の食器が並べられたテーブルのずっと先に、

王様らしき人と王子らしき人、

それとフローラ姫が着席している。


コレみんな集まるまで待つのかなぁ

と、思ったが王族が立ち上がると

姫の救出の礼を言われた。


僕も恐縮して立ち上がるが、直ぐに座るよう促され

食事は直ぐに始まった。


失礼な部分が多分にあっただろうが、

本当に疲れていたのであまり覚えていない。


食後は早々に部屋で休ませていただくことにした。





翌朝、スッキリと目が覚めた。

いつベッドに入ったのかも記憶にないが、

ふかふかのベッドの中、

小鳥の(さえず)りで目が覚める。


「最高じゃないか」

思わず『か・ぜ』とか言いそうになるが、

窓は()いていない。


もう少し寝ようかなぁ……と仰向けになると、

ドアのところに立っているメイドさんが見えた。


「お目覚めでございますか?」


「はひぃ」変な声が出た。

「今、ハッキリと覚醒(おめざめ)しました」


まさか部屋の中に誰かいるとは

「まさか一晩中そこに?」


「いえ、時間で交代しております」


一晩中誰かいたんだ。


ベッドの上で胡座をかいて辺りを見回す。


ソファに寝間着らしき物がかけられている。

まったく気づかなんだ。


そういえば服のまま寝落ちしていたのか、

身体がベトベトするな。


「あの、すみません。

お風呂ってありますか」


「かしこまりました」


数分後、ベッドの横に

湯船が置かれ、

何人もの人がポットのお湯を注いでいる。


ああ、でっかい湯船を想像していたんだが

ここで入るのか〜


服を脱ごうとしてもメイドさんは、そのまま

突っ立っている。

「あの〜、お風呂はいるんで

そろそろ……」


「かしこまりました」


良かった通じた。

と、おもったら


メイドさん二人がかりで

服を脱がし始めた。


「ひえぇー!

いいです。いいです。

自分でやるので、お願いですから

部屋から出ていって下さい」

パンツ一丁で叫ぶ。


「かしこまりました。

お召し物はコチラに用意しております。

今着ておられる者は焼却…、」


「ヤメてぇ〜!

そのGパン、まだ履くから」


「では、洗濯しておきます」


「ハァハァ、お願いします」

風呂に入るだけで大変だよ。




朝風呂でさっぱりした後、

ベルサイユのなんとかの人が着るような

白いブラウスとタイトなパンツに着替えて

朝食が振る舞われるという広間まで案内された。


部屋を出る時に

剣を置いて行くように注意をうけたが

この聖剣、円筒型の棒に柄が付いているようにしか

見えないためか、これはそのままスルー。


僕自身、聖剣を抜け。

と言われたものの、剣には見えなかったもの。



広間ではメイドさんたちは追い返され、

代わりにいかつい兵士達に案内された。


ん?

雰囲気が怪しいぞ。


中に入ると奥の窓際にフローラ姫が

二人の騎士に守られるように立っている。


「あっ、翼さま」


「おはようございます。

フローラ姫」

辺りを見回しながらフローラ姫に近づく。


朝食はもちろん椅子もテーブルもない。

それに姫を取り囲む兵士達の中には、

いかにも悪そうな顔をしたものまでいる。


「これで全員ですかな」

偉そうなおじさんがドア付近に立っている兵士に聞く。


「はっ、まもなく従者の一人がまいります」


「姫様、コレは」

声を潜めて聞いてみる。


「クーデターじゃ。

父王と兄君は幽閉されておる」


「な、なんですと!」

それでここいら剣呑なのか。


「姫様は、幽閉されずに済んでいる、と」


「ちがうじゃろう。

何かと口やかましい(わらわ)

心よく思わん奴がおってのう」


「あの偉そうなおっさんですか」


「そうじゃ」

「ここで、(わらわ)を助けたお主ら共々

殺す気なのじゃ」


「そんな事して、あとあと揉めたりは」


「なんとでもなるわ、

あやつ悪知恵だけは一級品じゃ」

フローラ姫は僕を見ずに、ずっとおっさんを睨んでいる。


おっさんの方は余裕しゃくしゃくだ。


「バリエブ・オルム・ド・ヴェルミナ、

(わらわ)の叔父じゃ」


そう言うとフローラ姫は、ことの次第を話してくれた。


「父王も王子(あにうえ)もバカではない。

政治・経済・帝王学どれを取っても優秀なのだ。

だが、声が小さいのだ。

政治家としてはマイナスなのだろう。

表には、叔父(バリエブ)が立つことが多くなった」


なるほど、学者肌って言うことか。


叔父(バリエブ)は、成功を全て(おの)

手柄として自慢し、問題が起こると(ちち)

王子(おにうえ)のせいにした」


「ひどい奴だな」


「周りの貴族たちはもちろん、

教会やマフィアまで手中に納めたのだ」


「まずいじゃないですか」


うむ

「そこで何かしら悪事の証拠を探そうと、

(わらわ)自ら出たのだが」


「そこで捕まった……と」


「情けない話じゃ」


フローラ姫がうなだれる。

「せっかくギルバートが提案してくれたと言うのに」


ギルバートって……


あっ、コイツか

フローラ姫がチラッと見た男。

二人のうち左側のいかにも坊っちゃん

っていう感じの人。


ちなみにフローラ姫の右側にいるのが

教会に僕を迎えに来た人で、たしかアルデバランさん。



「しかし

今思うとあの朝風呂入っている時でも

寝ている時でも殺せたのに、

なぜ今なんでしょ」


「あ奴らなりの

愚策(ストーリー)でもあるのじゃろ」


そりゃマズイぞ。

……けど、さっき従者の一人が来るみたいなこと

言ってたなぁ。


あの三人、何かと問題ありそうだけど

強いもんなぁ…。

あっ、バレルさんだけ気のいいおっさんの

可能性があるのか。


そんなことを考えていたからか、

とうのバレルが入ってきた。



「ぶぇ〜!ぶっは〜!

いい酒っちゅ〜のはここじゃろホイ」


真っ赤な顔をした酔っぱらいのちっさいおっさんが

酒くさい息を撒き散らしながら入って来た。


辺りを見回して僕たちを見つける。


「よぉ〜翼。

久しぶりじゃの。って昨日も一緒じゃったがの」

ガハハハと一人笑うバレル。


周りの兵士は、あまりの酒臭さに鼻を覆っている。



完全に出来上がってじゃないか

「ダメだこりゃ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ