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古森の狐は、鬼を狩る (古森物語)  作者: 来季
鬼狩り達の物語
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火焔屋敷の日常

過去の出来事と、合わせて読むと分かりやすいかもしれません。

  7月 16日 7時 火焔屋敷


 隣の部屋から聞こえる、怒鳴り声で目が覚める。時雨は、いい夢見てたのにと心の中で文句を言いながら、布団から出る。どうしましたかと、声をかけようとして、開けようとしていた襖の前で立ち止まる。待て、何故他の人の声が聞こえる? 自分の屋敷—— 紅月家には、使用人がいない。何故なら、使用人を雇うほどの広さではなく、もしそれほど広かったとしても、それほどのお金はないからだ。状況を全く理解できずに襖の前で立ち止まっていると、バンッと音がなるほど勢いよく目の前の襖が開いた。うん、開いたのは別にいい。別にいいのだが、物凄く焦げ臭い匂いがするのは、何なのだろうか。「起こしてしまい、申し訳ございません。瀬さんを見ませんでしたか?」黒に少し銀色が、混ざった様な毛の色をし、目の色が山吹色の10才くらいの狐族の少年が、尻尾を左右に揺らしながら慌てた様に、瀬の居場所を聞く。化けたり、妖術を使う妖達の力、神通力は、朝に弱まる。狐族もその中に入り、完全に狐に戻ったりはしないが、獣特有の耳と尻尾が出る。時雨も、狐族で毛の色が白い、幸運を呼ぶ白狐だ。瀬の場所を問われ、誰だっけ・・・となっていたが、思い出す。紅月家に使用人は居ないから、昨日助けてもらった、棟煉さんのお屋敷だろう。そう考えながら、「見ませんでした。・・・あの、何でこんなに焦げ臭い匂いがするんですか?」言ってしまってから、先に名乗るべきだったと後悔した。「僕にも分かりません・・・。」耳が、後ろに下がり、尻尾も下がってしまった少年に、ごめんなさいと謝ろうとした時、足音が聞こえ耳を澄ます。先に気付いたのは、少年の方だった。「あっ、兄上! 今日は・・・大丈夫なんですか?」似ているなぁと思ったら、兄弟だったようだ。しかし、不安そうに言った『今日は』という言葉に引っかかる。そんなふうに見えないが、病でも患わずらっているのだろうか。「・・・大丈夫だ。裕、何の用だ」「瀬さんを、探しているんですが知りませんか?」「瀬?・・・6時ぐらいの時に、台所で風琴と一緒に、拍に怒られてたな」「台所って・・・兄上、かなり距離があるのに、よく聞こえますね」「そういえば、何で瀬を探してる?」棟煉さんは、気付いていないのだろうか?「火付けたままだったので、玉子焼きが焦げていました!」焦げ臭さの正体、まさかの玉子焼き・・・。焦げたのってなんか美味しくなさそうな気がする。朝御飯・・・と、落ち込んでいる裕に棟煉が「何か作るか?」「いいんですか?」嬉しかったのだろう。尻尾が、バサバサと動いている。「何がいい」「焼き魚」と即答した裕に、苦笑しながら「それまでに、3人を、探しとけ」「分かりました。屋敷にいなかったので、外探しに行きます。」そう言って、玄関のほうへ走って行った裕を、見てから「・・・すまないが、少し料理を作るのを手伝ってくれないか」「いいですよ。何すればいいですか?」料理を作るのは、苦手だと、少し不安そうに付け足した棟煉に時雨は、「大丈夫です。任せて下さい。」と言ったのだった。





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