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『変態の真髄』

数分後、俺は呆気なく取り押さえられていた。変態やオタクには似合わない、筋肉ムキムキの肉体派までいるとは―まったくもって気持ち悪い。

 体をロープで椅子に縛り付けられている状態だ。その様子を見て、明神さんと他何名かの変態が涎を垂らしていたが、恐いので見なかった事にする。


「まぁ、まぁ、落ち着きたまえよ、雅樹くん」

「・・・・・」


 俺は爺を睨む。こんな状況で落ち着ける奴がいるなら、一度会ってみたいものだ。きっと真性のMに違いない。


「え〜と・・・・・」


 爺が一冊の分厚い本を見ている。どうやら医学書のようだ。―と、何かを発見したように手で文字を追っている。


「お、あった、あった。萌えない症候群・・・・・別名、ノーマル症候群」

「なっ!?」


 俺がばっと首を伸ばし、医学書・・・・・らしきものをよ〜く見てみると、それは同人誌の一種だったようだ。世界で一番当てにならない医学書だろう。なんたってノーマルってだけで重病人扱いなのだから・・・・・・。一般的にはむしろこいつらの方が病人なんだけどな・・・・・・。

 数分後、また何かを見つけたように爺は言う。


「なに、なに?萌えない症候群には積極的かつ残虐的かつ非道な責めが有効である。染めるもよし、溺れさすもよし、とにかく押して押して押しまくるのが完治への近道である。また精神的にダメージを与えるのも効果的である(別名、脅し)。」

「・・・・・」


 なんて医学書だ!俺は頭を抱えたかったが、縛られているためできない。こ、このままではっ!? 


「よし!」

「なにが『よし!』だ!」

「今から雅樹くんを脅すことにする!」


 なんの悪びれもなくそう宣言する。


「な、なな、ななな!!」

「さすがに私も積極的かつ残虐的かつ非道な責めをするには良心が痛むしの・・・・・・」


 爺が震える。だが、目が笑っているのは誤魔化せない。俺は、何をされるのかが非常に気になるが、口には出さない。


「脅しは良心が痛まないのかよ!」

「脅しは『青少年教育委員会』では日常茶飯事だっ!」


 胸を張って言う。そういえば俺がここに連れてこられたのも脅しと言えなくもない・・・・・・。他の変態も、批判的な目をしている奴は一人もおらず、それどころか舌なめずりしてる奴がいる始末。

 そして爺は世にも恐ろしい表情へ変貌する。脅しのスペシャリストの顔だ。悪魔のようだ。俺も全身が硬直する。


「たしか雅樹くんは、妹さんと、幼なじみというベタなジャンルの知り合いがいたよね?・・・・・・恨めしい」


 たしかに妹と幼なじみがいる。てか、ジャンル言うな・・・・・。しかも『恨めしい』って殺気が籠もってた?!


「君にはその子達、とその周りの女の子に悪戯をしてもらう」

「って、決定!?何の前置きもなく決定っ!?」

「決定事項だ」


 爺はニヤリと笑う。正真正銘、本気のようだ。


「どうして、私達がそんな事を知っていると思う?」

「・・・・・し、調べたのか?」

「正解」

「ど、どうする気だ?」

「簡単な事だよ。その子達は私達にとっての人質という訳だ」

「ひ、人質?」


 爺はとんでもなく外道で恐ろしい事をさらりと言ってのける。


「雅樹くんがこのまま拒否をし続けると、あの子達が・・・・・くっくっくっ!」


 俺は生唾を飲み込む。嗄れた笑い声。喜悦に歪められた濁った瞳。・・・・・・犯罪者だ・・・・・・。今更のようにそう感じた。―そして、さらに深淵に一歩近づく。


「他の『青少年教育委員会』所属会員の餌食となるわけだ」

「なっ何っ!?」


 俺は目を見開く。え、えええええええ、餌食・・・・・・だとっ!!!!?


「危ないね、うちにはR18指定じゃないと語れない猛者達もいるというのに・・・・・」

「・・・・・」


 妹と幼なじみ・・・・・、そしてその周りの人達も人質・・・・・。俺は・・・・俺は・・・・・・。


「・・・・・・分かったよ」

「もう一度」

「分かったよ!」


 こう言うしかない。屈服。屈辱。絶望。権力と金の前に、俺は膝をついたのだ。どうしようもない無力感に襲われる。

 その瞬間、俺が膝をつくと同時に、爺の表情がもとに戻る。ニヘラとした、口臭と加齢臭にまみれた、爺に。


「いや〜、雅樹くんが物わかりよくて助かったよっ!」

「・・・・・・」

「じゃあ、これから私達が指令出していくから頑張るんだよっ!」

「し、指定?」

「まぁ、おいおい分かるさ」


 冷や汗が背中を流れる。

 俺がしぶしぶながらも同意したことで、会議室に和やかな空気が漂いはじめる。俺以外・・・・・・だけど。


「・・・・・・」 


 それを俺は、ただ見守ることしかできない。何か大事なものを失ったかのような喪失感。

 いつか・・・・・いつか絶対、復讐してやるっ!という怨念を胸に抱くことしか俺にはできなかった。

 でもそれとは別にもう一つの感想を俺は抱いた。

 変態って恐ろしい生き物だ・・・・・。

 よい子のみんなは関わらないようにっ!

 俺の身代わりになってくれる人、大募集っ!




いよいよ次からは学園編がスタートですっ!

お楽しみにっ!

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