6: 新しい仲間?
へんた…国王から王女の誕生日会に誘われたので、王都に滞在しているが…
『ベスター!感じるよ!』
「あ?」
『ビンビンだよ!』
「なんだ一体…」
フェンの奇行には慣れて来たが、正直ウザイのだ
『モン娘の気配だよ!』
「あっそう」
『なんだよ!興味を持ちなよ!』
「だから要らないと言ってるだろうが」
「私は要らない子なんですね…」
「あ、いや…」
「最低ね!」
「これ以上は要らないと言ってるんだよ」
「私は?…」
「い、要る」
「良かったです!」
「ツンデレね!」
おっさんのツンデレなんて需要がないわ!
『おっさんのツンデレ…あーっはっは!』
「ぐっ!」
「ご主人様のツンデレ…」
「ツンデレはマリリンだろ」
「はあっ?!私はデレてないわよ!」
「じゃあ、においは嗅ぐなよ」
「それは違う話でしょ!」
嗅がれる方の身になれよ…
「私はデレているので嗅ぎますね!」
「ちょっと!ずるいわよ!」
「認めればいいじゃないですか?」
「それは…」
「じゃあ、独り占めですね!」
「ぐぅ!」
聞き方によってはハーレムみたいだが、匂いを嗅ぎたかってるだけだからね?
『そんなことより、探しに行こうよ!』
「そんなことですって!?」
「行かんぞ」
『なんでだよ!』
「増やしたって意味無いだろ」
『ふ〜ん?』
「またにおいを戻すとか言うのか?」
『ベスターはダンジョンを攻略したいんだよね?』
「したいが、それが何だ」
『モン娘は強いんだよ?』
「まあ、シリカもマリリンも強いな」
「当然ね!」
『モン娘を集めれば、ダンジョンだって攻略できるかもしれないよ?』
「それは…」
確かに2人とも強いので、ダンジョンでも十分戦えている
パーティーが組めなかった、ベスターにとってはありがたい存在となっている
「むう、確かにパーティーメンバーとしては優秀だがなぁ」
『でしょ!だったら集めなよ!』
「しかし…」
「ご主人様はダンジョンを攻略したいのですか?」
若い頃からの夢は、ダンジョンを攻略してみたいということだ
数々の宝を手にした冒険者は、いずれも世界に名を残している
そんな存在になりたいと思ってはいたが、パーティーが組めないため半ば諦めていた
ここにきてダンジョンを攻略できると聞かされれば、気持ちが揺らぐのは当然だ
「でも、普通にパーティーを組めば…」
『加齢臭のベスターが?』
「それを言うんじゃないよ!」
『でも、有名なんだよ?』
「それはもう臭いが消えてるから大丈夫だろう」
『簡単に加齢臭のベスターなんて、異名が消えるとは思えないけどね』
それを言われると、言い返せないのは確かだな
「だったら3人で…」
『下級ダンジョンで満足なの?』
「それは…」
上級ダンジョンで活躍している冒険者の中には、俺と同じくらいの年齢の奴もいるが、モテモテである
羨ましいぞ、コノヤロー!
『だったらもう1人ぐらい増やしてもいいんじゃないの?』
「分かった…」
まあ、匂いを嗅がれるだけで別に被害があるわけでもないから増やしたところで問題がないと言えば問題はない
2人とも仲がいいしな
『じゃあ、探すよ!』
「場所はわかるのか?」
『任せてよ、レベルが上がったから、方向ぐらいは分かるようになったんだ!』
「それはすごい」
「待ってくだされ、師匠!」
「なんで国王が!?」
「モン娘と聞いて!」
「なんで聞いてるんだよ…」
「陛下は隣の部屋で聞き耳を立てておりました」
変態!
しょうがないので、国王を連れて探しに出かける
「いやぁ、師匠のテイムを見れるとは運がいい!」
「運なのか?」
「ハッハッハッハッ」
「笑ってごまかすな!」
「細かいことはいいではないですか!」
「細かくねーよ!」
まったく、変態は油断がならない
王都から南に3キロ、森の中でフェンがモン娘を見つけたようだ
『いた!』
「何処だ?」
『ほら!あれ!』
前方約30メートルほどの木の下に美女がいる
「おお!あれはまさか!」
「なんだ?」
美女がこちらに気づいて話しかけてきた
「あなた方は?」
「冒険者をやっているベスターだ」
「国王だ」
「シリカと言います」
「マリリンよ」
「ご丁寧にどうも、私はドライアドです」
「やはり!」
「珍しいですね」
「知ってるの?」
「はい、森で暮らしていましたから」
「ドライアドは滅多に姿を現すことはありません、これはチャンスですぞ、師匠!」
「わたくしに何かご用ですか?」
すんごい美人で話しかけづらいんですけど…
「俺は仲間を集めているんだ」
「コボルトガールとサキュバスがいますね」
「ああ」
「あなたは変態ですね?」
「違うわ!」
「彼女達を連れているというのに?」
「それは2人が…」
「私は自分からお願いして、連れてもらっています」
「私は別に一緒にいたいわけじゃないけど…しょうがないから一緒にいるだけよ!」
「…どうやら変態ではないようですね」
「当たり前だ」
「ですが、そちらの人は変態のようですが?」
「これは変態だ」
「ひどいですぞ、師匠!儂は変態ではなく、ただのモン娘好きです!」
いや、変態だろう
「それで、わたくしを仲間にしたいというのですか?」
「無理にとは言わないが…」
「わたくしに勝てたならば、考えてあげなくもないですよ?」
「分かった」
盾を構えて戦闘に備える
「いきますよ?茨の鞭!」
鞭は相性が悪い、盾をかわして、しなってくるので防ぐのが難しいのだ
「さあ、わたくしを叩きなさい!」
「ん?」
「どうしたのです?早く叩きなさい!」
「何を言ってるんだ?」
「わたくしを屈服させてみるのです!」
まさか…こいつも変態か!?
「なんでだ!」
「わたくしはこの森がある限り死ぬことはありません、ですから思いっきり叩きなさい!」
「嫌だよ!」
「…何故です?」
「変態プレイに付き合わされるなんて、嫌に決まっているだろう!」
「誰が変態ですか!わたくしはマゾ…ふあ?!」
怒って掴み掛かろうとした、ドライアドが腰砕けになる
「一体な…に…が…」
「お、おい!?」
「ふおぉー!?」
「な、何を!」
抱きついてきたドライアドが、奇声をあげながら押し倒してくる
「ちょ!」
「なんていい香り!」
「やめ…」
「まるで世界樹の花のような香り!」
「おい!」
「濡れ……」
「言わせませんよ!」
「私のベスターに何するの!」
2人が引き剥がそうとするが、予想以上に強い力でしがみついてくる
「離れなさい!」
「それは私の匂いよ!」
「痛いって!」
「はぁはぁ!」
『興奮状態だね!』
「おいフェン!ヤバすぎないか?!」
『レベルが上がったからね!』
「2人は何ともないぞ!」
『耐性ができたからでしょ』
「勘弁してくれーーーー!」
「くんかくんか」
「すんすん」
「はぁはぁ」
「ふぉー!すごいですぞ、師匠!」
「この変態どもがーーー!」
変態増える