2
主人公は開拓村生まれなので、敬語は使えません
村を旅立ってから42日、いくつかの村をまわったがどの村にも人が居ない
「一体何がどうなっているんだ…」
打ち捨てられた遺体と腐乱した遺体しか無い村々
「こちら側の村はニアバス子爵領から近い…戦争が起きているのか?だが、うちの村は領内でも外れにあった。わざわざ迂回して攻めるなんて無いと思うが」
辺境伯領は大陸の南にあり、大森林が南方に広がっているため海への道を作るために難民を開拓村に回し開拓をしていた
青年の村はもっとも南に位置しており、もっとも新しい開拓村であった
現在地は東のニアバス子爵領からほど近い村で、ニアバス子爵領との交易の中間地点として使われていた
大森林から出た木材を輸出しており街程ではないが規模が大きい
そんな場所が皆殺しになっていれば戦争が起きたと考えるのが普通だ
普通は村民を皆殺しにするなど、戦争でもそれほどあることではないが、まさか領主自らが行っているなど、青年に分かるはずがない
「ん?あれは?」
ニアバス領の方から騎馬が4騎向かってくる
「こ、これは?!」
「これは酷い…」
「ん?貴様!何者だ!」
「俺は…」
騎士4人が抜刀してこちらに向かってくる
「その鎧…騎士か!」
「待ってくれ!俺は開拓村の者だ!」
「なに?その鎧はどうした!」
「これは俺の開拓村で死んでいた騎士から借りたものだ。村が全滅していたため情報を集めるために移動するために借りた」
「…嘘偽りは無いか?」
「ああ」
「わかった事情を聞かせてくれ」
騎士の言葉に従って宿屋に行きテーブルを囲んで事情を話す
「なるほど…」
「そちらでは原因は分かっていないのか?」
「いや、我らは木材を買い付けにきた商人から村が全滅していると聞いて確認に来たんだ」
「一体何が起きているんだ」
「我らはこれより辺境伯殿にこの村の現状を伝えに行く。お前はニアバス領に行くといい」
「そうさせてもらおう」
「うむ、気を付けてな」
騎士と別れた青年はニアバス領を目指し歩いていく
「我らはニアバス子爵の騎士である。辺境伯閣下にお目通り願いたい」
「少々お待ちください」
「うむ」
しばらくすると門番は執事を連れて戻ってくる
「申し訳ありませんが、旦那様はお会いにならないそうです」
「何故だ?」
「会う必要はないとおっしゃられております」
「しかし、我らは大事な話が…」
「お引き取りください」
そう言って執事は屋敷へと戻っていく
「一体何がどうなっているのだ」
「とにかく街で話を聞いてみませんか?」
「そうだな」
街で聞き込みをした騎士達は驚愕の真実を知る
「まさか、クーデターが起きているとは…」
街民に話を聞いてもなかなか話してくれなかったが、金を渡して何人かに話は聞くことができた
「一体何を考えているのだ!」
ドンと机を叩き騎士は憤る
「領地の村を襲って娘をさらってくるなど!」
「辺境伯家の長男は無能だとは聞いていましたが、まさかここまでするとは」
「とにかく急いでお館様にお知らせしなければならない」
「そうですね、すぐに戻りましょう」
領地へと向かった騎手達は途中で歩いている青年を発見する
「青年!」
「あ?あの時の騎士か」
「原因がわかったぞ」
「なに?」
騎士から事情を聞いた青年は言葉を発することができない
「……」
「青年…」
「まずは我らと共に来い」
「いや…俺は戻る」
「まて、復讐するつもりか?」
「ああ」
「止めておけ。いくら無能だとはいえ、辺境伯であることには変わりがない。1人でどうにか出来る相手ではない」
「分かっている」
「ならば…」
その時、騎士達は青年の顔を見て驚愕する
「その目…」
「なんだ?」
「ま、魔眼」
「魔眼?」
「ああ、魔眼が覚醒した…」
魔眼
数千万人に1人という確率で覚醒するという珍しい現象で、魔眼が覚醒した人物はステータスが数倍に跳ね上がりユニークスキルに目覚めると言われている
過去に覚醒したのは者はいずれも歴史に名を残している
「魔眼の覚醒を見られるとは…」
「ふむ」
青年は身体の調子を測るように動かすが確かに先程とはまるで違う事が分かる
「青年、名前を聞かせてくれるか?」
「ヴェルナーだ」
「そうか…やはり我らと共に来ないか?」
「やめておこう」
「わかった、我らは戻るとしよう。武運を祈る」
「ありがとう」
_________________
ヴェルナー
Lv12
腕力B
体力C
魔力C
スキル
剣術Lv3 身体強化Lv2
ユニークスキル
軍神
_________________
軍神
自身のステータスに応じて配下、率いる兵のステータスを上げる