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アルストリア戦記  作者: 藤堂 元気
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それは突然だった





辺境の開拓村に騎士の集団が現れる


「騎士様、この村に何か御用ですか?」

「…」


村長が騎士へと話しかけるが何かを耐えるような顔をしている


「あの?」


何事かと集まる村人を見渡して騎士が言葉を放つ


「…総員抜刀」

「え?」


鞘走りの音を響かせ騎士達が剣を抜き放つ


「な、なにを…」

「ふぉふぉふぉ」


騎士に守られた馬車から肥満で脂ぎった男が降りてくる


「なんですか貴方は?」

「私は新たに辺境伯となった者だ」

「辺境伯様でしたか」

「うむ、この村の女を差し出して貰おう」

「差し出す?」

「見た目が良ければ私のハーレムに加えてやろうというのだ」

「そんな…」

「ほれ、さっさと女を連れて来い」

「…はっ」


辺境伯に命令された騎士達は不本意ながら動き始めるが、どの村にも跳ね返りはいるものだ、村の若者が辺境伯へと罵声を浴びせる


「ふざける!そんな横暴が許されると思っているのか!」

「ふぉふぉふぉ。許されるとも」

「なに?」


前辺境伯は開拓村を作り難民を保護するなど人格者として知られており、領民からの信頼は厚かったのだが、辺境伯の長男は無能で欲深く領民の事など家畜としか見ていなような人物であった


そのため、屋敷に軟禁されていたのだがクーデターをお越し辺境伯と次男、三男を殺してしまった


更には騎士達の家族を人質にして奴隷契約を強要する


それからは騎士達を使い傍若無人な振る舞いを繰り返していた


「女以外は殺して構わん」

「…かしこまりました」

「ぐっ!皆逃げろ!…ぐはっ!」


村長は叫ぶがすぐに騎士に斬られてしまう


「てめぇ!」

「やめろ逃げるんだ!」

「逃げられんよ」

「な…に…」


村人は逃げ出そうとするが既に村は兵士によって囲まれていた


「ふぉふぉふぉ。さあ殺せ、女は連れて来い!」


それからは目を覆うような惨劇であった


「やめ…」

「いや!」

「娘を離せ!」


開拓村なので戦えるものは居るが多勢に無勢


男は殺され、女は無理やり辺境伯の元へと連れて行かれる


「そいつとそいつは要らん」

「はっ」


「いや…」

「お許しを」


辺境伯が気に入らない女はやはり殺された


「ふむ、こんなものか」


開拓村に居た236名の中で助かった、いや、辺境伯に連れ去られたのは若い女が4人のみ


他の人間は全て殺された


「では、戻るぞ」

「…はっ」


辺境伯と騎士達がさった後には打ち捨てられた遺体と血の匂いだけが残った






辺境伯が去ってから2日


隣の領へと買い出しに行っていた1人の青年が村へと帰ってくる


「こ、これは…一体何があったんだ!」


見渡す限り生きてる者は居ない


「はっ、父さん、母さん、ミリーは!」


家の方へと走るが…


「居ない!何処だ!」


村を駆け回わるがやはり誰一人生きてはいない


「村長、あ、あれは!」




「と、父さん、母さん、ミリー…ああ…あぁぁぁ!!」


辺境伯が来た時に村長の近くに居た父と母は真っ先に殺されていた


妹のミリーは若すぎるというだけで殺されていた


「何故こんな…」


よく遺体を見ると剣で斬られた傷がある


「盗賊に襲われたのか?だけどこの村を襲える程の盗賊なんて…あれは?」


村人の遺体に混ざって騎士や兵士の遺体がある


「なんで騎士や兵士の遺体が?助けに来たのか?そうだとしても遺体をそのままにするなんて」


女を攫ってご満悦の辺境伯は遺体の処理をしていなかった


騎士の遺体に違和感を覚える


「なんで騎士に奴隷紋が?」


疑問には思ったが考えてもわからなかったので、まずは遺体を埋めて簡単にだが墓を作ることにする


10日掛かってようやく村人達の墓を作り終わると青年は騎士から剥ぎ取った剣と鎧を身に付ける


「使わせてもらう」


鎧の紋章を削り上からローブを羽織る


「父さん、母さん、ミリー、行ってくるよ」


家族の墓に手を合わせ出発の挨拶をする


「まずは隣の村で情報を集めよう。大規模な盗賊なら情報は入っているはずだ」





青年の住むこの大陸はアルストリア


存在する国はアルストリア王国のみ


象徴としての王家はあるが、それぞれが独立国のように振る舞う貴族達


戦乱が続く中にあって唯一安定していた辺境伯領でのクーデターをきっかけに大陸の戦乱は激化していく




復讐王


大陸の人々からそう呼ばれながらも絶大な支持を受けて大陸を統一した青年の物語






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