只、其処ニ在ルダケ
私は地蔵といわれる石だ。
無機物だが意思はある。
面白いだろう?意思と石をかけたのだ。
私は大体300年ぐらい前から此処で崇められている。
正直、うんざりする。
何も見えないし動けないのだ。暇で仕方がない。
音は聞こえるからそれだけが救いだ。
最近は工事の音しかしないのだ。
どうやら私もお役御免らしい。
区画整理た云うやつで私も邪魔になってしまったようだ。
暇だった。つまらなかった。何も楽しくなかった。
なのに、どうしてか悲しくてたまらないのだ。
供養されるときいている。
嫌だ、無くなりたくない。たまらなく嫌だ。
私も、私にも意思はあるのだ。
私も喋ることが出来れば、もしかすれば。
…駄目だろうな。
動けなければ無理矢理退かされるだけだろう。
寂しい、消えたくない。
結局、人間なんてそんなものだ。
都合よく信じて、崇めて、願う。
邪魔になったり纏わる記憶を忘れたら壊す
だとしても、この想いは伝わらないのだろう。
片思いだ。
私は此処にいたいだけなのに。
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