聖なる鴉は両翼に銃を持つ

　太平洋を漂流していた少年、雑賀聖人｛さいかひじり｝は、日米和親条約を調印し、帰国する途中のペリー提督に救われ、渡米し、養子となった。
　成長し、南北戦争に従軍した雑賀は、大統領から『幕末の混乱状態にある日本の情勢を探り、勝ち馬と手を組め』という密命を受ける。
　その頃、長州藩に攘夷活動で遅れをとっていた水戸藩は、清河八郎と芹沢鴨をそれぞれ江戸と京都のリーダーとして、同時に攘夷の挙兵を起こす計画を持っていた。
　文久三年五月十日。
　雑賀を乗せた米軍艦モビーディックが、横浜港へ入港する。
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