表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/55

光と陰   Act-3

あああああああっ?!


今回・・・は。


(//////////真っ赤っ赤)Byミユキ

カンカンと空き缶を鳴らして主計兵が呼ぶ。


「食事ぃーっ!配給を受け取れぇーっ。各小隊ごとに取りに来い!」


半ば強制的に食事に掛かれと命じて来る。


向田中佐の計らいだとは思いもしない中隊員達が、小喜びして主計兵の元へ馳せ参じる。


「やっとメシにありつけたか!」


身体の大きなヒロコがいの一番に喜ぶ。


「あ、それはそうと。光野中尉の分はどうすりゃいいのです?」


独り少佐に呼び出されている中隊長の食事はどうすれば善いのかとアキナが訊くが。


「そんなもん決まってるだろ、貰ってくりゃいいんだよ。要らなきゃ私が喰うだけさ!」


銀バエする気満々のヒロコに言われたアキナが苦笑いする。


「色部伍長殿は、人3倍喰うお方なのでしゅねぇ」


ナオが納得顔で頷いていた。





おぼろげな星明りの下。

二人の影が佇んでいた。


「何があったんだい?どうして怯えているの?」


震えるミユキを慮って、顔を晒したマコトが訊く。

想い人が何かに怯えている様に震えているのを観て。


「あ、あの。そう見えるのですか・・・マコト・・・様には?」


顔を向けて来ないミユキの声が、か細く訊ねてくる。


「見えるから訊いたんだよ?僕に隠してることがあるんだろ?」


柔らかく訊いたつもりだったのに、ミユキは増々うな垂れてしまう。


「言い辛い事かい?それとも誰にも言えないような話なのかい?」


呉の工廠に居た頃には陰などなかった。

あの頃は何でも包み隠さずに話してくれていた。

自分だけには・・・


マコトは目の前に居るミユキが何を想い、何を考えているのかが知り様がないもどかしさに、


「ミユキさん、僕に逢えたのが嬉しくないの?」


誓い合っていた。

ミユキの部隊が呉から去る前に。

呉の工廠に残る自分と、ミユキの間で交された約束。

再び逢うまでは、決して忘れはしないと・・・


「僕達は交わしたよね、約束を。

 僕は君を護ると、ミユキさんは僕に逢うまでは決して死なないと。

 今、此処で逢えたのは偶然なんかじゃないんだよ?

 僕が前線に行けるように取り計らってくれた方がいらっしゃるんだ。

 僕を佐官に昇進させてまで君の元へ送り出してくだされたんだ、宮様が・・・」


身体を固くして、ミユキが訊く。

自分の元仕えていた宮様に、マコトは願い出たのだろうか。

そうまでして自分を想ってくれているのだろうかと。


「マ・・・マコト様。

 私・・・穢れてしまったのです・・・マコト様に似つかわしくないまでに」


ポツリとミユキが溢した・・・涙を。


「穢れた?どういう意味だい?

 なにか・・・誰かにされたというの?」


マコトは儚げに泣くミユキを想い、優しく問う。


「いいえ、私自身が・・・です。

 この手で罪もない人を殺めてしまいました・・・

 それに部下の人達も・・・自分の所為で・・・」


泣くミユキは両手で顔を覆い、辛い心の内を吐露した。


「マコト様にお逢い出来たのは、本当に嬉しいのです。

 でも、自分だけがこんなに幸せではいけないのです。

 殺めてしまった人達や喪ってしまった部下に、申し訳がないのです」


悲しいのだろう、辛いのだろう。

人一倍優しい娘の心は、目の前で砕け堕ちようとしているのだろう。


マコトはミユキの優しさを知る者として、いたたまれなくなる。

肩を揺らして涙を零し続けるミユキに、なんと言葉をかけてやれば良いのか。

なまじ、慰めの言葉を掛けた所で、ミユキの心は癒されはしないだろう。


星明りの元、泣く娘にそっと近づくと。


「ミユキさん・・・思いっきり泣くと良い。

 僕の胸で気が済むまで、喪った人達に届くぐらい」


胸の中に包み込み、高ぶる気持ちを落ち着かせようとする。


「あ・・・マコト・・・マコト様?」


抱き締められ、押し抱かれ。

涙が枯れるまで泣くと良い・・・そう呟かれたミユキの心には、一つの光が見えて来た。


「ミユキ・・・僕は君の事が大事・・・そう。

 離れてからやっと気が付いた。

 君が傍に居てくれなくなって、心の中に空白が出来て判ったんだ。

 僕の心には君しかいない事を。君を離すなんて出来やしない事を。

 ミユキが闘うのなら僕も闘う事に決めたんだ・・・一緒に」


抱き寄せたミユキの耳元で呟く。

独りっきりでは無いのだと。


「マ・・・マコト様?!あ、あのっ?!」


告白ともとれる言葉に耳を疑って、

ミユキが戸惑いの声をあげるのを、指を口元に当て停めたマコトが。


挿絵(By みてみん)


「善いかいミユキ。一度しか言わないから。

 僕は光野ひかりの美雪みゆきを愛しています。

 この事変が終われば、故郷に帰って式をあげよう・・・いいかい?」


胸元から驚いたようにマコトの顔を見上げるミユキ。

言葉の意味が直ぐには理解出来ずに、呆然と見つめる。


1秒が過ぎ、1分が経ち・・・


「・・・駄目かい?」


待ちきれなくなったマコトが訊ねて来た。


「///////(真っ赤っ赤)」


やっと何が起きたのかを理解出来たミユキが顔を朱に染め。

カクンカクンと頷く。


「わ、私っ!私・・・私!」


混乱した頭の中では、必死にプロポーズを受けようとしていたのだが。


「私だけがこんなに幸せではいけないのですっ、亡くなった方達に申し訳がっ?!」


心の片隅にある罪の意識が邪魔をしてくる。

本当は泣くほども嬉しい・・・なのに。


「私はマコト様の妻になんて相応しい娘じゃなくなったの!

 どんなに恋しくても、どんなに愛おしくても。

 穢れた身体と心では、あなたにまで罪を着せてしまう事になるから!」


必死に自分を偽るミユキ。

マコトにはそれが決して本心からの言葉だとは思えなかった。


気付けば・・・抱き寄せていた。

肩を抱き、もう一度胸の中へと。


「やっと・・・ミユキさんの口から本当の声を聞いたような気がする。

 僕をマコト様と言わずに、あなた・・・と呼んでくれたね?

 僕をどれだけ思ってくれているのかも分かったから。

 だから・・・ミユキが罪を負うというのなら。

 僕も君の罪という物を背負わせてくれないか?

 二人でなら、きっと贖罪出来るから・・・」


求愛の声が教えている。

自分独りだけで罪を背負うなと。



<私・・・やっぱり・・・幸せ過ぎるの。

 本当の絆というモノを告げられちゃった・・・女神様からじゃなく。

 こんなに穢れたままの私なのに・・・愛されちゃってる。

 みんな・・・ごめんなさい・・・許して・・・私。

 私・・・私っ、素直になりたいの!>


抱き締めて来るマコトの手が、肩を離さない。

マコトの心臓の音が聞こえる。


・・・生きているんだ・・・


自分も、愛する人も。


申し訳ない・・・罪な自分を・・・赦して貰いたい。


心で亡くなった人達へ詫びると。

心の中に在った陰が晴れ、光が差して来る。


まるで亡くなった人達が赦しを与えてくれているみたいに。


「ミユキ・・・僕と結婚してくれ!

 嫌だなんて言わせないよ、駄目だなんて言わせやしないからね!」


どこにこれ程の勇気があったのか。

朴訥としていた青年から、勇気の滾った男へと変貌したのか。


戦場にまで追いかけて来て、そこでいきなり求愛され・・・


「ずるい・・・ずるいですよマコト様は。

 どうして断れるんですか、こんなに抱きしめられたままで。

 そんなに真剣な声で求められちゃったら・・・断れる方が不思議ですよ?」


光に満ちた心で、ミユキは涙を零す。

今度は辛い涙ではなく、幸福のしるし


「マコト様・・・私はずるい女ですよ?

 あなたの心を知りながら、躊躇うフリをする酷い女ですよ?

 あなたの口から聴かせて貰うまで心を誤魔化す、ずるい女なのですから・・・」


やっとミユキの顔から陰が消え、微笑みが戻る。


「そうかい?君がズルイというのなら、僕はもっとズルイ男だよ?

 君と出逢ってからずっと思っていた事に気付かなかった愚かな男なんだよ?

 それでも、僕の元へ来てくれるかい?」


知らず知らずに二人の顔が寄り添う。

愛を告げた男と、愛を受け入れられた女として。


「勿論です・・・ミユキはマコトのモノですから」


「そう・・・良かった・・・」


マコトの眼がミユキのつぶらな瞳を見る。

瞳の芯に輝くのは、まごう事ない愛の色。

青味がかった黒目には陰りもなく、あるのは希望の光。


「マコト・・・?」


「ミユキ・・・黙って・・・」


挿絵(By みてみん)


見詰められたミユキが一瞬だけマコトを観て。


・・・眼をそっと閉じる・・・


そっと掴まれた腰、そっと引き寄せられた身体・・・


二人の影が、星明りの元で・・・一つになった・・・

・・・・(/////真っ赤っ赤)ミユキ


こうして・・・ミユキはマコトの許婚となった。

じゃないっ?!婚約者となった!!

それじゃぁ・・・貰えるのか?

アレ・・・を?


次回 光と陰   Act-4

遂に・・・ミユキは。手にするのだった・・・贈られるのは蒼き宝珠と?!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ