黄昏の時代に Act2
近付く闇の時代・・・
世界はどうなっていくというのか?
マコトは新たな赴任先へと向かうのだった・・・・
広島県にある軍港、呉。
ここには海軍基地が存在し、内地に於いて横須賀と同規模の工廠が稼働していた。
対外戦争を行うにあたり、海軍力の増強に尽力していた<日の本>政府は、
そこに陸軍の工廠を造り終えていた。
国難に当たり、陸・海軍を隔てないとある計画に基づいて・・・
陸軍技術中尉、島田 誠に命じられたのは、
呉市内にある本部派遣支隊に転勤する事であった。
当時、呉には海軍基地隊があり且つまた造船所が整備されていた。
海軍艦艇を造船するだけでは無く、設計から計画そして試験をも行っていた。
それは次世代における新型兵器をも含んでいた・・・
陸軍が海軍と肩を並べるようになったのは、とある技術が開発されたからであった。
海軍が先に開発に着手した技術とは、この世界に古くから存在していた力の応用であった。
その力の応用とは・・・
「技術本部から派遣されてきました。
近衛師団直属技術中尉、島田 誠 であります」
新たに造られた技術本部派遣隊に着任の挨拶へ訪れたマコトが、上官である技術士官に申告する。
「おう、よく来たなマコト。
一足先に俺もここへ着いてたんだ、宜しく願います」
ちゃっしこばった敬礼を返す上官が、人懐っこい笑顔で迎え入れてくれる。
「乙訓中佐殿、こちらこそであります!」
乙訓中佐に姿勢を正して名刺と転勤命令書とを渡したマコトへ、
「早速だがな、マコト。
海軍さんが御呼びになられているんでな、一緒に行ってくれんか?」
転勤早々に上官の御供を申し遣けてくる、顔見知りの上官に。
「はい、乙訓中佐。喜んで御供致します」
嫌な顔一つ見せずに、マコトは手にした荷物を従兵に託して中佐の伴を請け負った。
呉市内から海岸方面に車を向かわせる。
陸軍派遣隊庁舎から車で数分の場所にある、海軍工廠に到着すると。
陸軍の車であるのが解ったのか、検問所で誰何された。
「失礼でありますが、ご用件の旨とお名前を伺いたい」
当直の甲板士官が車内を観て、上級者が乗り込んでいるのに気付き姿勢を正した。
「うむ。私は陸軍中佐で乙訓という。
陸海合同技術交換会の島田中佐に伺候したいのだが・・・」
乙訓中佐がそこまで話すと、海軍甲板士官が伝えられていたのか姿勢を正して。
「お話は伝えられております。どうぞ、中へ!」
ゲートを開けるように部下に目で合図した甲板士官が、敬礼して来るのに答礼したマコトへ。
「今言った通りさ、マコト。
久しく会ってなかったんじゃないのか、叔父貴には?」
そう、乙訓中佐がマコトを連れ出してきたのにはこんな訳もあったようだ。
「相変わらず、中佐は人を驚かすのが好きですね?」
「そうか?あーっはっはっはっ!」
人懐っこい笑みを浮かべた中佐に、マコトはふっとため息を漏らしていた。
海軍工廠内にある、武器弾薬を司る兵器廠に入る。
ここでは、日進月歩の兵器達が生み出され、且つ、試験を受けていた。
海軍では、今迄の次元を超える兵器の開発に着手しているようだった。
「よーぅっ、ご無沙汰だったなぁ、マコトぉ!」
幾分年嵩の中年中佐が小太りの身体を揺らして現れた。
「ああ、叔父さん。ご無沙汰しております!」
マコトが挨拶を交わそうとすると、
「乙訓中佐、良い処に来てくださいました!例の奴なのですが・・・いけそうですよ!」
島田中佐は挨拶よりも仕事の件を優先した。
肩透かしを食らったかのように、マコトは上げた手を降ろすしかなかったのだが。
「島田中佐、いけるという事なのですね?
問題の機構が・・・解決したということなのですね?」
乙訓も何かの試験でもあったのか、話題に載り結果を求める。
「ええ、漸くですよ。
闇の力に関係なく、殆どの力に反応する事が出来たみたいです」
叔父の中佐が上官の乙訓と話し合っている傍で、マコトは何の事やら全く判らず。
「あ、あの。どういった研究なのですか?何の試験が行われたのでしょう?」
意味と訳を求めて訊いたのだった。
「ああ、そういえば。
マコトには知らせてなかったよな。お前の海軍叔父貴さんは・・・な。
とある力学の権威に因って開発された<魔法の機械>を元に・・・」
乙訓中佐が途中まで話すと、
「マコト、お前も研究していただろ?
古来の力が現代に与える力の応用・・・魔法の力を人に役立てる事を」
叔父貴である島田海軍中佐が続けた。
「えっ?!魔法力学の研究を?軍隊が・・・ですか?」
マコトに頷いた乙訓中佐が、
「正確に言えば、海軍が・・・と、言った方がいいだろうがな」
陸軍に先んじて、海軍が着手した・・・とある兵器。
「そうだ、マコト。
我が海軍にしてこの装置を造らしめた。
これが実践されたのなら、劣った兵器ででも勝算は出てくるだろう。
間違いなく、この兵器が齎すのは・・・世界の地図を塗り替えらしめる事となる」
島田中佐が力説しながら扉を開く先から聞こえて来た。
金属が擦れるような音。
甲高い音が、機械が回転する度に金切り音をあげている。
マコトの眼に映ったのは青白く光る機械と、それに採り付いている数名の技術者・・・
それと・・・
「あの・・・あの子は?
あの女の子は?何をされているのですか?!」
マコトの眼に飛び込んで来たのは、半ば眼を閉じている女の子。
回転をあげて行く機械に繋がれた少女の髪は・・・青白く光を纏っていた。
「どうして?!あの子は何をされているのですか?!
どんな実験なのですか?!人体実験なのですか?!」
驚愕の眼差しで上官たちに叫んだマコトへ。
「そう、これは人体実験である。
それには理由があってな。
彼女は・・・古来から引き継がれたという魔法使いなのだ。
君も研究していた筈だぞ、マコト!」
叔父貴である海軍中佐に言われて、思い出した言葉があった。
「まさか・・・魔鋼?
魔法と機械の融合?
魔鋼機械?!」
マコトの記憶にあったのは、人知を超えた魔法の為せる技だった・・・・
赴任した先に待ち受けていたのは?
時代を見越した軍の中で、観てしまった物とは?!
次回 黄昏の時代に Act3
君は古の力を垣間見た・・・だが?それが持つ力の意味は?
今回マコトが赴任した広島県呉軍港・・・
広島って云うとですね・・・この小説を思い起こすのは私だけ?
いえいえ。きっと皆様も気付いた筈!
「成宮りん」様のページ!↓
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