第1話 転生
僕の名前は荒木 晴人。私立河村学園高等学校2年C組出席番号1番だ。別に忘れてくれて構わない。何故かって?それは僕が今から自殺するから。ほら、これから死ぬ奴のことを覚えたってなんにもなんないだろう?僕はいわゆるいじめられっ子でクラスどころか一部を除き学年全体からいじめをうけていた。親は2人共3ヶ月前に事故に巻き込まれて他界してしまっている。もうこの世に未練はない。
「さよなら」
僕はこの世界に別れを告げてから首を吊って死んだ。
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じめじめして固く冷たい感触、それに僕は気がつき目を覚ました。おかしい、さっき確かに僕は首を吊って自殺したはずだ。それに目を覚ましてからというもの声が出ない。まぁ、これは首を吊ったせいだと思うけど・・・。辺り一面暗闇に包まれていて、なにも見えない。今、分かっていることは、僕は湿った岩の上にいることだけだ。少しずつでも暗闇に目を慣らそうと辺りを見回していると、
《スキル『暗視』を取得しました》
!!?なんだ今の声!?僕は驚きのあまり気づくのが遅れたが大体5mくらい先まで見えるようになっている。辺りを見回してみると、ここが洞窟内だということがわかる。
フムフム、この状況はまさかっ!!異世界転生!?やったぜチキショウー!!ではさっきのはスキル取得の時に流れるかの有名な謎の声か!最高じゃねーか!神様って本当にいいことしてくれるよな!!マジですげー!あーあこんなことになるならなんか武術やっときゃ良かったよ。本当、僕って昔から………
・・・三十分後
しまった。僕としたことが興奮しすぎて、キャラ崩壊してしまっていた。異世界で初めからこんなんで大丈夫かな?まぁ、今はいいや。そんなことよりも今はこの場から移動しなきゃ。ここは異世界なんだ。じっとしてて魔物に襲われたら堪らない。というわけで、立ち上がって移動しなきゃ。
・・・足と腕が動かない。というより、足と腕の感覚がないことに今、気がついた。これは人外転生のしかもスライム系できまりかな。最弱の魔物シリーズか・・・。僕らしいといえばそうなんだろうけど。とりあえず、気を取り直して移動するぞー。同じ魔物だからって狙われない訳じゃあないからな。
結果、移動出来ませんでした。何で移動できないんだろう?スライムとて、移動はできる筈だ。今の僕の状態が知りたいな。視点変わったりしないかな?おっ!変わるみたいだ。よーし、これで自分の方に向けて・・・!!!??
そこにあったのは黄金の筋がいたるところに走っていて、さらにそれが脈動している、石だった。
・・・えええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!
僕は異世界転生したことを知った時より、驚いた。