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8話 姉さんと同類

ピンポーン


「ん、客か?」


 僕らが何か言う前に、静海がモニターで相手を確認し、すぐに玄関に向かった……んー。


「なんか嫌な予感が……話してたから来ちゃったのかな? なんてね」

「嫌な、ね。満更でもないくせに」

「そう刷り込みした本人に言われたくないなあ……喜んでくれるからいいけど」

「そういえばさっきの話だが……アイツのモノになった感想は?」

「……過去の恥を蒸し返さないで下さいますか?」


 そう言い、頬を赤らめながらリビングに入って来たのは、黒髪超ロングの少女。


「はは……おかえり。ちょうど、蒼月さん達と出会った当時の話をしてたからさ」


 お客さんは、本当に天王寺 蒼月さんだった。


「そのようですわね……なるほど、日記ですか。あ、ごめんなさい。日記を勝手に見るのは失礼でしたね」

「別に盗み見したわけじゃないし、気にしなくていいよ。なにより、蒼月さんは友達だし」

「ふふっ、ありがとうございます」

「優輝の日記を見ながら思い出話をしていたわけだが。蒼月も加わるか?」

「ええ、お邪魔でなければ喜んで。手土産のケーキもありますから、一緒に楽しみましょう」





       ――――――――――





「……蒼月、大胆……」

「いやいや……」


 出会っていきなり「私のモノになって」宣言はさすがに……というかなんか僕、妙に心が平静だな。

 どうやら僕は、驚き過ぎると逆に冷静になるらしい。新たな自分発見……それはともかく。手早く状況整理しよう。

 一目惚れされたってことなんだろうけど、それにしたっていきなりあの告白はオカシイ。それと、まだ出会ったばかりだからはっきりとは言えないけれど。話し方とかから、なんとなくそういう百合趣味の人ではない……気がする。


「ひとつ言っておこう」


 僕が対応に悩んでいるところに、姉さんの素敵フォローが入る。


「私が優輝のモノだ!」

「えっ対抗するとこソコ?」


 ……フォローじゃなかった。まあ予想はしてたけど。


「いやいや、そもそも僕らはモノじゃないから」

「ツッコむとこソコ⁉︎」

「アキのツッコミはなんか楽しくて好き」

「ありがとう!」


 なんだこの会話。まあちょっとおふざけ会話している間に、状況は理解出来た。


「お、女の子が女の子に告白なんて……! そんな愛のカタチもあるんだー……ま、まあ、私も優輝さんならいいかなって私そんな趣味ない〜!」


 1人悶々としてる娘がいるけど。まあ今は気にしない。


「……皆さんなんの話をしてるんですか?」


 うん、やっぱりか。蒼月さん、自分が何を言ったかちゃんと理解してないっぽい。


「こんなこともあろうかと、先程の発言を録音していたりする」


 いつの間に録音したのか、姉さんがレコーダーを取り出して再生した。


『水城 優輝さん! 私のモノになって下さいませ‼︎』

「……え? ななな、なんですかこれ⁉︎」

「つい先程のあなたの声だが」

「これではまるで愛の告白のようではないですか!」

「つい先程のあなたの台詞だが」

「……瑞希さん、楽しそう……」


 ドヤ顔でイジる姉さんに何事もないかのように無表情でつぶやく月影ちゃん。ちょっとカオスだ。


「え〜と……どゆこと? 一目惚れからの性癖ダダ漏れな大胆告白、じゃないのん?」

「人を物のように扱う趣味なんてありませんわ!」


 アキの疑問に全力否定する蒼月さん。


「だよね、ちょっと安心した。じゃあさっきのは、勢い余っておかしな言い方しちゃっただけ?」

「ええそうで……いえ。一目惚れというのは間違いではありませんわね」


 そこも否定……されるとちょっと悲しい気がするから、まあいいか。


「とはいえそれは恋愛的な意味ではなく!」


 一拍置き、照れたような笑顔をして頬に手をあて、


「優輝さんがとても可愛いかったからですわ!」


 あ。さっき思った、蒼月さんの僕を見る目、誰に似てたかわかった。僕に可愛い服を渡して着せ替え人形にしてる時の姉さんの目にそっくりなんだ。


「ん〜……? 違いがよくわかんないんだけど」

「ようするにだ。天王寺 蒼月は優輝の容姿に一目惚れしたということだ。お気に入りの可愛い着せ替え人形でも見つけたと言えばいいか」

「お人形……うん、確かに瑞希さんも優輝さんもすごい可愛いから、なんとなくわかる、かも?」


 それにいち早く気づいたから、さっきからの訳知り顔か……ちょっと嫌な予感。


「さて。人はまったく心にもないことは口から出ない。天王寺 蒼月、先程の『私のモノに』発言に関して、具体的に言ってもらおうか」

「それは勿論、私がコーディネートした服を着て最高に可愛くなって欲しい……つまり、私の芸術作品モノになって欲しい、ということですわ!」


 ああやっぱりそう来るかチクショウ……っと、汚い言葉はいけない。心清らかに、と。


「天王寺 蒼月」

「なんでしょうか? というか、フルネームではなく蒼月とお呼びください」

「では蒼月。私たちは友人関係になるべきだ」

「それは、是非とも……はっ! もしやあなたは」

「うむ。私の「最高に可愛い優輝写真集」を、お前に開示することを約束しよう」

「今日から私達は親友ですわ!!」


 そう言って、2人は固く握手した……これはつまり。僕が着せ替え人形にされる機会がさらに増える事が決定した、ということだ。


「なんとなく、私が言わないといけない気がするから言うけど……優輝、強く生きて」

「アキ……ありがと、がんばるよ」

「⁇」


 ヒロだけは、頭にはてなマークを浮かべていた。







登場人物紹介


天王寺てんのうじ 蒼月そうげつ

容姿:黒髪超ロング パッツン髪 綺麗で可愛い

身長:159cm

性格:お嬢様

好物:だし巻き卵

嫌い:生臭いもの

趣味:可愛い子をさらに可愛くする

属性:風


 大和撫子系女子。ただし可愛すぎる子を見ると変質者になりかける。一人称は私。

 入学時点で学園でもトップクラスの潜在能力と実力を持っている才女。実践経験がある分、水城ズの方が総合力的には上だが、近年稀に見る守護者有力候補の1人である。

 有名戦国武将の末裔で、昔から実力者を輩出している天王寺家の者だが、今代の当主は子に恵まれず、蒼月は孤児院から養子として引き取られた。

 月影とは、同じ孤児院に数日違いで預けられた赤ん坊の頃からの付き合いであり、物心ついた頃に天王寺家に一緒に引き取られている。

 瑞希ほど盲目的ではないが、月影のことが本当の妹のように大好き、超好き。月影に自らが仕立てた可愛い服を着せて写真に収めるのが生きがい。

 瑞希とは、最高に可愛い子に最高に可愛い格好をさせたい者同志意気投合した。

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