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3話 自己紹介その2

「巻……ちょっと思い出した。ロリ巨乳だ」

「どういう覚え方してるのさ。確かに低身長で巨乳さんだったけど」

「うむ、ヒロと同レベルのバストだった」

「でも、ロリって印象はなかったような……身長なら月影ちゃんはさらに小さかったし」

「まあそうだが……んー? 私の手前の奴、名前は女っぽいが男だったよな?」

「……結局思い出せないんだね」

「ん?」





       ――――――――――





「俺の名前は間崎まさき みやびです。俺はその、子供の頃から守護者の珠洲野守 咲様に憧れていて。その娘であるネイ先生に直々に教育していただけるとあって、とても感激しています!」


 正面、ネイ先生を熱心に見つめているようで表情は見えないけど、熱のこもった声から、目をキラキラさせているのが伺える。


(咲さんに憧れてる、か……ふふっ、彼とは仲良くなれそう)


 一般的に、守護者 珠洲野守 咲と言えば天上人みたいな扱いだけど、僕らにとっては仲の良いご近所さん、身内みたいなものだ。身内を良く言われれば、やはり嬉しくなる。


「ありがとうございます〜。それを聞いたら、母も喜びますね〜」

「夢は、守護者になって珠洲野守様と共に平和を守ることです! 趣味は……えーと、読書です」





       ――――――――――





「間崎 雅、間崎 雅……聞いたことがある気がしてきた。優輝の口振りからして、優輝の友人らしいが」

「姉さん興味が薄いことは覚える気がないし、しかたないか。それより、雅の次が姉さんだった訳だけど、何言ったか覚えて……記憶に無いんだったね」

「うむ」





       ――――――――――





 間崎君が自己紹介を終えて席に戻って、数秒経つ。

 姉さんの番な訳だけど……まだ寝ているようだ。


「ふむふむ。まあ予想通りですけどね〜。さてさて今回は……」


 姉さんが船を漕いでる時にネイ先生が取る行動は、大きく分けて3パターン。僕を使って起こすか、先生が無理矢理起こすか、放置するかだ。

 機嫌が悪い時以外は無理矢理はないけど……今はだいぶ上機嫌っぽい。間崎君が咲さんとネイ先生を持ち上げてたからかな。


「……よし。瑞希ちゃん起立っ」


 あ、珍しいパターンだ。


「……あい」


 眠そうにしながらも(実際半分寝てるけど)ゆっくりと席を立つ姉さん。

 姉さんは、寝ぼけている時にネイ先生に大きめの声で命令されると、ちょっとした操り人形状態になる。

 いつもはこの後、僕に対する悪口を言わせようとして姉さんの精神が拒絶して覚醒、て流れだけど……


「瑞希ちゃん。自分の名前と好きなものをひとつ挙げて下さいっ」

「名前……水城みずき 瑞希みずき……好きなの……優輝」

「はいはい、じゃあ瑞希ちゃん着席っ」

「あい……」


…………。


「えっ終わり? 意味わかんないんだけど……」

「えっと……アキちゃん。多分名字がミズキ、名前もミズキ、じゃないかな」

「あ〜そっか、なるほど。で好きなのが……勇気?」


 どうしよう……油断してた。この後に自己紹介するの、ものすっごく恥ずかしいんだけど……


「次の方、まだですか〜? さあさあ〜」


 良い笑顔で促すネイ先生……楽しんでるなぁ。相変わらず機嫌が良い時は変に子供っぽい。


(ふう……慌てないのせられない)


 ネイ先生のおふざけでちょっと心が乱れたけど。言うことはまとまったので、慌てず起立。黒板の前へ歩いて行き、振り返ってクラスのみんなを見る。


「お待たせしました。みなさん、どうもはじめまして。僕の名前は水城みずき 優輝ゆうきです。手前の水城 瑞希は、僕の双子の姉です。姉が最後に言ったユウキは、僕の事だと思います。姉さんはいつも眠そうにしていると思いますが、悪気はないはずなので暖かい目で見てやって下さい。あと、察している人もいるかと思いますが、ネイ先生とは同郷で、僕達が生まれた時からの知り合いです」


 慌てず落ち着いて、背筋を伸ばして、穏やかに敬意を持って、言葉はハッキリと。恥をかかないようにと母さんと練習した自己紹介を思い出しながら話す。


「未熟者ですが、これからの3年間、みなさんと一緒に仲良く切磋琢磨していければと思います。好きな事は、自分磨きと料理です。これからよろしくお願いします」


 言い終えてお辞儀をし、姿勢を直してさっと周囲を見回す。


『…………』


(あ、あれ? 妙に静まり返ってる……何かすべったかな?)


「――素敵だ」


 1人の男子の呟き。それにつられるように、


「確かに」「色々と興味深いワードが!」「料理好きだって、アキちゃんとおそろいだね」「スゲー美少女じゃね?」「やりたい」「カワイイ!」「可愛くて謙虚でボクっ娘とか美少女力強いぜ、最高かよ」「優輝だからな」「なめたい」「凄い可愛いけど胸は小さ」すぱぁん!「嫁にしよう」「姉もよく見ると可愛いよな」「双子って言ってたしね」


様々な声が湧き上がるように発せられた。


(あれ、なんだろ。すべった訳じゃなさそうだけど、異様に気恥ずかしい……教室出たい)


 それと時々ヤバイ台詞が混ざってたような……というか姉さんもなんか言ってたな。いつの間に起きたのやら。


「はいはい、気持ちはよくわかりますが、続きはホームルーム後にして下さいね〜」


 ネイ先生の言葉で徐々に落ち着きを取り戻す教室。その隙に席へ向かう。


(よし、多分失敗はしなかった。けど……ホームルーム後、大変そうだなぁ)


 それにしても。普段から姉さん筆頭に、村のみんなから言われていたけど……やっぱり僕は、かなり可愛い部類に入るらしい。思わず苦笑いが浮かんでしまう。


(容姿を褒められている訳だから、嬉しいといえば嬉しいんだけど……うーん、やっぱりちょっと複雑)


 まあ、慣れたけど。それに、姉さんが腕を組んで満足気にしてるし良しとする。


「我の名は飯屋峰めしやみね 王者おうじゃだ」


 考え事をしているうちに次の男子の自己紹介が始まった。ていうか凄い名前だ。

 ん? 飯屋峰君、立ち上がったけど自分の席から動いてない。まあ最初の天井君が自ら黒板前に行ったから流れで他の人もそうしてたけど、その場で自己紹介してはダメとは言われてない。姉さんも(寝ぼけてたからだけど)そうだったし。


「名は体を表す。我は王者に相応しいからこそ王者と名付けられたのだ」


 う、うーん……性格も凄いなぁ。姉さんと同レベルに自信満々な口調だ。


「我はクラスSに行くことも出来たが、あえてDを選んだ。ここの方が優良な雑種が多いとにらんだからだ。雑種は強い」

「あはは〜……」


 自分の席の隣まで来たとこで、ネイ先生の変な笑い声が聞こえたので振り返ると――ネイ先生が笑顔のまま固まっていた。

 あんな顔、初めて見たかも……先生ですら初めて会うタイプの生徒なのかもしれない。


「やはり我の王者としての予感は正しかった……見つけたぞ。水城 優輝!」


(……。え? 何で僕の名前呼んだの?)


 思わず振り向いた……のが、ちょっと失敗だった。


「水城 優輝。お前こそ、我が嫁に相応しい」


 振り向いた瞬間、指で顎をクイッと持ち上げられて……あれ、これって漫画とかであるキスの――





       ――――――――――





「具体的には聞いていなかったが後ろでそんな事が起きていたのかちょっと急用が出来た抹殺してくる」

「やめてね」

「……銀河の果てまでも追い詰めてくる」

「言い方変えただけでしょ。ほら銃はしまって。話は最後まで聞こうね」





       ――――――――――





「……ふ。恥ずかしがり屋だな。そこも良い」

「……そういう問題じゃないと思うんだけど」


 あ、危なかった……彼の顔との間にギリギリ手の平を滑り込ませられた。





       ――――――――――





「未遂か、それはなにより。ボコってくる」

「だからその必要はないって。というか今更そんなことしたら、姉さんのこと嫌いになるよ?」

「HAHAHA、冗談に決まっているだろう?」

「ウンソーダネ……話を戻そうか」





       ――――――――――





「しかし、あのタイミングでよく防げたな」

「……とりあえず離して」


 まだ僕の顎に添えられている指に向かって、もう片方の手で指パッチン。


「っ!」


 ぱちっと小さく静電気を起こす。突然の痛みに思わず手を離す飯屋峰君。


「電気……なるほど。雷属性ゆえの反応速度か。しかもかなりの練度と見た。さらに素晴らしい」

「それはどうも」

「どうした優輝?」


 僕の自己紹介に満足して悦に入っていた姉さんが、さすがに何かあったと気付いて振り返る。


「大したことじゃないよ。ちょっと血迷った人がいただけ」

「ふむ? まあ優輝がそう言うなら大したことではないんだろうな」


 それだけ言って前に向き直る姉さん。僕も前を、の前に嫌な予感を感じてまずしゃがむ。


「ま"」


 まだ何か言おうとしていた飯屋峰君に白い何かが物凄いスピードでぶつかり、教室後ろまで彼を吹き飛ばす。僕と姉さんは白い何かの正体を知っているけど。


「なにが⁉︎」


 さらに、未だ宙を舞っている彼に高速で接近する人影が、下から突き上げるような腹パンを見舞う。


「こふっ」


 一撃で意識を刈り取られ、だらんとする飯屋峰君。時間にして数秒の出来事だった。

 その人影は彼を抱えて静かに着地し、彼を席に置いてから教壇へと徒歩で戻る。まあ要するに、


「彼のように無理矢理な事をすると、最悪警察さんのお世話になりますので、みなさんは真似しないでくださいね〜。ではでは、自己紹介を続けましょ〜」


ネイ先生だ。ポフポフと投げつけた白いマクラをはたきながら、スッキリしましたといった感じの笑顔で先を促す。


((これが、守護者の娘様……!))


 その時のみんなのネイ先生への視線は、畏怖と尊敬の入り混じったものだったと思う。







登場人物紹介


飯屋峰めしやみね 王者おうじゃ


容姿:金髪ベリーショート わりとイケメン

身長:175cm

性格:王

好物:子豚の丸焼き

嫌い:納豆

趣味:嫁探し

属性:火


 それなりに裕福な家庭で生まれ、親に将来神話級精霊剣と契約して天帝になるよう教育された、生粋のオレ様系男子。一人称は我。

 本人も天帝になる気満々で、実力もクラスSに行けるくらい高い……のだが、この年の新年生には化け物レベルが数人いるので強さではイマイチ目立たない。

 地元では負け知らずの失敗知らずで、容姿も良い方なので女子にモテた。栄陽学園では……

 「雑種は強い」という持論を持ち、そのため第一夫人探しを兼ねてクラスDを希望したが、問題行動を起こしそうだと判断されていたので元々D行き候補だったりする。

 ちなみに第二夫人以降はクラスSの女子も候補に入れるらしい。

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