表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
課題  作者: 苗 祇夜
1/1

この町には星が降る

額に乗ってる冷たいタオルが体温をスーと下げて夏の暑さを忘れさせてくれる。体かだるい、頭がクラクラする。ひとりぼっちの部屋では空虚感に襲われる。逃げようにも逃げる場所が無い。「ムカつく」自分に向かって放った言葉が消えずに部屋に残り続けている。この言葉に逃げるようにカオルは額に乗ってるタオルをどけ、ふらついた足取りで縁側に座るとフーと長い息を吐いた。


自転車を漕ぐサトシに太陽が容赦なく降り注ぎ、顔に汗が滲んでいた。蝉の鳴き声が鬱陶しい。

漕ぐたび汗が出てきて目に入ってくる。

「これだから夏は嫌いだ」

サトシがあぜ道を自転車で駆け抜けながら呟くように放った言葉は広い田んぼへと消えていった。後ろを振り向くとトシヤが真新しいロードバイクにまたがり後ろからついてくる。

「おーい、もうちょっとスピード落としてくれよ」

トシヤが息を切らしながら叫ぶとやっとサトシは自転車を止めた。

「なぁ、サトシ、そろそろ、行き先ぐらい、教えてくれよ」

話すのさえつらいトシヤは体全体で息をしながら聞いてきた。

「1週間後に流星群がやって来るのは知ってるか?」

サトシは汗だらけなのだが、息が全く切れてない。

「うん」

トシヤは呼吸を整え静かに返事した。

「それと何の関係が?」

まゆを潜めながらトシヤがサトシの目を見ると

「あの、丘の上に建ってるあの洋館見えるだろう?」

サトシの指差した先には白い壁の洋館が遠くポツンと建ってる。

「あの洋館から流星群を見ようと思ってな、あそこからなら町も一望出来るし、星を近く感じれるだろ」

「でも、人がいるかもよ」

トシヤが心配そうな顔で見つめる。

「大丈夫だって、もし見つかった逃げればいいしな」

サトシが自信満々答える。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ