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【完結】ラプラスの魔物 千年怪奇譚   作者: お花
第ニ章 霊力大国 御稜威
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ラプラスの魔物 千年怪奇譚 8 後編

「あんなに愉しそうに笑って、何するつもりなんですか?」


「恥は大衆の前で晒す物よ。」


「あながち否定出来ないんだよなぁ……。」


三人は慧深が居る所へと向かって、直ぐ近くで緑珠は叫んだ

「ねぇ、みんな見てくれないかしら?私もね、『神の痣』があるの!」


緑珠は包帯をしていた右腕を、大衆の前で晒す。慧深が明らかに狼狽しているのを、緑珠は口角を吊り上げて見ていた。ざわざわと大衆が揺らぐ。


«何だあれは……。»


«本当に『神の痣』と全く同じ紋様だね。»


«慧深様こそが本物だ!あんな奴に惑わされるな!»


«でも、もしかしたらあれが本物なのかも……。»


その様子を見ながら緑珠は言った。


「大衆は水の様な物。どうしても人という生き物は、一人だけ、という場面に弱い。だからこうやって、水面を叩けば、微睡みの中にいる魚は生きていけなくなる……。」


慧深も黙っては居ない。直ぐに緑珠に言い返した。


「悪ふざけもいい加減にして下さい!私は!貴女みたいに暇じゃ無いんですよ!」


緑珠はあからさまに慧深を見下して言った。


「……はあ?貴女、何言ってるの?私が、暇だと?」


鼻で笑って更に続ける。


「暇なのは貴女よ、慧深。楽しかった?人を騙して生活する日々は。……まぁ、私に暇だと言えるのならば、きっと楽しかったんでしょうね。」


慧深の中身が少しずつ引き出されて行く。


「そんなものきっと型紙に絵の具なんかを押し当てて描いたに決まってる!私のは!本当に!本物の!私は!神に選ばれた人間なの!貴女みたいにバカじゃないんだよ!」


緑珠は一歩も下がらずに言った。


「バカ、ですって?この私を莫迦呼ばわりするなぞ、後で後悔するわよ。……この、蓬泉院ほうぜんいん 緑珠李雅りょくしりあの御前で、その様な暴言が許されるとでも?」


またもや大衆が騒いでいく。


«蓬泉院 緑珠李雅だと?月の皇女じゃないか!?»


«死んだって噂じゃ……。»


«首を取られたと聞いたんだけど、違うの……?»


「ねぇイブキ。」


緑珠は真正面を向いたまま言った。


「何でしょう。」


「……私、殺されてるわね。」


「……相違ありませんね。」


こほん、と咳払いをすると、緑珠は説明を続ける。


「これがね、型紙なの。それに、鉄鉱石の錆を擦れば、ね?綺麗に出来ました。」


緑珠は皆の前でそれを見せた。


「医療用の透明シートを貼ればもう完璧!水をかけても剥がれないわ。」


「で、でも!その型紙が私の物だとは!」


「ねぇ、僕を誰だと思ってるの?……慧深、って名前が引っかかってちょっと調べてみたらね、君、あれでしょう。他国でそれなりに名の知れた彫刻師だったでしょう。」


「あんた……まさか……!?」


「僕のトレードマークが紫髪だから、知ってる人も多いと思ったんだけどなぁ。認知度はまだまだかぁ……。」


緑珠が真理の方に振り返って言った。


「貴方、マグノーリエではゆ」


有名だったものね、と言う前に、イブキが声を張り上げた。


「緑珠様!危ない!」


そう言うや否や、イブキは緑珠を小脇に抱えると、持ち前の鬼の脚力で背後に跳躍する。


「ど、どうしたのって……あ、あれは……。」


慧深は何かブツブツ唱えている。恐らくアレを止めることは不可能だろう。先ほどまで緑珠の弁が立っていた場所は、炎で黒く焦げている。


「……あの人、呪術師だったのか。」


真理が軽く関心して言った。


「本当に、ギリギリでしたよ……。」


「心から感謝するわ。ねぇ、あの速さが見えたの?全く気付かなかったのだけれど。」


イブキは少し自慢げに笑った。


「僕の五感や身体能力は、普通の人間の物と比べて異常発達していますから。霊力と魔力が無い僕にとって、それだけが取り柄です。」


「え。ねぇ、僕は?あからさまに守ってくれなかったよね?」


吐き捨てる様にイブキは言った。


「……いや、別に死んでも大丈夫かな、と思いまして。」


「良くないよ!全然大丈夫じゃない!」


緑珠が慧深と、周りを取り囲む召喚された兵士を見る。


「それよりも、ケーシン様の方が先だわ。」


緑珠は先程から神器を持っていないイブキに言った。


「貴方、武器は?」


「……城に置いて来てしまって……かなり邪魔だったので……。」


緑珠がなんとも言えない目で、誤魔化そうとしているイブキを見る。


「……申し訳御座いません。僕の至らなさが原因です。」


緑珠が飾り刀を抜き、正眼に構える。


「良いわよ。煙草三日分に減らすわね。」


「……はい。」


矢のような瞳を兵の向こう側で高笑いしている慧深へと向ける。


「イブキ、見切れるかしら。その足の筋力なら彼処まで走れる筈だわ。」


「貴女は毎度無茶な事を仰いますねぇ。」


と言いつつも、イブキは姿勢を低くして言った。


「しかし、流石に見切る事は無理です。恐らく敵も所々倒さねばなりませんし……。」


「なら、私が見切るわ。敵も払う。ねぇ真理。手伝って欲しいの。」


「何でもどうぞ。」


真理は緑珠の側に現れる。


「あれは、人間じゃない。作られた者。分かるでしょう。」


「ホムンクルスのたぐいだろうね。」


緑珠がイブキに札を渡す。


「これをケーシン様の何処かに貼れば、元の姿に戻るはず。走って付けてきて欲しいの。」


「仰せのままに。」


イブキは手を胸に当てて言った。


「真理は私の固有霊力魔法を発動したあと、きっとまた魔物が湧くから、私が復活するまでの援護を。」


「了解したよ。」


真理は魔法を発動する準備をする。


「段取りとしては、私が払った後に、イブキがケーシン様の所へ行く流れでお願いするわね。」


緑珠は正眼に構えたままで続ける。


「我は王。勅命を下す者。我が誇り高き名において、我が命を完遂せよ。敵将撃破、それが我が命である!……叡智飛び交う天穹てんきゅうよ、全てを以て光と為せ。智慧ちえは人が望む至上の宝なり。故に、剣は知恵をもって凋落を示せ!『万物ノ霊長ハ人間ニ非ズ 全テハ知二アリ』!」


ゆっくりと上げられた剣の先に、風の力が集められる。それ緑珠は前の幻影軍団に投げ振った。轟々と風が吹いて、軍団は蜘蛛の子を散らす様に飛び散って行く。緑珠は膝を付いて叫んだ。


「走れ!イブキ!」


イブキは身体を屈めて走り出す。最短距離で向かう為、辺りの屋根上を軽快な下駄の音と共に走り抜けて行く。カンカンカン!と響く音が緑珠の耳にこだまして、頭痛を苛む。


「う、うぅ……まだ、まだ立たなくちゃ……。」


イブキの若草色の衣がはためいて、慧深が叫ぶのと同時に、緑珠は叫んだ。


「イブキ!後方に下がって、飛べ!」


その声を聞いたイブキは慧深を足蹴にして言った。


「貴女は毎度、無茶な事を仰る!」


粉塵が舞って、イブキは手を付いて着地した。


「完全撃破、って感じだね。」


魔法語が帯のように解けた後、何かの壺の様な物は爆発した。


「イブキ、真理、お疲れ様。ただ……まだ終わっては無いわよ。面倒臭い奴のご登場だわ。きっとあれ、幻影よ。」


イブキは直ぐに緑珠の側に控えると、魔法語がまた起こって、一番見たくない顔が見える。


「暇なの?冷泉帝。お仕事は?もしかして無職?」


「初っ端からかなり毒舌ですねぇ、緑珠李雅様。ご機嫌は?」


「おぞましく悪いわね。とっとと帰んなさい。」


「嫌われたものですねぇ。」


「当たり前でしょう。とっとと帰んなさい。」


「二回も言わなくても……。」


現れた冷泉帝は、宥めるように緑珠に話す。


「まぁまぁ、今回は連れて行きませんよ。目撃者が多いどころでは済まされませんからねぇ。」


「では何用ですか。」


今度はイブキが冷泉帝に言った。冷泉帝はにこやかに笑う。


「貴女のお父上を殺した兄王を、処刑したのは私ですねぇ。」


緑珠の動きが、全て、全て止まった。呼吸さえも忘れて、ただただ突っ立っている。緑珠の目からは涙が溢れて、口は笑顔で揺れている。


「あ……ハハっ、アハハっ、ほ、本当に、あの畜生を殺したのが、貴方なの?あの、糞畜生を?」


狂気とも言えるその表情は、ただ冷泉帝を見据えている。


「そうですねぇ。」


その瞬間、緑珠は冷泉帝の肩を掴んで問う。


「ねぇ、ちゃんと残酷たらしめてから殺したんでしょうね!?ねぇ!?ねぇったら!」


冷泉帝はすっかり緑珠の気迫に蹴落とされている。涙はぼろぼろと流れている変わりに、笑顔は引き攣って。


「あの家族は?あの家族は、どんな風に殺したの!?ちゃぁんと、拷問して殺したんでしょうね!?私の、私の苦痛の倍くらい当てて、ちゃんと、ちゃんと、ちゃんと、お母様とお父様が味わった苦痛の倍くらい、ちゃんと与えて殺したんでしょうね!?あの、あの野郎共を!」


イブキが緑珠を背後から抱きしめて言った。


「……そうですよ。全部、全部終わったんです。何もかも、貴女が皇女として引き摺っていた者が、皆、居なくなったんですよ。」


背中に熱を感じて、緑珠は己の手を見て、ただひたすらに絶叫した。


「あ、あぁ……お、終わったのね……私は……う、う、ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


緑珠は、遠い霞がかった世界で、遠い日の両親が、何処かで。


笑顔で、緑珠を見ている気がした。













莫迦みたいに広い寝台で、緑珠は目を覚ました。雲海の様なふんわりしたシーツに、ぎゅ、と緑珠はくるまる。それでもやっぱり光が眩しくて、物音がする部屋を布団から覗く。


ちらりと布団の隙間から物音のする方を覗くと、イブキが足を組んで本を読んでいた。と、思ったが、普通に爆睡している。


「……むぅ。」


緑珠はその様子をじっと見ていた。何だか面白くて笑えてしまう。すっ、と布団から足を出すと、木材がひんやりと緑珠の足を包む。イブキの側まで近寄ると、ほっぺたをつんつんとつつく。


「……う?……あの、ほっぺたつつくの、止めてもらっていいですか……。」


イブキは一度掠れた声で煩わしそうに言うと、緑珠の顔を見て一気に目が覚めたようだった。


「あ……お目覚めになられましたか?」


「ええ。貴方は?」


「僕は元より本を読んでいましたので。」


「寝ていたって自覚は?」


「……先程気付きました。」


緑珠は超高速で布団に戻ると、くるくるとくるまる。近くにあった窓の方向を向いて言った。


「……吃驚した?『あの時』のこと。」


『あの時』、が、言わずもがな緑珠の狂った瞬間だったのは、誰にだって分かった。この際『誰』、何てのはイブキしか居なかったが。


「吃驚しました。」


「……幻滅した?」


「しませんよ。」


「どうして?」


「どうもこうも、理由はありません。」


「教えてくれたって良いじゃない。」


「じゃあ秘密という事で。」


「……意地悪ねぇ。」


「男は皆、意地悪で狼ですよ。」


「……むう。」


「寝ないで下さいね?目が覚めたってこと、麗羅様に伝えて来ないと駄目ですから。」


檜の扉を開けてイブキが居なくなったのを緑珠は見届けると、寝台の近くの窓を覗く。


「うふふ……同じ城の窓から見える景色でも、全く違うのね……。」


直ぐにまた扉が開くと、麗羅が緑珠の傍に駆け寄る。


「あぁ!本当に良かった……!本当に、本当に……。」


麗羅はじっと緑珠を見ると、おずおずと口を開いた。


「……ぎゅってしても?」


「構わないわ。」


緑珠が微笑んだのを見ると、麗羅は彼女を抱き締める。


「本当に、本当に良かった……目覚めないなんて事があったら、私貴女のお母様に顔向けできないわ。良かった、無事で、本当に良かった……!お帰りなさい、緑珠……!」


イブキはその様子を見て笑っている。緑珠が麗羅を抱き締め返して言った。


「……はい、ただ今帰りました……。」










「……はい、勝ちました。」


「葉月殿は強いわね。私、将棋なら負けたことなかったのに……。」


月明かりが差し込む城の庭で、緑珠と葉月が将棋盤を間に挟んでいる。


「いえいえ、これくらい……大したことはありません。」


それよりも、と葉月は緑珠に問う。


「緑珠様は何故将棋を?皇女陛下がチェスも将棋も指せるなんて、中々珍しいです。」


緑珠は肘を付いて将棋の駒で遊びながら言った。


「うーん……そうね、私はもう二十歳だし、父に代わって良く外交をするとおもったの。その時にチェスや将棋が出来たら、とっても格好良い、とおもって。」


「緑珠様は毎度とんでもない理由で事を起こしますねぇ。」


イブキが緑珠に近付いて言った。


「ねぇイブキ。葉月殿ったら強いのよ。私、ぜんぜん勝てないわ。」


「まぁ、そりゃそうでしょうね。」


「ひ、酷い……。」


「いや、そういう事ではなくて……。」


緑珠の近くにあった透明な水を指さして言った。


「これ、清酒ですから。何杯呑みました?」


「……覚えてない……。」


イブキは自分と何処か似ている葉月に問う。


「最初は薄いのを出してたんでしょう?」


「……その通りですよ。」


「涼しい顔して中々えぐいてをつかってくるわね……。」


イブキは呆れ果てながら緑珠のほっぺたを伸ばす。


「さっきから呂律回ってないじゃないですか……。」


「あうあう。ひょんなこといふなら」


「僕に勝てと?良いですよ。」


葉月がその様子を見ながら笑う。


「くすくす……随分な自信ですね。勝てる見込みは?」


「葉月殿と打ったことが無いので分かりません……が、我が爆睡している主の為ならばそれなりに頑張るとします。……それに、葉月殿と一度話してみたいと思っていましたし。」


駒を一つ一つ置いて、両者は互いに宣戦布告する。


「それでは一局。」


「いざ、尋常に勝負と致しましょう。」









「で、勝敗は?」


「……五勝五敗で同点です。」


翌朝、イブキと緑珠は真夏の涼しい朝に話していた。麗羅の調印待ちのなか、真理が二人の会話に入る。城の入口付近には、涼風が駆けて行った。


「え。なになに?なんの話?」


緑珠が頑張って昨日のことを思い出す。


「何かね……あんまり覚えてないのだけれど、葉月殿とイブキが将棋を指したのよ。」


「結構覚えてるじゃないですか。」


真理がそれを聞いて唸る様に言った。


「で、同点か……。凄いね。深謀遠慮の塊みたいな伊吹君と同点なんて……彼を舐めてたよ。」


「書けましたよー!」


麗羅がぱたぱたと木の床を駆けて来て、緑珠に髪を渡す。


「はい、どうぞ。良く頑張りましたね。あの暴動はちゃんと処理しておきましたから。」


真理が緑珠にぼそりと耳打ちする。


「幻影の彼を祓ってくれたのは麗羅だよ。それに、君の事もちゃんと話してくれたから。」


「それなら、勿論お礼を言わなくちゃね。」


緑珠は麗羅に心から礼をする。


「本当に……色々、有難う御座いました。無理を言った事も沢山あったり……その、モツ煮込みを食べ過ぎたのは本当に悪いと思っています。でも、本当に有難う御座いました。」


麗羅は緑珠を慈しむ様に撫でると、聖母のような表情で言った。


「まぁ。敬語を外しても良いと言ったのに……。礼には及びません。是非、是非貴女の進む道を。信じる道を、進みなさい。」


緑珠はその言葉に笑顔で返すと、一つ礼をして城門を抜ける。真理は肩を竦めて言った。


「全く、莫迦なのはどっちなんだか。」


「何か言いました?」


「いや、何も?」


真理は緑珠とイブキが歩いているのを見て言った。


「僕達がまた、集まった時。その時に全てはまた始まる。その時が……きっと来る。」


「私は?混ぜてくれませんか?」


真正面を向いている麗羅を、真理はちらりと横目で見る。麗羅の巫女装束の五行思想の帯が、風がはため来たりて。


「混ぜない。だってきっと危ないよ?子孫に辛い思いはさせたくないでしょ?」


「別に良いですよ。」


「君が旅に出る訳じゃないんだよ?」


「それでも良いのです。」


麗羅はすらりと目を開けて、悠久の時を覗く。


「……きっと、きっと、その旅が……その時間が、御手洗の娘の救いになるでしょうから。」


「ねーえ!真理ー!早くおいでなさいなー!」


「もう、行かなくちゃ。」


真理は麗羅の傍から駆け出そうとする。と思うと、彼女に耳打ちした。


「死ぬ時は、ちゃんと言ってね?」


「勿論ですよ。さぁ、早くお行きなさいな。」


麗羅は真理を促すと、そっ、と手を合わせる。


(かけ)(まく)(かしこ)


我が大国主命おおくにぬしのみことよ。


(また)阿須波神(あすはのかみ)御前(みまへ)


畏み畏みもまをす。


どうか彼らに永遠の祝福を。いつ、何時なんどき何処へでも、神々の祝福を。この世の果てまでも、あの子達に御柱の祝福を。


……畏み畏みまをす。」


麗羅はそっ、と手を下ろすと、周りの木々と同じ、深緑の瞳が開いた。


「さぁ、お行きなさい。貴女の旅はまだ始まったばかり。その志。全て大切になさい。その志、山よりも高く、海よりも深いその志を、貫いてお行きなさい。……香妃こうひの、可愛い可愛い娘よ。」


緑珠は、もう霞がかる位遠くになった御稜威帝国を眺める。


「何か……いま……。」


「どうしたの?緑珠。」


「いえ。何か……声をかけられた様な気がして。」


イブキが神器『神鳳冷艶鋸』を担ぎながら問う。


「どんな風に言われたんですか?」


緑珠は足を進めて、地をしっかりと踏んで、言った。


「ええっとね……『その心を大切にしなさい』、って、聞こえた気がしたわ。……ふふ、言われなくても、私は私で貫くわ。さぁ、マグノーリエへ帰りましょう!」


緑珠は青い青い空に手を透かして、叫んだ。

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