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【完結】ラプラスの魔物 千年怪奇譚   作者: お花
第七章 究極灼熱光明神殿 ギムレー
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ラプラスの魔物 千年怪奇譚 105 楽しい☆鬼ごっこ♡

無事に家に帰って来たり緑珠が相変わらずとんでもないことをしたり絶対無理なのにイブキから逃げたりする話。

吾輩は蓬莱緑珠である。名前は変えた。あと家にも帰って来た。


さて、どうしてこんな話から始めたか。


「りょ、く、しゅ、さ、まぁ?何処にいらっしゃるんですかぁ……?」


頭上の声が物語っている。あぁ、頭上というのは隠れているからだ。その場所が何処かは、まぁ後で話そう。


言わずもがな、緑珠を探しているのはイブキだ。完全に声に怒気が混じっている。


「流石においたが過ぎるんじゃないですかぁ?」


さて、何故彼を怒らせたか。


『嫌い』と言ったから?


いやいや、それなら彼は無理矢理『好き』にさせるだろう。感情を動かすのは彼からしてみればお安い御用だろう。


では何したか。


悪戯?……まぁ、そんな所である。彼が怒ると言えば、おいたが過ぎたと言えば。


「よく食事前に、何十個の唐揚げ食べれましたねぇ?」


彼が言ってくれた。頭上から、声が落ちてくる。さて、場所のネタばらしだ。


緑珠は今、縁側の下にいる。そしてイブキは彼女が居る縁側の上に居る。


『絶体絶命』とはまさにこの事だ。


「出てきて下さいよ。痛いお仕置きなんてしませんよ?慣れたらきっと気持ち良く感じますから……ね?」


いやもうこれ居るのバレてるでしょ。痛くない『お仕置き』で何なんだろう。絶対ヤバそうな奴だ。普通に生活出来るか危うい。


「……此処には居ないんですかね。というかお仕置きされたいからやってるのかな……。」


そんなにマゾじゃない。いやサドでも無いけど。こう、普通だ。……心の底からマゾじゃない事を信じたい。イブキのカモになる。


絶対コレバレるやつだ。で、縁側に下りて見つかるんでしょ?監禁でしょ?自分自身で未来図が描けるのが恐ろしい。


が、今日は違った。


本当にそのまま、どっか行ってしまったのだ。


「……ど、ど、どっか、行っちゃったの……?」


姿が見えない。綺麗に消えてしまった。緑珠は縁側から出ると、安全な蔵まで全力疾走で走る。ふう、と安堵のため息をついた。


扉を閉めて、切れかかっている灯りを付ける。


【緑珠。何やったの?】


「うわぁっ!?……あぁ、イザナミちゃんかー……聞いてよ……。」


ひょこっ、と隣から現れた人影に、緑珠は慌てて声を上げた。そしてぐだりながら答える。


「つまみ食いしたらイブキが怒ったー……。」


【そりゃつまみ食いするアンタが悪いでしょ。】


「正論ねー……。」


緑珠は置いてある熱檸檬レモネードをカップに入れて、二階に足を進める。


【さっさと謝って来なさいな。】


「嫌よ。絶対にヤバいことさせられるもん……。」


蔵の二階……と言っても、ロフトみたいなものだが。色鮮やかな小窓に鳥が止まっている。


緑珠は長椅子ソファに座り込むと、机に置いてある様々な物を手に取った。


「イザナミちゃんも熱檸檬、飲む?」


【れもん……これが……玩具みたいな色ね。絵の具みたいだわ。】


イザナミちゃんは緑珠の手から熱檸檬を受け取ると、浮いている檸檬を不思議そうに摘む。


【この玩具みたいな果物、食べたらどんな味がするの?】


「酸っぱいよ。」


【っ!?……うぅ、こんな酸っぱいとは……。】


「梅干しの方が酸っぱいかもね。」


緑珠はに曲奇餅クッキーをさく、と口の中に入れた。


【梅干し。それは知ってるわ。食べた事あるもの。】


「身体に良いからね。」


緑珠は熱檸檬を置いて、本棚を物色する。ふわふわと浮きながら、イザナミちゃんは彼女へと問うた。


【何探してるの?】


「古い文献。」


彼女の受け答えが素っ気ないという事は、かなり集中してるらしい。


恐らくは自分自身に話しかけている様な錯覚に陥るから、も含まれているだろうが。


うーん。集中されては退屈だ。イザナミちゃんは天窓へと近付くと、蔵の窓から外を覗く。イブキは来ていない。今日は逃げ切れそうだ。


【緑珠。来てないみたいよ。……あれ。何処に行ったのかしら……。】


先程まで居た場所に、本が一冊置かれている。まさか。


【……あー……inしてる感じ……?】


イザナミちゃんはずぼっ、と本の中に手を突っ込むと緑珠を引っ張り出す。


【大丈夫?】


「な、何かぐるぐるした……魔導書の区別かつかなかったなんて……。」


目をぐるぐると回しながら、緑珠はよろよろと長椅子に戻る。


【あの本、何だったの?】


「あの本はね……真理が創った物なの。この蔵の目次みたいなもので、選んだ物品が引き出せるのよ。これを探していたの。」


ひらひらと、二冊の本を見せびらかす。が、それが禁忌だとどうやら気付いてしまったようで。


【……緑珠……そ、れ……。】


「あっ……イザナミちゃん、あの、これはね……。」


緑珠は慌てて二冊の本を隠す。『古事記』と『倭国書紀』と書かれた本だ。


【……それ……。】


「あ、あのね、イザナミちゃんのこと、いっぱい知ろうと思ったんだけど、この本とか読むのは嫌よね……?」


【……ねぇ緑珠。私は今、怒っているわ。】


怒気が伝わる。何を言えば良いのか分からなくて、緑珠は名前を呼ぶ事しか出来ない。


「……イザナミちゃん……。」


【別に私に聞けば良いじゃない。どうしてそんな紙切れの言うことを聞くの?】


怒気が薄くなって、まだ笑える怒りに持ち越される。それに安心して緑珠は言葉を紡いだ。


「でも、聞かれるの嫌かなって……。」


【今は機嫌が良いから話してあげる。伊邪那岐の口説き方とか、ちょっとカゲキな話とか!】


胸を張って、イザナミちゃんは言った。緑珠は嬉しそうに顔を綻ばせる。


「おぉ!イザナミちゃんの口からそんな話が聞けるなんて!」


【ね、だから……。】


ぎゅっ、と彼女は緑珠の手を握る。


【いっぱい、お話しましょ。私、神様だし人間の事はあんまり分からないし。貴方達の事も沢山知りたいの。】


「……良い、の?」


誰でもきっとそうだ。好き好んで思い出したくもない過去を思い出す人なんて居ない。


【気にしてくれているのね。有難う。……でも、私はきっと会えるって信じてるから。イザナギ様に。】


少しだけ肩を竦めて、安心させる。


【確かに傷付いたわよ?腐乱死体だったから驚かれるっていうのは分かったけど、どうしても愛している人にそんな事を、されてしまったら……ねぇ?】


イザナミちゃんは緑珠の隣に座る。


【なら、辛い話はしなければ良い。楽しかった思い出だけ話しましょう。】


「……有難う、イザナミちゃん。私も貴女の事、沢山知りたいわ。」


心の底から安堵して、彼女はにっこり微笑んだ。


【えぇ。……私もよ。】








【……とまぁ。こんな感じで、私は今此処に居るワケ。】


「すっ、すっごいドキドキした……。」


顔を真っ赤っかにして、緑珠は呟いた。茶化すようにしてイザナミちゃんは言う。


【えー?どの辺どの辺?】


「わ、分かってるくせに……意地悪ね。い、いざなぎさまの、お話よ……。」


【あはは!そんな真っ赤っかになるなんて思わなかったわ!そういうハナシの耐性、無いの?】


ぶんぶんと緑珠は手を振った。因みに首も横に振る。かなり激しく。そして慌てて。


「あっ、あるけど!……あ、ねぇ。イザナミちゃんの、最初の子供……。」


【あぁ。ヒルメのこと?】


「流した後、どうなっちゃったの……。」


その言葉には、『どうして流したの?』が含まれていた。それを汲み取って、彼女は返す。


【……そうね。貴女が思う事は最もだわ。私も今となっては後悔しているし。……でも、会ったことあるし。その時はちゃんと抱き締めたわ。】


「何処に居たの?」


【天界に。アマテラスっていう……まぁ、この子も私の子供なのだけれどね。その神に仕えていたわ。】


イザナミちゃんは遠くを見詰めながら言った。


【見つけて……すぐ分かって……抱き締めて……きっと罵られるだろうと、そう思っていて……。けれど、日女ヒルメは……私を、許してくれた……。『何事も犠牲がつきものです』と、そうやって、笑って……。】


「……良かったね。イザナミちゃん。」


少しの間の後に、緑珠は祝福するように言った。


【……もしかしたら、日女はまだ許してくれていないかもしれない。けれど、私は……笑ってくれた事が、何よりも嬉しかったのです……。】


「……ふふふ。イザナミちゃん、優しいのね。」


【甘えても良いのよ?私は母だもの。】


手を広げたイザナミちゃんに、緑珠は苦く笑いながら返した。


「……貴女は、私の母親じゃないわ。」


やっぱりそう返すのだと、そう悟ったイザナミちゃんは、広げていた手を元に戻す。


【……母は変われないもの。……私がそれを、一番良く知ってるわ。】


「……分かってくれて、ありがとう……。」


ぽん、と緑珠はイザナミちゃんへと身体を委ねる。


【ふふふ。だって私、八百万の神の母だもの。分かるわ。それくらい。】


「……おかあさまに、会いたいわ。」


【私には分からないわ。その気持ち。私には、母が居ないから。お兄様方なら居るけれど。】


もたれかかっている緑珠に、イザナミちゃんは問うた。


【ねぇ緑珠。『お母様』って、どんな感じなの?】


「……お母様はね。暖かいのよ。抱き締められたら落ち着く存在。不安とかそういうのが全て解消される、そんな感じ。」


【……それが分かっている貴女が、少し羨ましいわ。】


「そう?」


そのまま凭れていた彼女は、船を漕ぎ始める。


【眠っても構わないわよ。あの鬼が来たら教えてあげる。】


「ん……有難う……。」


と、緑珠が言ったそばからだった。ガチャん、と蔵の扉が開かれる。


「りょー、くー、しゅー、さー、まー、どー、こー、にー、いー、るー、んー、でー、すー、かー!」


イザナミちゃんが声をかけるよりも早く、緑珠は飛び起きてロフトの物陰に隠れる。同時にイザナミちゃんも緑珠の中に戻った。


「えぇ?全く?僕が?怒らなかったら?度が過ぎて?僕が怒らないとでも思っているんですか?」


うわもうこれ乱心じゃないですか。乱心、というよりかは乱神みたいなもんだけど。と、緑珠は物陰から声を覗く。


「暖かそうですね。この熱檸檬。ねぇ?居るんでしょう?怒らないから出て来てくださいよ。」


誰しもが経験した事があるであろう、「怒らないから言いなさい」は絶対に怒る時に使われる文言だ。


「……あーくそ、唐揚げの匂いで緑珠様が何処に居るか全然分からない……。」


おーっと?これは有益な情報だ。何なら、このまま逃げることだっ



ぐぅぅぅ……。



彼女の、お腹が鳴った。有り得ない。あれだけ食べたのに!


というかこの音を彼が聞き過ごさない筈がない!どうする!どうしよう!?足音が近づいて来てる!


いやもうこれ絶対に無理なやつじゃない!逃げられな、というか、そもそも、彼を前にして、逃げるなんて、『無謀』の権化だったのでは……?


そっと物陰を掻き分けて、伸びた手の先には。


「……みぃ、つけた。」


口元が、緩やかに弧を描いていた。











「やぁぁぁだぁぁぁぁ!イザナミちゃんたすけてぇぇぇぇ!」


【元々あんたが悪いことしたんだから、潔く反省なさい。】


「そうですよ、緑珠様。」


「やぁぁぁだぁぁぁぁ!やだったらやだ!」


赤子の様に叫びながら、緑珠は本邸の地下牢に括りつけられている。足も手も出せない状態だ。


「うっうっ……イブキの鬼畜……。」


「僕的には唐揚げ食べられた後のお皿の方が鬼畜に近しい所業をひしひしと感じましたけどね。」


イブキは淡々と括りつけている緑珠へと言うと、思い出した様に付け加えた。


「そうだ、イザナミ女史。少しお力を貸して頂けませんか?」


【はぁ?やぁよ。折檻は貴方の役目でしょ。】


姿の見えないイザナミちゃんの声が、牢屋の中に響く。イブキは少し思考して、緑珠へと手を翳すと。


「『××』様。」


【はぁー?そんなので出てくるわけな、え、ぇ……?】


彼女の言葉とは裏腹に、見事にイザナミちゃんと緑珠は分離する。


【なっ、何で私を引き出せたの……!?】


信じられないといった表情で、イザナミちゃんはイブキを見詰める。


「いや、僕も無理かなーと思ったんですけど、見えたので。」


「……見えたって、何が?」


何が見えたのだろう。聞くのもおぞましいが、好奇心に勝てる訳もなく。


「名を縛る術において、鎖みたいなものがあるんですが……それでは無い、何かです。形容出来ないですね……。」


事実、彼は今『何か』を握っている。それを見る事は出来ないが、其処に『何か』あるのだろう。


「……というか。」


首を少し傾げて、イブキはイザナミちゃんへと問いかけた。


「貴女って緑珠様の魂にくっついてるんですよね?」


【えっ?……まぁ、そうだけど……。】


「という事は、貴女を殺せば緑珠様も死ぬと?」


【……まぁ、そうねぇ。】


笑いを堪えきれなかったらしく、彼の口元を隠した手からは、ほんの少し笑みが零れ出ている。


「……ふふふ。緑珠様の生殺与奪は僕のモノですか……あはは、気持ち良いですねぇ……。」


【何か、主従逆転してない?】


イブキの言葉を聞いて、イザナミちゃんは緑珠へ問うと項垂れた。


「最近それをひしひしと感じるわ……って。」


きつく結ばれた、己の縄を見詰めて緑珠は叫んだ。


「こ、こんな事をして許されると……!?」


「随分と今更ですねぇ。しかも僕は許しを求めていませんよ。『反省』を求めているんです。」


やれやれ、といった調子で、イブキは牢屋の鍵を取り出す。


「……ど、どんな拷問でも……私は屈しないわよ……。」


「ハハッ……その威勢、何処まで続くのやら……。」


「な、何をするつもり……。」


鍵が差し込まれて、牢屋の扉が開く。そして、その、手、には……!


「唐揚げ揚げ直したんですよ。揚げたてほやほやですね。」


「そ、れは……!」


「お腹が空いたので、僕は頂きますね。」


絶賛空腹中の緑珠には辛い事をしようとしているのか。まぁそれくらいなら、これで……。


「ふふっ。それで私におねだりさせるつもりね?目を瞑れば我慢出来るわよ。」


その言葉の少し後に、ピッ、という電子音が響く。その後に響いた音は。


「……よいしょっ、と。」


扇風機の、羽が回る音だった。


「せ、扇風機っ……ひ、卑怯者!」


「美味しいですね。イザナミ女史。」


イブキの隣に来たイザナミちゃんは、むしゃむしゃと唐揚げを食す。


【えぇ。偶には悪くないわね。こういうのも。】


「そ、そんなので、わ、私が釣られるとでも……。」


うぅ、あんなに食べたのに。凄く美味しそうだ。じゅわりと油が滲みた衣に、蕩けた鶏肉。


揚物はやっぱり、油っこい物の方が好きだ。あぁもう、そんな事を考えしまったら……!


「身体は正直ですよ緑珠様。」


【涎出てるわね。】


「ほらほら、食べたいんでしょう……?」


イブキは箸で緑珠の口元まで持ってくるが、それを彼は緑珠に与えること無く食べる。


「た、たべたくなん、か……。」


「噛む度に肉汁が溢れて、とっても美味しいですよ。」


「た、たべ、たく、な、なんか……。」


「マヨネーズかけるのも悪くないですね。こういう食べ方もありです。」


「は、はうぅ……。」


「ほら、お口の中に欲しいでしょ?」


「う、うぅ……。も、もうやめて、お願い、おねがいだからぁ……。」


どれも好きな食べ方ばかりだ。そんな事を言いながら、イブキはずっと緑珠の前で食べ続けている。


「目がきらきらしてるじゃないですか。……でも、反省しないワルイコにはあげられませんね。」


「いっ、良い子になるから!お口に入れて下さい!お願い、もう我慢出来ないの!」


とうとう我慢出来なくなった緑珠がそう叫ぶと、イブキは耳元で緑珠に囁いた。


「ほら。それなら言って下さい。……って。」


「そ、そんなの言えない……。」


あまりに恐ろしい言葉だ。でも、でも、言わなくては……でも、言いたくないし……。


「じゃあご褒美は無しですね。」


「あ、いやいや、言います!言わせてぇ!」


「それじゃあどうぞ。」


緑珠は深呼吸をして、イブキへと告げる。


「も、『もう、つまみ食いはしません。縄を解いて下さい。』……う、うぅ……。」


「ほら早く。最後まで言いなさい。」


あぁもう、言えば良いんでしょ言えば、と半ばヤケになった緑珠は、


「……『伊吹様』。」


【最後アンタの趣味よね?】


「否定はしません。でもほら、ちゃんと言えたんですから、ご褒美です。」


イザナミちゃんのツッコミを超えて、緑珠はやっと口の中に唐揚げを入れこまれる。


「ふわっ、ふわっ、お、おいひ……。」


暑くて声に出せないが、美味しい……とても美味しい……。涙が出てくる……。


「でもこの一個だけですよ。」


「ひゃんっ!?」


緑珠はとんでもない悲鳴を上げると、畳み掛けるようにしてイブキは言った。


「だってお昼の摂取量超えてますもの。」


「んっ?ふぅっ!んんっ!」


声をあげようとしても出ない。それもそのはず、イブキが緑珠の口元を抑えたからだ。


「はい。食事中は喋らない。貴女は今の体重が一番良いんです。言って差し上げましょうか?よんじゅ」


「っ!」


容赦なく緑珠はイブキを蹴り倒す。見事に吹っ飛んだ。


「……ずびまぜんぢょうじにのりまじだ……。」


「乙女の体重を言ってんじゃないわよ変態。」


ごくん、と唐揚げを飲み干して、蹴られて悦んでいる変態を見詰める緑珠。


「緑珠様に蹴られた……ふふ……。」


「……つまみ食いした私が悪いんだし、じっとしておいてあげるわ。」


暴れる事を諦めた緑珠の言葉に、イブキは勢い良く顔を上げる。


「じゃ、じゃあえっちなことをしま」


「直ぐに趣旨を見失うわね貴方。ま、何かしてやらんでもないけど……。」


「……言いましたね?」


口を滑らせたと。後悔したと。思ったのだが、それはもう、結構、遅くて。


「……太ももにに重り十キロ乗せたまま、夜寝る瞬間まで正座で洗濯物畳んで下さい。」


緑珠の絶叫が響いたのは、言うまでもない。







次回予告!

四大帝国の調印を集めた緑珠が次に向かうのはとある王国……とかっこよくキメようとしたのだが、案の定ギャグ展開とシリアス展開が入り乱れるお話。

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