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【完結】ラプラスの魔物 千年怪奇譚   作者: お花
第一章 完全脱国 旧帝都
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ラプラスの魔物 千年怪奇譚 1 国を追われたお姫様

さて、新しい千年怪奇譚が始まります。『ラプラスの魔物』で言われたあの『因縁』。今回はグロ描写なんてありません。だって昔の人は優しかったんですもの。リョクシリアは月面の国、『日栄帝国』の第一皇女。ぞんざいな扱いを受け、寂しい日々を常々過ごしていたが……?

リョクシリアは何事も無く目を覚ました。有るには有るが、人の温かみを感じさせない空間で。王宮の外には一面の星湖せいこが広がっている。ここは『日栄帝国』。日、とは言っても月の上で、王宮の真上には沢山の銀河系の星星が煌めいていた。


床から起き上がると、薄暗がりの部屋で、豪奢な漢服に着替える。帝国皇女だと言うのに、誰一人来ない。そう、この王宮ではリョクシリアの事など帝国皇女として扱ってくれる人間などいない。


「……寂しい、な。」


リョクシリアは濡鴉ぬれがらすのたわわな黒髪を足元まで持ち、翡翠の瞳で自分の姿が写った鏡を見る。僅かながら長い射干玉ぬばたまの黒い睫毛に涙が濡れている。


「……これで良し!」


帯を綺麗に締めて自分の部屋のドアノブを掴んだ時だった。


「リョクシリア様ぁぁぁぁ!」


騒がしい声に騒々しい音。どったんばったんと躓く音が聞こえて、リョクシリアは恐る恐るドアを開けた。王宮の廊下では7人の少女がぐるぐる目を回している。


「あらあら……そんなに急がなくても良かったのに……。」


リョクシリアは半笑いで倒れた7人を見た。彼女等は『七仙女』と呼ばれる、リョクシリアの世話係。


そう、リョクシリアの事を帝国皇女と扱ってくれるのは、大体この7人だ。1人の凛とした少女が起きる。


「ん……そういう訳にも……いきません……!なんたって、リョクシリア様は帝国皇女なんですから!」


それでもふらふらしている仙女、しっかり者の藍色仙女──リョクシリアは彼女を花紺青はなこんじょうと呼んでいるが──が、苦虫を潰した顔で言った。


「今日こそは大丈夫だと思いましたのに……!」


反対に緑色仙女はのんびりと言う。


「そんなに急がなくても宜しいじゃない。ねぇ、花紺青。」


のんびり屋の緑色仙女、柚ノゆずのはは言った。しかし、黄色仙女が黙っていなかった。


「ねぇ、柚ノ葉。別にのんびりしても良いけど時間は守んなさいよ!リョクシリア様の支度が終わってからに……!」


世話焼きの黄色仙女──蒲公英たんぽぽは苛立ちを顕にして言った。其処に割って入るは優しい青色仙──紺碧こんぺきだった。


「喧嘩はやめましょう、姉様方。リョクシリア様も困られるわ。」


リョクシリアはそんな少女達を優しく見て言った。


「さぁ、7人とも。朝ご飯を頂きましょう。お腹が空いたでしょう。」


紅色仙女、銀朱ぎんしゅがリョクシリアの手を引っ張った。


「さぁリョクシリア様!朝ご飯食べましょ!お腹が空きました!」


橙色仙女のあんずは、小さな声でリョクシリアに言った。


「わ、私も、お腹が空きました……!」


最後の紫色仙女──紫檀したんは、くすくすと笑った。何処か妖艶に。


「わきちもお腹が空きました。頂きに上がりませう。」


リョクシリアは少女を連れ行き、食卓へ向かった。沢山の召使い達が食事を持ってくる。リョクシリアは七仙女達と食事を済ますと、何時もの向かうべき場所へと向かった。


がちゃん、と木製の大きな扉を開けると円卓に沢山の老若男女が座っていた。リョクシリアもその内の一つの空き椅子に、リョクシリアは座った。


「えー……リョクシリア様も座られた事ですし、会議を始めたいと思います。」


ただ、その声は明らかにリョクシリアを嗤っていた。リョクシリアは顔を上げて、己の円卓の向こう側、彼女の父親がいる席を見た。すると、彼女の父は言った。


「帰れ。リョクシリア。此処はお前が来るべき場所ではない。」


いいえ、と彼女は反論した。


「お父様。お言葉ですが、私は仮にもこの帝国の皇女。私にも出席する義務があると存じます。」


くすくすと嗤う周りの席は、さながら傍聴席。嗤い声に紛れてリョクシリアの耳にはこんな声が聞こえてきた。


「ねぇ……前妻様の子供なのにね……。」


「出しゃばりすぎでは?」


「たかだが強くもない帝国皇女が……。」


「皇太子様が其処に座るべきでは?」


「何も知らない箱入り娘が……!」


リョクシリアはぎりりと歯をかんで己の父親を睨んだ。皇帝は言った。


「……それを出せ。この場に不要だ。」


「なっ……!」


リョクシリアは警備官に連れていかれ、乱雑に外に出された。派手に尻餅を付いた彼女は、閉じられる円卓の扉を見た。立ち上がると、向こう側から女性が現れる。彼女を見ると直ぐに抱き締めた。


「あぁ、リョクシリア……大丈夫でしたか……!ごめんなさい、母だというのに力になれなくて……。」


淡い真珠色の髪をした女性は、リョクシリアの母親、ミナモだった。ぎゅっとリョクシリアを抱き締める。


「リョクシリア、辞めましょう?もう円卓の方々には相手にされないわ。母や七仙女の娘達と幸せに過ごしましょう。ね、お願いよ。こんな事が毎日続いたら、私はもう心配で堪らないわ。」


俯いてミナモは言った。リョクシリアも申し訳無く返す。


「ごめんなさい、お母様。でも私だって、お父様の事が心配なのです。政治だって、国民の反感を買っているばかり。一体どうすれば良いのでしょう……。」


星の湖が一面広がる廊下を2人で歩き出す。ミナモが悲しそうに言った。


「私もこの国が心配です。心配ですけれど………皇帝の妻の私よりも、兄王の後妻の力が強くなっている、今の王宮ではとても発言権など有りません。……ごめんなさいね、リョクシリア。私は貴女の何の力にもなれないわ。」


リョクシリアが慌てて訂正する。


「いいえ!お母様!お母様は私の大切な味方です。私の大切な家族です。こうやって話して下さるだけでも、とっても嬉しいですよ。」


ミナモが前方に居る男を見てリョクシリアに言った。


「アズマ様よ。会釈なさい。」


リョクシリアはさっ、と微笑みながら会釈する。だが、アズマが去った後、その顔は悲しみに暮れていた。アズマは後妻、ローザ・ネーラの息子だ。


ローザはリョクシリアの父王の好色家の兄の妻で、即ちアズマはリョクシリアの従兄弟に当たる。そして兄は権力を欲して皇帝の座を狙っているのだ。


「どうして……私が女だから?一体、どうすればいいの…。」


リョクシリアは小さく呟いた。するとまたもやミナモがリョクシリアに言った。


「大変だわ……!ローザ様がいらっしゃる……。」


相手は黒々しい服にベールに、化粧はベタベタにアイシャドウを付けている。敢えてミナモには声をかけなかったが、通り過ぎた後、女官と共にくすくすと嗤っているのが聞こえた。リョクシリアは母親に声をかける。


「お母様、大丈夫ですか。私がガツンと言えなかったから…それに……。」


それに対してミナモはピシャリと言う。


「辞めなさい、リョクシリア。何もされていないのに言うのは餓鬼のする事ですよ。」


リョクシリアは反論する。


「でも!あれは明らかにお母様の事を言っていたわ!」


ミナモは澄んだ瞳でリョクシリアを見ながら言った。


「いい?リョクシリア。そんな事、この私が一番よくわかっています。分かっているだけで十分なのです。リョクシリア、之だけは覚えておきなさい。貴女はまだ二十歳はたちになったばかりです。そしてとっても純粋だわ。何時か見返せる事が貴女にも可能ですよ。まだまだ先は長いのですから。」


そして、とミナモは悪戯っぽく笑って言った。

「そうやって悪行ばかり繰り返していると、自ずと自分にも帰ってくるという事を忘れないでおきなさい。」


ミナモはリョクシリアの頭を撫でる。何時の間にか其処は王宮の端にある帝国皇女の部屋だった。


「さぁ、少しお休みなさい。疲れたでしょ?……今夜、部屋に居なさい。少し話したい事がありますから。」


ミナモは半ば強引にリョクシリアを部屋に押し込めると、ニッコリと笑った。その後に七仙女が現れる。不思議そうな顔をして銀朱はリョクシリアに尋ねた。


「どうしたん?リョクシリア様。何か浮かへん顔してるけど……。うちが元気だしたろか!?」


軽くガッツポーズをして意気込んでいる銀朱の頭を撫でてリョクシリアが言った。

「ごめんなさい。一人にしてくれる?」


蒲公英は少し驚いた顔をすると、花紺青は言った。

「ほら、行きますよ。リョクシリア様も忙しくてお疲れなのよ。」


7人はぞろぞろと部屋から出て行った。彼女は椅子に座ると、机の上にある手紙を読む。

「リョクシリア様へ……以前よりお慕い申しておりました……イブキ……?」


手紙も検閲されないリョクシリア宛の恋文は、とある城の警備員の青年からの物だった。仕方無く手紙を仕舞うと、リョクシリアは御簾のかかった窓を開く。


「本当に……蒼いのね……。」


蒼い、蒼い宙に銀河が流れている。その写った湖は、何事も忘れられそうだ。

「ちょっとくらいなら、良いわよね……。」


リョクシリアの部屋は湖に面している。お転婆娘の彼女は、素足で湖へと駆け寄った。手をお椀にして水を掬うと、憎たらしいぐらいに手、いっぱいに星空が溢れる。

「う……あ……。」


ぽたぽたとリョクシリアの頬に雫が滴る。

「どう……して……っ……わたし、は……ちか……らになれ……っ……ないの…?」


足にかかる水は、泣き顔の彼女を移す。するとそんな彼女を横目に、警備員が現れた。リョクシリアは茂みに隠れる。


「くそ!確かに今声がしたのに…!」

「探すぞ!」


警備員の声が遠ざかるのと同時にリョクシリアは窓から部屋へ入る。

「こんなの……おかしいわ……。ねぇっ!どうすればいいのよ!」


ざめざめとリョクシリアは泣き出す。その嗚咽が終わったのは、もう夕食の時間だった。

「リョクシリアさまー!ごはんですよー!」


この呑気な声は柚ノ葉だ。完璧な笑顔を作ってリョクシリアは部屋から出る。

「あら、もう?じゃあ早く行かなければね。他の6人はもう食べたの?」


柚ノ葉がのんびりと返す。

「ゆず以外はみんな待ってますよー。さぁ、行きましょー!」


リョクシリアは駆け出す彼女の手に引っ張られて、晩餐へと向かう。其処には後妻の姿も見えた。アズマも居る。ミナモが優しくリョクシリアに言った。

「さぁ、頂きましょう?」


リョクシリアやミナモは質素な食卓で、ローザやアズマは豪勢な食卓で食べている。リョクシリアは不思議そうににミナモに言った。

「……またお父様は来ていらっしゃらないのね。」


ミナモは笑顔で笑った。

「また一緒に食べれる日が来ますよ、リョクシリア。」


食事を終えてリョクシリアが立った時だった。アズマがリョクシリアに向かって言う。

「おい、この出しゃばり女。」


彼女は怒りもせず、何も言わずにアズマを見た。

「何でしょうか。」


寧ろ微笑んで。アズマは奢り高ぶって言った。

「俺と結婚したらお前は権力がまた戻って来るぞ。どうだ。」


リョクシリアは思慮深い目で浅はかな畜生を見る。

「……嬉しいお話ですが、お断りさせて頂きます。草の庵に住む者に婚姻をご所望とは、なかなかと度胸かと存じます。」


『草の庵』、の意味が分からない相手は、リョクシリアを嘲笑った。


「わからんこと言ってんじゃねぇぞ。この王宮ではお前なんかどうでもいいんだ。」


2人の言い合いを嗤いながら見ている者、冷や冷やしながら見ている者、沢山いたがリョクシリアは冷たく突っ撥ねた。

「それ位存じております。」


ぐるぐると翡翠の瞳が畜生を打ち抜く。

「……爆ぜてしまって。」


リョクシリアが軽く睨んだ瞬間だった。全てが爆発する。ミナモが叫んだ。

「リョクシリア!駄目です!抑えなさい!」


リョクシリアがはっ、と我に返った時はもう遅かった。大広間のありとあらゆる所から火が吹き出る。前にいた皇太子は全力疾走でリョクシリアの横を走って行く。


人は混乱し、何がなにやらさっぱりだ。ミナモは彼女の手をひっつかんで部屋まで走る。何時の間にやら七仙女も居た。リョクシリアの部屋が見える。

「急いで!必要な物を鞄に詰めなさい!」


言われるがままに鞄に詰める。ミナモは窓の御簾を開けて言った。

「ここから逃げますよ。早くなさい。」


窓から2人は降りると、城の裏門を目指した。舟がちゃぱん、ちゃぱん、と水を奏でる。ミナモは言いにくそうにリョクシリアに言った。


「……地上へ向かいなさい。貴女は人を統治する術がある。其処で国を築くもよし、幸せに生きるも良しです。貴女にはこれから身が壊れるような大変な生活が始まります。けれど、これだけは忘れないで。きっと幸せになれるから。それだけを信じて生きなさい。」


すると向こうから声を上げる青年が居た。

「リョクシリア様!?何故こんな所に……。……分かりました。逃亡なされるのですね。」


リョクシリアは不思議そうに言った。

「貴方は……。」


前にいた茶髪の好青年は、笑った。

「そうですよね……。僕の名前はイブキと言います。お手紙を出しても検閲されてるか……。」


リョクシリアは笑う。

「……そう、貴方が。私に恋文を送った人ですね。」


イブキは顔を真っ赤にすると、はにかんで言った。

「そ……その、届いてましたか……。」


イブキは顔を引き締めると、リョクシリアに言った。

「一緒に、地上へ行かせてくれませんか。僕は用心棒としても仕事をしていました。きっとお力になれると思います。」


リョクシリアは同い年の青年を見て言った。


「……良いわ。行きましょう。貴方の目が気に入ったわ。」

「有り難きお言葉です。」


膝をついて礼をする。そしてリョクシリアの後ろからも声がする。

「うちらは置いて行くん!?リョクシリア様!」


銀朱の声だ。紫檀も言う。

「わきちも心配でございます。置いてかれるのかとおもて本当に焦りましたわ。」


花紺青は笑って言った。

「私無しではリョクシリア様は朝の用意も出来ませんのにね。」


紺碧も言う。

「とにかく心配しましたよ。本当に……。」


杏も叫んだ。

「私も力になれます!弱いかもしれないけど、それでも!」


柚ノ葉も蒲公英も黙っていない。


「ゆずだって、何でもできますよー!」

「あたしだって!」


リョクシリアは言った。

「……これからの旅は辛くなります。それでも良いならおいでなさい。」


ミナモはその光景をみて笑ってリョクシリアに何かを差し出す。

「……母は付いていけません。代わりに、これを。」


何かの花をあしらった豪華絢爛の髪留めを彼女に渡す。ミナモは慈愛に満ちた顔で言う。


「……これは、『日栄帝国 第一王妃』の証の髪留めです。母の形見だと思って持って行きなさい。」


悪戯っぽく彼女は笑った。


「それに、これを渡せば私は第一王妃の資格は無くなるけれども……ローザの資格も無くなりますからね。さ、舟に乗りなさい。絶対に振り向いては駄目ですよ。」


リョクシリアはなるべく笑顔で言った。

「……はい。お母様。お元気で。」


遠ざかっていく船を見て、ミナモは手を合わせて言う。

「どうか、幸せに生きて。私は何時までも貴女のことを愛しています。」


背後からけたたましい声がして、ミナモは振り返った。

「第一帝国王妃 ミナモ!第一帝国皇女 リョクシリアに処刑命令が出された!素直に従え!」


涙を拭ってミナモは軽く嗤った。


「……私から全てを奪うのですね。良いでしょう。」


処刑係は更にミナモに言った。

「おい!リョクシリアを出せ!隠しても無駄だぞ!」


王妃の気品でミナモは笑った。

「……あの子は貴方達に捕まるような柔な子ではありませんよ。」


すっと、裏門の前に立って振り返らずミナモは言う。

「さぁ、捕まえないのですか?」


手錠をかけられる手を見ながら、ミナモは言った。

「何時までも、幸せに。」







楷を揺らしながら、イブキは言った。

「これ……見つかったら一溜りもありませんね。」


リョクシリアは何食わぬ顔で言った。

「恐らくローザは追いかけてくるでしょう。流石に地上には来ないと思いますが。」


イブキは不思議そうに言う。

「にしても…どうしてお偉いさん方は地上が嫌なんでしょう。そんなに悪い場所では無いのに……。」


リョクシリアはイブキに向かって言った。


「まぁ……特に理由は無いでしょう。」

「そんなもんですかね。」

「そんな物です。」


イブキが引き攣った笑いでリョクシリアに言った。


「おいおい……冗談じゃないぞ…リョクシリア様。来ましたよ、ローザが。わざわざ将軍も連れて……。」


七仙女にリョクシリアは言った。

「少し力を貸して。」


七仙女はこくりと頷くと、小さな光となって若い女が持つには大きすぎる、立派な苗刀となった。あんぐりとしてイブキはリョクシリアを見る。その先には蒼い玉が付いていた。ローザがリョクシリアに言う。


「諦めて降参しろ!リョクシリア!貴様を殺せばこの国は我の物だ!」


リョクシリアはきんっ、と空気までも睨んでローザに言った。

「……皆の者、よく聞け!我が名は日栄帝国が娘、帝国第一皇女のリョクシリアである!」


何もかもが止まる。苗刀を掲げると、敵軍へと言った。

「城の中では扱いもしなかった者を今更帝国皇女扱いか!笑わせる!笑止千万!」


びりびりと伝わる『何か』は、誰もを凍てつかせ。

「……それでも引かぬ者は来い!我が刀が叩き斬ってくれるわ!己の正義を、貫いて見せろ!信念を見せろ!」


1人は、己の過ちに気付き、1人は悲しみに暮れた。誰1人と手を上げる物は居なかった。ローザは苛立たしげに言った。

「ええい!さっさと攻撃せんか!早くしろ!」


誰も、何もしない。狙われたのはローザだった。誰かの射った矢が、心臓を貫くと、湖の蒼を朱を染めながら、真っ逆さまに落ちて行った。漕いでいたイブキが言う。


「もう直ぐ地上へ飛びます!船を掴んで下さい!」


オーロラの様な光の帯が船を掴むと、あらゆる重力がかかる。リョクシリアは重力がかかるその瞬間に泣きながら笑った。

「……さようなら。」


お楽しみ頂けましたか?まだ2話は未定ですが、『ラプラスの魔物 第二魔物』の8話は掲載予定です。お楽しみに!

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[良い点] キャァアアア(=´∀`) リョクシリアさん男前ぇええ\(//∇//)\ ドキドキの幕開けからの、名乗りのかっこよさに痺れながらの、涙は(´;ω;`)グスン
[良い点] 上手い具合に色々と混じってますね。 七人という数も数多の物語などで使われてますけど、私は何故か七人の小人を想起しました。話の流れ的に七人官女が来そうなのに(;'∀')
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