告白
「オルガナさん、出動は未だですか! 息子たちを助けに行きましょうよ。何をモタモタと……!」
「出来ない、から、こうして、いる。技術部門の、解析が、追いついて、いない」
「しかし!」
まだ言うか、と言うようにオルガナはその男を睨んだ。睨んだと言っても、肝心の目は黒い布に覆われているのだがそれ相応の威圧感が彼女から放たれていた。
苛立っているのはこの男だけではない。立て続けの不測の事態にその他の隊員もまた落ち着かない様子であり、それはまた、指導者かつ責任者のオルガナも同じ。彼女は血濡れた戦闘服のままで彼らの前に立っている。
銀色の空間。広い。ただただ広い。見上げればドーム状になっており、座席のついたポッドがずらりと並んだ壁も、電車のような形態の乗り物が据え置かれた部屋の奥も、完璧に磨きあげられており、その時を待つ彼らを映し出していた。
ミュートロギア本部に帰還を果たした彼等だったが、子供たちを助けに行こうにも敵の作った異空間に潜り込む術に頭を抱えた。空間移動の基本は座標の移動。既知の座標があれば良いのだが、異質な空間はそれを持たない。
眉間に皺を寄せ、思案顔のオルガナ。いつも以上に近づき難いオーラを放っていた。
(夕妃や、A隊の、人間は、どうにか、持ち、堪える、筈だが、どうも、胸騒ぎが、する)
今ここにいない面々の顔を思い浮かべながら、心の中で舌打ちした。双子の──彼女から言わせれば──弟がメルデスの命を救ったとしても、こだまに何かあれば……。そう思うと、居ても立ってもいられない。
レンに集中治療室へ担ぎ込まれて行ったメルデスはいつだってこだまの事を気にかけ続けていたのを彼女は知っている。オルガナはその事情が気になって一度尋ねたことがあった。「何故そんなにもこだまに肩入れするのか」と。あの時のメルデスの表情を今でも覚えている。
『唯の贖罪さ。僕はあの子から──』
追憶に浸るオルガナだったが、その時、彼女のインカムに応答要請が入った。記憶の引き出しに彼の言葉をしまい込み、「なんだ」といつも通り返事をする。管制室からの連絡だった。
【連絡します。丁度二十秒ほど前、非常用転送装置の作動を確認致しました。既に最終加速を終え、質量体がこちらに移動中です!】
「何?」
【恐らくは異空間に取り残された団員だと思われるのですが……】
勿論、オルガナもその存在は知っていた。だが、まさか鬼との交戦と並行してその作動に踏み切れるとは思っていなかった。だからこそ彼女は出動を急いだのだった。
しかし、何故かそこでインカムの向こうのオペレーションが失活する。「何か、問題が、あるのか」と問いただす。
【我がミュートロギアに属する高校生の人数と照らすと、それを大きく上回る人数が運ばれています。さらに、元となったスポットの所在も曖昧で、本当に学園からの転送なのかも……】
「つまりは、敵の、流入も、考え、得る、のか」
【はい、そうなります。到達迄の制限時間は一分です。指示をお願い致します】
そこでオルガナはハッとした。そうだ。本来このような判断は彼女の仕事ではない。基本、武力主義であるオルガナには彼女なりの役割が与えられていたのだが、メルデスがああなった今はこの現場の責任者は彼女なのだ。
メルデスを始末し損ねたネメシスと、あちら側に寝返った菊川。そこから導き出される最悪の可能性は十分にある。かといって、軌道に乗ってしまった彼らを弾くことも出来ない。
「了解、した。配置に、つかせる。万一の、為に、医療班、及び、その他、部署にも、連絡を、回せ。戦闘に、発展した、場合、弱者を、優先して、下階へ」
【承知致しました】
オルガナ側もマイクをオフにする。そして、彼女は振り返った。
「何者か、大勢の、集団が、こちらへ、転送、されて、来ている。捕えられた、子供たちの、可能性も、あるが、そうで、無い、可能性も、ある。前衛、短機関銃掃射準備。中衛、接近戦闘準備。後衛、出入口を、固めろ! 身内で、無ければ、迷わず、始末、しろ!」
突然の指示に戸惑う一同。だが、彼らも馬鹿ではない。幾度となく修羅場を潜り、そして何よりこの女の訓練を耐え抜いてきたのだ。動きに無駄はない。
たくさんの銃口が部屋の中で少し高くなった場所へと向けられる。外部から転送された人間は必ずそこへ出現するからだ。
【カウントダウン開始します】
部屋全体に響き渡る機械的な女声。十から順に数字を降下させていく。カチャリ、と安全装置を外す音。
【三、二、──】
□◆□
若草色の光に包まれていた視界が晴れた。
外から見ると激しく渦を巻いていたそれも、一度飲み込まれてしまうと海に漂っているような、柔らかいクッションに身を委ねているような心地良い感覚が痛む身体を癒していたのだが、突然消え失せて放り出された彼らは地を転がったのだった。
仰向けになった千鶴の黒い瞳に飛び込んできたのは欠けた太陽。ホッと吐いた白いいきの向こう側の禍々しい空に、まだ自分たちは敵の領域にいるのだと見せつけられる。
何となく身体が重い。目線を少し横に流すとそこには大きな肩が。さらに視線を下げると赤い頭が見え、その顔面は彼女の形の良い谷間へ見事に収まっていた。
「い、いつまで抱きついとんねん!」
「おぶっ」
封じられた腕の代わりに膝を鳩尾に食い込ませ、拘束から逃れた。赤らめた頬。すかさず胸を抱くように隠す。鳩尾キックを至近距離で食らった彼は、ゴロンと仰向けに転がった。恨めしそうな視線を千鶴に送る。
「パイセン、酷いっす。オレ頑張ったと思わないっすか? あと三秒は欲しかった」
「やかましわ!」
もう一発ひっぱたいてやろうかと思ったが、彼の姿を俯瞰した千鶴は躊躇った。顔はいつも通りだらしなくニヤついていて、鼻から垂れる血も恐らくどさくさ紛れの性的興奮から来るものだろうと思われたが、無数の裂傷やそれによって血が滲んだ制服を見ても尚、感情任せに鉄拳を食らわせていられる彼女では無い。
踵を返し、人の気配がする方へと歩き出す。勿論、地べたに寝ている達哉は放置して。
「パイセン〜!」
「自分で歩き」
「無理っす! 肉離れしちゃったんすよ。だから、ほら!」
「なんで彼女でも無いのに介抱したらなあかんねん……」
長く逞しい腕を大きく拡げ「早くー!」と喚く達哉に心底呆れた溜息を漏らす千鶴。引き攣った顔で、彼を見下ろし手を差し伸べた。何故こうもこの男は女に対してだらしないのか。
大きな手が千鶴の白く細い手を掴む。お互いに力を入れると、達哉の身体が引き起こされる。
やはり彼は右足を引きずっていた。
「変な所触ったら殴るで」
「善処するっす」
肩を貸して歩み始めたふたり。向かう先には、三つの人影を囲む人だかりがあった。
一人は、色黒で白のニット帽を目深に被った青年。そして、もう一人はピンクのようなオレンジのような、不思議な髪色の少女。残るひとりは、短い茶髪の成人女性だった。
「夕妃先生ぇえええ! 目を開けてくれぇぇぇえ!」
「佐和山先生、大声を出さないでください。息はあるわ」
熱い男が咽び泣く声が聞こえる。茶髪の彼女は瞼を閉じていてその服や頬には焼け焦げたような痕があった。
周囲は神妙な面持ちでそれを見つめ、豊満な身体の女性が身体の傷を確かめている。彼女が羽織っていたカーディガンが夕妃に掛けられていた。生徒達も心配そうに夕妃をのぞき込む。
「神威くん……何が起きたん」
どうにかその人混みを掻き分けた千鶴と達哉。自分たちが無事なのに、まさか、夕妃が行動不能になるとは思ってもいなかった。彼らを襲った衝撃波といい、何が起きたのか理解に苦しむ。
千鶴は、緑のコートに身を包み、マフラーに顔を埋めて静かに座り込んでいる神威に問うた。伏せがちの目をすっと上げて彼らを一瞬だけ見たあと、横に流した。「見ての通りです」と言いたいように。
そして、達哉はその隣にしゃがみ込む小柄な人物に目を向けた。大きく、クリクリとした瞳いっぱいに涙を溜め、寒そうに露になった腕を抱く。
こだまの杏色の髪もまた一部が煤けて黒くなり、頭の上の自慢のリボンもまた汚れてしまっている。夕妃程ではないが、彼女もまた相当のダメージを受けているようだった。
周囲の顔色も冴えない。どこからも戦闘音は聞こえないが、むしろそれが恐怖を煽る。ミュートロギアに身を寄せる生徒達の顔にも疲労が見えていた。禍々しい空を仰ぎ、肩を落とす。
「許さない。しずか、私、許さないから」
ボソッと呟く声が聞こえた。千鶴はハッと振り返る。いつものハツラツとしたこだまの声ではない。怒りか寒さか、いずれとも取れるか細い声でそう呟いた。彼女もまた、身体にいくつかの擦り傷と焦げたような痕が見られる。唇も少し青みがかっている。
そして、こだまは立ち上がった。その右手には漆黒の鞘。フラフラとした足取りでその場を離れようとしていた。状況の飲み込めない千鶴と達哉はただ見ているしかできなかったのだが、それを制止した者がいた。
「こだま先輩、ダメです。行ったらダメです」
白くて細い腕、それを掴んだ黒い手もまた達哉や菊川などに比べれば細く華奢に見えるが、腰を上げたその高さは年相応である。こだまの怪力が神威の腕を振りほどこうとするが、彼は離さない。むしろ、さらに強く握り、一歩前へ進み出た。身長差のせいで見上げるしかないこだま。恨めしそうに彼を睨む。
今度は両手でその拘束を解こうと力むが、身体のダメージからか、痺れて上手く力が入らない。神威はそれを冷ややかな目で見つめていた。
「離して!」
元々高いこだまの声がさらにワントーン上がって聞こえる。取り巻き達は一様に肩を震わせた。しかし、神威はその言葉を無視する。いや、僅かに首を振った。
そして遂に、彼の強情な態度に対し、こだまの怒りが頂点に達した。普段は鈴がなるような可愛らしい声が彼をまくし立てる。
「ねぇ、なんで、なんで逃げたの! カムイくん! そんなすごい力使えるなら、なんで戦わないの! どうして力を使わないの! 前に言ってたじゃん、カムイくんは能力が無いんだって。銃でしか戦えないんだって!」
神威は黙って俯いてしまう。だがこだまはやめない。憤りは収まらない。
「わかんないよ、私には。ゆーひをこんなにして、学校のみんなも殺そうとしたしずかを許せないのは私だけなの? ねぇ! カムイくんはなんとも思わないの!」
「そんな訳ないじゃないですか!」
振り絞ったような神威の声は酷く掠れていた。握った拳が震える。周囲のぎょっとした視線は、喚き散らしたこだまから彼女を一喝した神威へと向く。普段から神威を見ている者は唖然とする。彼が話すことはおろか、声を荒らげる場面など見たことがなかったから。
「ボクは、強くなんてない。あれは、ボクが使っていいような力じゃないんです」
落ち着きを取り戻したように、静かに語りかける神威。だが、犬歯を剥き出しにして彼を睨むこだまにその言葉は届かない。噛み付きそうな勢いで食ってかかる。目も顔も赤くし、頬には涙が伝った。
「──それでもこだま先輩があの人達と戦うと言うなら代わりにボクが行きます。だから、こだま先輩は行かないでください」
「どうして、どうしてみんなそんなこと言うの! メルデスも、カムイくんも、なんで私に戦わせてくれないの! 私が弱いから? アキトにはあんなに戦えって言うのに、おかしいよ!」
「おかしくないです。メルデスさんは正しかった」
「なんでそう言えるの! 何も知らないのになんでそんな事言うの! ほんっと、わけわかんない! みんながこれ以上傷つくのは嫌なのに、みんな私を遠ざけて、怪我したりして帰ってくるの。私だって戦えるのに! みんな、私のことが足でまといなの? 私は要らないの? 私は……!」
──刹那、静寂が訪れた。全ての音が消える。
掴んだ腕に力を込め、羽のような軽い身体を吸い寄せるように抱き寄せる。こだまの黒い瞳孔がキュッと収縮した。こだまだけではない、周囲もまた茫然としていた。
初めて感じた柔らかい感触がこだまの唇を離れる。血の気の引いていたそれがほんのり赤みを差す。
なんで、なんでと連呼し泣き叫ぶ彼女の口を自らの唇で塞いだ神威。接吻を解いた彼は何食わぬ顔でこだまを見つめ、それからそっと抱き締めた。長い腕が背中に回され、彼女の冷えた身体を温める。
「メルデスさんは正しい。彼はあなたを守ろうとした。そしてボクも同じです」
神威の胸に顔を埋めたこだまは抵抗しない。吐く息が白く線を引く。囁くように、口下手な彼は必死で言葉を紡いだ。普段は決して想いを言葉にしない彼が。
「ボクは、あなたが好きです。初めて会った時からずっと好きでした。どう思われても構わない。一方通行でもいい」
彼らの足元を旋風が駆ける。赤い木の葉が飛び去った。異質な牢獄に閉ざされた彼等にも風は吹く。
彼の告白をじっと聴いていたのは、当事者だけでは無い。周りの生徒や教員もまた静かに見守った。冷やかしは一切無い。汚く鼻水を垂らしている佐和山も狐につままれたような顔をしている。
そして神威はこだまをそっと離した。俯いたままの彼女の肩に着ていたコートをそっと掛けてやる。神威の赤いジャージが露わになった。さらに、マフラーを外してこだまの首に巻く。彼の指がその首筋に触れる時、彼女がメルデスから譲り受けたロケットのチェーンに指が少し引っかかった。
「肩が、冷たくなってました」
そして漸く、こだまが顔を上げた。ポカンとした表情が神威のぎこちない笑顔と向き合う。こだまの頬を涙が伝っていた。掛けられたコートの温かさと、マフラーからふわりと香った神威の匂い。少し香を焚いたような懐かしい感覚。
彼女の拳の中から、黒い鞘が消え失せた。
「ちょ、ど、どないなってるん……」
千鶴が小声で隣の達哉に囁くが、達哉は意味深な笑みを返しただけで何も言わなかった。
その時。彼らの人溜まりのすぐ側のマンホールがガタガタと不気味な音を立て始めた。一同の注意が其方へと傾く。神威も、未だに放心状態のこだまを庇うようにそれを鋭い視線を向けた。
誰かが下から叩いている様な、突き上げるような揺れ。遂に、蓋が外れて中から何かが飛び出してくる。赤黒い影。銃を持つ者、刃物を持つ者、皆何かしらの武器をそれへと向けた。
「解除できたぞ! あと十秒で起動する。いやぁ若い頃の機械弄りがこんなところで役に立つとは……。な、なんだ。私はお呼びでなかったのか?」
白髪混じりの髪に、鳶色のニットベスト。シワの刻まれた頬や這い出でるのに地面を掴んだ手には古くなった油の汚れがこびり付いている。
若干興奮気味のその年配の男は自らに向けられた武器を眺め回し、勝ち誇ったような笑みを青くしてしまった。
「教頭先生、本当ですか!」
「ああ。この顔が嘘をついているように見えるかね? 望月さんも、無事だったか」
「お陰様で」
夕妃に寄り添っていた養護教諭、江口が声を明るくした。教頭は大きくかぶりを振る。そして、彼らが座り込んだり、立ち尽くしたりしている地面が白く発光し始め、光の粒が周囲を取り巻いた。地下で眠っていた磁場装置に力を与えられた光が加速していく。
同様の現象は第四の鬼の匣庭の計四箇所でみられた。月に食まれた黒い太陽が見つめる先で、光はどんどん強くなる。
──彼らの景色が今、反転する。
□◆□
広い中庭。その中央で、一人の女が横たわっていた。焼け爛れたような肌からは白煙が上り、その表情を隠す。
禍々しい空を仰ぎ、手を伸ばした。
「そうだわ……。あの男が探していたのはきっと、彼。よく考えれば顔立ちも似ている。世間は、狭いわね。うふふっ」
独り合点し、吹き出した彼女。血が滲んだ制服の胸元には『神崎静』という名札がついている。
その時、耳元で硬い音がした。フローラル系の香水の香りがきつい。目を向けずとも誰か理解する。彼女の上司に当たる人物と言っても過言では無い。
「なぁにおネンネしちゃってるのかしらぁ?」
「うぐっ」
妖艶な声が呻ったかと思うと、静は顔面を掴まれて宙吊りになる。真っ赤な爪が側頭部に深く食い込んだ。痛い、と声に出せないほどの鋭い感覚に身悶える。
女は暫くそうしていたが、飽きたようにその少女を地面に投げ捨てた。鋭利なピンヒールを高鳴らせながら静へ歩み寄る。醜い姿を眺め回したその目は酷く冷たい。
「あまりにも遅いから、心配してあげたのよぉ? ところで、あの愚直男はどうしたのかしらぁ」
「知りませんよ。私に『鞘』だけじゃなくて、あの能力者まで押し付けたんです」
「まぁ、それは酷な事ねぇ。それならあの男はそれ相応の力を発揮してもらわなくちゃイケナイ訳だけど……向こうの建物でどうも挽肉になってるみたいだわぁ」
「……使えない奴」
妖艶な女はそのくすんだ金色の髪をふわりと靡かせる。胸元の蜘蛛のブローチがカサカサと動いた。それを撫でる彼女こそ、第一の鬼──バリッサ。呆れたように嘆息する。
「それより、アナタさっき『探していた彼』がどうのこうの言ってたけど。もしかして、私達と取引してるあの男かしらぁ?」
間延びした様な話し方の彼女に、静は頷いた。
「ええ。奇妙な術を使っていましたよ。異能力とは何かが違う」
「異能力と違う? 」
バリッサの眉間に深い皺が刻まれる。
「何の目的かは分からないけど……どうも厄介そうねぇ」
口元に孤を描きながら、バリッサは風に囁いた。
足元で静が深く深呼吸をする。だが、バリッサはそれを許さない。一瞥とほぼ同時に、静の腹部に赤黒い穴が開く。彼女のピンヒールが内臓を掻き回し踏み躙る。修復が追い付いていない静の表情が大きく歪み、口からは吐瀉物と共に赤黒い血が吹きこぼれた。
「休憩してる場合じゃないわよォ。肉屑を回収して出直すわ」
優しい口調でそう言ったバリッサ。静の腹から踵が引き抜かれる。失神しかけた彼女は内臓が零れないよう、腹部を抑えながらフラフラと立ち上がった。
この広い匣庭に、人の気配はない。バリッサが金属の腕を大きく振るうと円盤が飛び出し、ふわふわと彼女の前で浮遊した。二人はそれに乗り込む。バリッサは器用にその上に立ち、静は縁に腰掛けた。彼女たちを載せた奇妙な乗り物は高く空へと舞い上がり、飛び去っていった。




