推薦人の自己紹介と魔法
10000PV突破! やったね! もっと頑張んなきゃ!
それはともかく、また少し間が空いてすみません。でもやっぱりこんな感じで、間隔が空く感じの投稿頻度になりそうです。どうか、よろしくです。
「ボクはマルス・ネルフェン。一応、この国の筆頭魔導師をやらせて貰ってるよ。まぁ、半ば押し付けられた感じだけどね」
ガイアもそうだったけど、こいつらは相手が誰であれ自分のペースを崩さないな。レイルボ相手でも俺とかを相手にしていても態度が変わってない。図太いのか鈍いのか、それとも大物か。………どうでもいいか。
「ほぉ! 筆頭魔導師デスか! ぁと言うことは、貴方がこの国で一番の魔法の使い手ということデスかね?」
ガイアの時よりも食い付きがいいな。それはそれとして、また踏み込むなぁ。
「いやいや、ボクの専門は解析とか研究の方だからね、実際に使うのはそんなに得意じゃないよ。強さとしてはセインス君に軍配が上がるね」
嘘吐け。何が得意じゃないだ、むしろ使いこなしてるだろ。魔法の研究と解析やってりゃ魔法の扱いも人並み外れんだろ、ペテン師め。
まぁ、レイルボは特に気にしていないみたいだな。
「デスが、筆頭魔導師とはそう簡単になれるモノでもないでしょう。実力と、信頼が伴っているからこその筆頭魔導師デスよね?」
その通りだな。
「んー……、そもそもボクが筆頭魔導師になれたのも、セインス君が既に【明光騎士団】の団長を務めていて、それで次点のボクに白羽の矢が立っただけだからねぇ」
でもその時点でトップツーだろ? しかも魔法への理解ならセインスをも上回る。………やっぱり要注意だよな。
「まぁともかくボクはこんな感じだけれど、推薦人としての役割は果たせたかな?」
「ぁはい。ネームバリューはバッチリデスね! ひとまずは大丈夫デス」
含みのある言い方で切るレイルボ。あれか、結局は実力も示せって展開かな? ……それは勘弁願いたいけどな。
「ぁそれでは次の方ー」
「ふむ、私かな。お初にお目に掛かる。私はキュルス・ド・オーランディールと申す者。偉大なるオーランディールに連なる者である」
……………。いや、偉大なるオーランディールとか言ってるけど、誰それ? 少なくとも世界的に有名な貴族ではねぇよな。
レイルボもその名は知らなかったのか、首を傾げている。
「はて……、申し訳ないのデスが、オーランディールというのは?」
すると、チョビヒゲことキュルスが愕然とした表情でレイルボを見た。
「何と! 魔導評討連盟の最高審議長ともあろう方が我がオーランディール家をご存知無いと!? なんたる事だ……」
うぜぇ。いきり立つキュルスを横目に、リーナに問い掛ける。
「……なぁ、あいつの言ってるオーランディールってのはそんなに凄いのか?」
すると、顔をしかめていたリーナがこちらを見て答えた。
「……一応、この国ではある程度有名かな…。でも悪い評判もあるから、胸を張れるような家じゃないと思うよ」
「……なるほどね。つーかその程度で威張ってんのかよ、程度が知れるな」
「………であるからして! 我がオーランディール家は……」
未だご高説を語っていたキュルスだが、レイルボは明らかに辟易している。…あのレイルボを辟易させるとは、ある意味凄いな。
「……オーランディール家の凄さは分かったのデス…、資格ありでいいのデス……」
だいぶ投げやりな感じでレイルボが言った。これ以上聴きたくないってとこか? 同感だね。
「おぉ、理解して頂けたか! それでこそ最高審議長というモノですな!」
「………なんでお前がそれを語るんだよ、誰視点だよ」
絶妙に神経を逆撫でしてくれる奴だな。穿ちてぇ。
「………ぁこほん。それでは最後の方、お願いするのデス」
遂に俺の番か。…と言っても、言えることなんて殆どないんだけどなー。
「…ジオだ」
「………」
「………」
「………」
「………」
「………ん? 終わりデスか?」
「あぁ」
長い沈黙のあと、レイルボがそう聞いてきたので、短く返す。
「ふむ、名前以外は教えられないという事デスか?」
「教えられないってか教える様な事は無いって感じだけどな。でも、別にいいんだろ? あくまで自己紹介しろって言ってるだけなんだし」
こいつの性格からして、回りくどいのはそこまで好まない。単刀直入に必要な情報さえ言えばいいだろ。
「………ふむ、ジオ殿でしたね? ぁ以前に何処かでお会いしマシたか?」
「いや? 俺はお前とは初対面だぞ?」
ジオではな。
「ふぅむ。そうデスか…」
若干腑に落ちないらしいが、気にしない気にしない。
「………まぁ、いいでしょう。それでは本題デスが、推薦人の方々。大前提として魔法は扱えマスよね?」
切り替えたレイルボは俺達に向けてそう聞いてきた。
「流石に副隊長を務めていて魔法を扱えない、なんてことはありえないよ。当然使える」
「いやぁ、ボクは一応筆頭魔導師だからねぇ。当然使えるよね」
「オーランディール家当主として当然であるな」
「………使える」
四者四様の答えだが、全員魔法は扱える。いや、そりゃそうだろうけどな。
「ぁよろしいのデス。まぁ、今のはあくまでただの確認デスからね。では本当の本題デスが………」
レイルボとしても流石に魔法を使えないとは思っていない様で、そう言って改めて本題に入った。
「では、皆さんは、特級魔法は扱えマスか?」
………そうきたか。確かに、実力を量るにはうってつけだな。それに、特級魔法は本当に限られた者のみが辿り着ける境地でもある。いや、本当はそこまでじゃないけと、それでも生半可な努力と才能じゃ扱うことは出来ない。というか、覚える事すら出来ないな。
レイルボの言葉に、三人はそれぞれの反応を示した。ガイアはフルフェイス越しだけど僅かに緊張し、マルスは飄々としているものの眼は鋭く、キュルスは固まった。……ん、少なくとも一人は扱えるし、一人は扱えないのが分かったな。ちなみに俺は大体予想していたから特に何の変化も無い。
「………それは、実力を明かせって事ですか?」
ガイアは少し声のトーンを下げつつ聞いた。…あぁ、魔法をどれだけ使えるかってのは、戦いに於いて非常に重要だからな。騎士団の副隊長からすれば、おいそれと明かすことは出来ないか。
「まぁ、端的に言えばそうデスね。やはり、魔法使いとして分かりやすい判断は何処まで扱えるかデスからね。それに、特級魔法を習得出来るような環境に身を置いているのかというのも重要デスから」
基本的に魔法自体が貴族や豪商等の一流階級にしか学べない様なモノだからな、例外もあるにせよ。ましてや現在最高峰たる特級魔法を習得するためには、相応の地位やコネが必要だ。つまり、特級魔法を扱えるって事は、そういった諸々を持っているって事で、それこそがレイルボが重要視している要素だからな。
レイルボの言を受け、逡巡していたガイアだがやがて、
「………分かりました。それで、実際にお見せすれば宜しいんですか?」
悩んだ末に了承した。…え、待て、というかお前今何言った?
「おぉ、実際に披露までして頂けるのデスか! 嬉しいデスね!」
あーあ、これでやらなきゃいけなくなったじゃん。いや、どうせやらなきゃ信用出来ないから結局はやることになったんだろうけどさ。
「………えっと、それじゃいいですか?」
「もちろんデス! ぁでも、被害が及ぶのは止めて欲しいのデス」
「それくらいは配慮しますよ。……では」
言葉を切り、ガイアは目を閉じて僅かに集中し、魔法を放つ。
「《聖叡盾》!!」
瞬間、ガイアの目の前に堅牢なる光の盾が出現した。先日、孤児院の前で使った魔法だな。特筆することはない。
「おぉぉぉ! これは特級光魔法の《聖叡盾》デスか! 素晴らしいのデス!!」
レイルボが感嘆の声を上げる。つか、知ってたんだ。
「………ふぅ」
魔法を消したガイアは、一息吐いてからレイルボを見る。
「それで? 僕は合格かな?」
「ぁもちろんデス!! いやぁ、流石は【明光騎士団】なのデス!」
レイルボはキラキラと瞳を輝かせてガイアを見ている。……でもあれは、見定めている最中だから、用心しないといけないんだよな。………てか、俺どうしよう。この状態で使える魔法は、使ったら確実にレイルボに俺の正体がバレる。でも、それ以外だと《闇魅化》が解けちまう。………ん? 詰んでね?
いい加減早く次に進めないとね……。…うん、頑張……ろ……う。………うん。




