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悪の限りを尽くす…つもり  作者: 雷抖
東大陸編
47/51

フルフェイスと生真面目とボサメガネ

ふぅ、間に合った。けどだいぶ短いです。次が長いかも。

「……ガイア・ブルートーン…だったか?」


「ん、覚えてくれていたんだね、ジオ君」


そうか、セインスは団長だしな。自分の代わりとして騎士団の誰かを寄越すのは当然か。…それにしても、よりにもよってこいつか。何でこうも俺が関わった奴が出てくるかな。狙ってんのか?


「む? しりあいだったのか?」


俺達の会話から判断したティアナがガイアに尋ねる。


「えぇ、ちょっとした出来事の最中に」


あれをちょっとしたで済ませていいのかは謎だけど、かといって根掘り葉掘り追求されても困るからな。主に俺が。


「しかしなるほどね、団長の言葉は正しかった訳だ」


「んぁ?」


「あぁごめん、こちらの話だよ」


今完全に聞こえる様に言った気がするけど、厄介な事になりそうだから止めておこう。

そんなこんな話をしていると、また新たな人物がやってきた。


「………君達、こんな所で何をしているんだ? わざわざ道を塞いで立ち話なんて、邪魔なだけなんだけど」


至極当然な事を言ってきたそいつは、くすんだ金髪といかにも真面目です的な姿をしている。あれだ、口うるさいリーダータイプだ。


「む? なんだクライトか。きさまもわざわざワタシのふみだいになりにきたのか」


「カースメイル。今日こそは君の傲慢な物言いと態度を改めさせて貰うぞ」


「ふん、できるものならやってみろ。……きょうがさめた、ワタシはもういくぞ」


憮然としたティアナはそう言って学院に向けて歩き出した。


「おっと、じゃあ僕も行かなきゃね。それじゃあね、ジオ君」


続いてガイアも後を追う。……なーんか、どっかで似た言動の奴がいた気がするけど……別にいいか。

そんなことを考えていると、クライトとかいう生徒の後ろからボサボサ頭のメガネが現れた。


「はぁ、ふぅ、ちょっと速すぎだよソーグラナス君。ボクは身体を動かすのは得意じゃないんだからさ」


息を切らしながらクライトに話し掛けてきたメガネ。……こいつ、かなりヤバい。下手するとセインス以上に厄介だ。


「だから常日頃言っているではありませんか。少しは身体を鍛えた方がいいと」


「いやね、それは分かっているんだよ。ただ、いざ実行しようとするとね、急に魔力の最適化とか魔法と空間の融和性が気になっちゃってね?」


「動きたくない事の言い訳なら要りませんよ」


「相変わらず厳しいなー、ソーグラナス君は」


はぁ、とため息を吐くボサメガネ。………話している事こそ情けないけど、油断出来ない何かを感じる。……何者だ?

そんな俺の考えを読んだ様な事をチョビヒゲが呟いた。


「まさか……、【煉霜卿(れんそうきょう)】…か……?」


……煉霜卿? 何その変な名前。


「んん? ボクの事かい? 出来ればボクの事はネルフェンって呼んで欲しいね」


「も、もしかして、王国筆頭魔導師のマルス・ネルフェン様ですか!?」


リーナが若干興奮気味に問う。…王国筆頭魔導師か、どうりでヤバい雰囲気を感じる訳だ。といっても、普通の人なら気付かないだろうけど。


「そんな様なんて要らないよ。気軽にネルフェンさんでいいよ」


「…まったく、あなたはどうも筆頭魔導師としての自覚が足りていない様ですね。」


「えぇ、だって面倒じゃない」


雰囲気云々を抜きにすると、結構仲良くなれそうな感じがするな。そんなボサメガネがふと何かに気付いたかのように俺を見た。


「………へぇ」


それだけ言うと、ボサメガネ………マルスはクライトに向き直り口を開く。


「ソーグラナス君、早く行こうか」


「……遅くなったのはあなたのせいですけど、どうかしましたか?」


「いや、面白いものが見れたし、この後も面白いものが見れそうだからね」


そう言って、ちらりと俺を見るマルス。…筆頭魔導師には流石に隠し通せないか。そんなマルスの様子を怪訝そうに見ながらも、クライトは頷いた。


「まぁいいです、それなら早く行きましよう。こんな場所に長居する必要性はまったくありませんからね」


言って、二人が去っていく。…つーか、俺達もいい加減行こうぜ。


「リーナ、そろそろ行こうぜ」


「あ、そ、そうだね」


リーナと連れ立って歩き出すと、キノコが慌てた。


「きゅ、キュルス殿、僕等も行かないと!」


「お、おぉ、そうだな!」


こうして、代表者と推薦人全員が揃った。いよいよ、魔導総戦代表決定戦が始まる…………長いわ。

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