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悪の限りを尽くす…つもり  作者: 雷抖
東大陸編
42/51

暴走の顛末

段々、アクセスが増えてきた! が、頑張ります。

「さぁ、大人しく投降するんだね。…まぁ、もうどうにも出来ないだろうけど」


 いやだから、煽るなよ。…ほら、オークマソが何かイッちゃった目してんじゃん!


「…クフ、クフリュフッ! クフリュハハハハハ!!!」


「!?」


 いや、!? じゃねーから。お前が追い込むから何かちょっとアレな感じになっちゃってるんだよ!


「ハハハハハ…! ……もういい、もう無理だ。もう終わりだ、おしまいだ」


「そ、そうだ、お前はもう終わりだ。だから諦めて…」


 うん、違うからな? そいつ自暴自棄になっただけだからな? 投降薦めてももう遅いよ。オークマソはギョロンとガイア含む騎士団連中へ視線を向け、裂けそうな程口を三日月形に歪ませた。


「もう、いい。全部シネ」


 オークマソが懐から何かを取り出し、ガイアが止める間もなく言葉を紡いだ。


「《砕け散れ》」


 瞬間、オークマソを中心に爆発的に魔力が迸る。…おいおい、呪いの魔法以外にこんなのまで取引してたのかよ。


「こ、これは……、まさか、自爆用の魔道具か!?」


 ガイアが戦慄する。バーカ! お前もうバーカ! さっさと拘束しねぇからこんなことになるんだよ。

 ガイアが言った通り、オークマソが使ったのは自爆用の魔道具だな。厳密には自爆用ではないんだけど、効果範囲が広すぎるから使った奴まで巻き込む事から、自爆用なんて言われてる。もちろん普通に流通禁止の品だし、作るのはおろか所持しているだけで厳罰が下される程の、禁忌の道具だ。


「クッ、時間が無い……! クソッ、《聖叡盾(せいえいじゅん)》!!」


「おまっ!?」


 ガイアが腕を拡げて魔法を唱えた。現れたのは白く輝く光の大盾だ。大きさは成人が三人両手を広げても少しぐらい大きく、上級魔法を打ち込まれても意に介さない程の堅牢さを誇る。それが、特級光魔法の《聖叡盾》。だけど、それじゃあ…。


「守れんのはソレの後ろだけじゃねえか!」


 それじゃあ、被害はあまり変わらない。一方だけ防いでも爆発は他に向かうだけだ。そしてガイアが防げる範囲の外に、孤児院が。このままだと…な。


「……仕方ねぇ…か」


 でもせめて、誰かに見られるのだけは阻止するか。


「《闇霧(やみぎり)》」


 下級闇魔法の《闇霧》。特に深い説明も要らない、要は黒い煙幕を放つ魔法だ。目眩ましにしかならないけど、それで十分だ。


「な、何だ!?」


 いきなり視界が真っ黒になったからか、慌てる声が聞こえてきたけど、無視する。もうすぐに魔道具が爆裂しそうだ。あれは特級魔法クラスの威力があるから、上級魔法じゃ歯が立たないし、俺は特級魔法でアレを包める様な魔法は覚えてない。…でも、打つ手が無い訳じゃない。臨界寸前の魔道具へ手を向けて、俺はとある魔法を放った。



「《      》」



 俺が魔法を放つと同時に、魔道具が弾け、辺りに爆音が響き渡った。





「今の爆音、なに!?」


 そう言いながら駆け出すスニアを追って、私も孤児院の外へ。


「って、何コレ!? 何も見えないんだけど!」


「黒い…煙幕?」


 孤児院を一歩出た途端、視界が真っ黒に包まれた。…これって確か、《闇霧》って魔法じゃないかしら? 前に店長が使っていたのを見た。…でも、店長のはここまで広範囲じゃなかったけれど。


「んぁ? 何だ、二人とも出てきたのか」


「その声、アルさん?」


「おう。…っと、ちょっと待ってろ、今これ解くから……いや、その前に…」


 誰かがこっちに近付いてくる。多分アルさん。


「先に言っとくけど、ちょっとした事情で今俺違う人になってるから、巧く合わせてくれ」


「違う…人?」


 ちょっとアルさんの言ってる事が分からない。と、次の瞬間、いきなり真っ黒な霧が消え去った。そうして視界に映るのは、近くで驚いているスニアと、遠くで固まっている騎士団の人達。そして、こちらに歩み寄ってくる、赤い髪の誰か。…もしかして、この赤い髪の人が、アルさん?


「あの、アル…」


「っと、今はジオって呼んでくれ。この姿でアルはマズいんでな」


 やっぱりアルさんだった。でもどうやって変装しているんだろう。やっぱり魔法かな?


「………何をした」


 あ、騎士団の中の顔を覆い尽くした兜を被っている人がアルさん…えっと、ジオさんを見ながら何かを言った。


「……あん?」


「何をしたかと、聞いている」


 静かな声だけど、その中に緊張感を感じる。ジオさんは一回タメ息を吐いた後、渋々といった感じに答えた。


「守った。それだけだ」


「…言い方を変えよう。どうやってアレを止めた?」


 アレ、と言ってその人は、少しだけ焦げている部分の地面を指差した。……? 焚き火の跡?


「アレは、特級魔法に匹敵する威力だった筈。生半可な魔法じゃどうにも出来ない。…どうやった?」


 その言い方だと、ジオさんが特級魔法を使ったとしか思えないんだけど。…でも、特級魔法なんて一握りの人しか扱えない魔法よね。それを、ジオさんが?


「……方法の提示、必要か?」


「なに?」


「さっきのアンタの魔法じゃ、自分達はともかくこの辺りは吹き飛んでいただろうな」


「………」


「そうなっていたら、どれだけの被害が出ていたか」


「……守ってやったんだから、詮索するなと?」


「好きに解釈してくれ」


「………」


 考え込む騎士の人。ジオさんは飄々としている。


「……分かった。これ以上の詮索は止めておこう」


「ん、思ったよりすんなりだな」


「…被害が最小限に抑えられたんだ、今回は大人しく引き下がらせてもらうよ。…それに、団長からも言われているしね」


「んぁ?」


「こちらの話だよ。…皆、本部に戻るよ」


「ハッ! …しかし、宜しいので?」


「今回はね。…行くよ」


「「「ハッ!」」」


 騎士団の人達はあっさり帰っていった。…ていうか、何で騎士団の人達が居たんだろ。


「……ふぅ、行ったか」


 そう言ってジオさんはひと息吐いた。同時に、ジオさんの身体が歪む。


「じ、ジオさん!?」


「あぁ、大丈夫。《闇魅化(やみばけ)》解くだけだから」


 数瞬後、赤い髪が黒く、茶色の瞳は翠色に。ジオさんからアルさんに戻った。


「ふわー、凄いねその魔法!」


 スニアが目を丸くしながら言った。確かに、凄い。


「覚えんの大変だけどな。…あぁ、ちっと疲れたな。大技一発放ったし、ちょっと横になりたい」


「なら、少し休んでいく?」


 スニアがアルさんの右腕に抱きつきながら言う……って!


「ちょ、ちょっとスニア!」


「んー? なにかなー?」


「いや、その…うぅ」


 指摘するのもちょっと恥ずかしい。


「……悪いな、野暮用があるから、帰らせてもらうわ」


 スルリとスニアから逃れるアルさん。少し落ち込むスニア。


「そうですか…」


「とりあえず、もう奴は来ねぇから安心しろ」


「え、本当ですか?」


「あぁ。んじゃ、またな、カナトとユマによろしくな」


 そう言ってアルさんは、そそくさと走り去った。……? 急ぎの用事なのかな?


「………アイツらが戻ってくる前に…」


 そんな声が、聞こえた気がした。

少し短いですがこれで。…ちょっとぐちゃってなっちゃった。早く次の日にしたいけど、まだ無理……。

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