ゆめにっき~観覧車~
私は遊園地に来ていた。父と母と私の三人。なぜか妹は見当たらなかったが、特に不思議とも思わなかった。三人でポップコーンなんてつまみながら珍しく仲良く歩き回った。私は高いところが酷く苦手なのだがなぜかとても観覧車に乗りたくなった。
「ねぇ、観覧車乗らない?」
両親は「良いよ」と言って、私たちは観覧車に向かった。私たちの一つ前には、私と同じくらいの男の子とそのお母さんと思われる女性が並んでいた。その二人が観覧車に乗り込み、係員のお姉さんは扉を閉めた。お姉さんは私に言った。
「これは普通の観覧車と少し違うの。だから、あの組が帰ってくるまで少し待っていてね。」
しばらくして、前の二人が乗り込んだはずの観覧車が下りてきた。中から出てきたのは女性、ただ一人だった。不思議に思った私は尋ねた。
「あの男の子はどこ?」
「あぁ、あの子は踏んでしまったのよ。」
係員のお姉さんと女性は言った。
「何を?」
私が聞いた問いに二人はニヤッと笑いこう言った。
「地獄よ。」
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ここから場面は変わる。
私はひどく発狂していた。食卓テーブルの席に着いた家族は哀れんだ目で私を見ている。
「そんな目で見るな。」
私は目に付いた土鍋を投げつけた。
みんなの表情は変わらない。
「やめてよ…。」
私は頭がおかしくなったのかもしれない。
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場面は戻る。
私と両親は観覧車に乗り込んだ。乗った瞬間驚愕した。観覧車の中は一面地獄絵図が張り巡らされていた。絵の中には恐ろしい形相をした鬼たちがいた。
私はふと足元に目線を落とした。足元にさっきの少年がいた。絵の中に閉じ込められている。少年は鬼たちに囲まれて鉄の棒で殴られていた。少年はこちらに助けを求めるようにうつろになった瞳を向けている。そんな少年を見て硬直した私に鬼は微笑んだ。
助けを求め顔を上げた先に、私の首を絞める両親がいた。
苦しかった。だが、違う苦しみで涙が出た。