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風の章 8
夜が明けた。
登っていく太陽を風通しの良い丘の上の上で眺めている。今日は雲ひとつない良い天気だ。
しかし、空が晴れても心は晴れない。ずっとグロームの事が気になっている。一体、グロームに何があったんだろう。あんな憔悴した奴の顔など始めてみた。
グロームは雷の気を持つ。普段、奴は寡黙で温厚だ。時折、剣を振り回して雷を落とす。それがグロームの性分だ。昨日のケンカもその延長だと思っていた。
それがなんだって、人間の家の前なんかで、うずくまってるんだ?あの家に住んでいる人間はどうしたんだ?そういえば、あの家だけじゃなく、あの村に人間が見当たらなかったな。廃墟というわけでもなさそうだし。その事がグロームに関係あるのか?
――まぁ、いっか。
俺がここでいくら考えても、当事者のグロームが「わからない」と言う事が、第三者の俺にわかる筈がない。グロームが何か話してくれるならそれでよし。グロームが何も話さず自分の胸にしまい込むならそれもよし。
――まっ、俺にしてやれる事なんか何にもねぇ。
そして、俺は己の気を広げて大気に漂った。