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風の章 17
次の日は朝から雲ひとつない澄み切ったいい天気だった。心地よい風が吹いている。俺は風に乗って遠くまでやってきた。
見晴らしの良い山頂から、遠くを眺めると、遥か彼方に、北のアルス山が白くそびえ立っている。アルス山は、この辺りで一番大きな山だから、どこへ行っても、よく見える。それに、今日は冬に戻ったみたいに寒い朝だから、空気が澄んでいて、一際はっきりとよく見える。
アルス山を眺めながら、ふと気がついた。
――あれ?そういえば、スェーヴィル村とザーパト村の人間達はどうなった?すっかり聞き損ねたな。
グロームに聞こうか、小僧に聞こうかと迷ったが見つけやすいので、小僧に聞く事にした。
俺は、ぴゅーと東の都ツェーントルに舞い戻った。