変身
「こ、ここはどこだ?」
目を開けると見慣れない天井とカーテンが見えた。
「目が覚めましたか?」
看護婦さんの声だ。そういえばなんでこんな所にいるんだっけ?・・・・・あ、思い出した。それは金曜日のこと・・・・
「わあー、遅刻しちゃう~」
いつものように遅刻になりかける時間に家を出る。いつもこういうときは、信号のない路地を使っていっていた。
この日もいつもと同じように路地を全速力で駆けていると、一人の少女がいた。同じ学校の生徒だったような気がした。もう少しでその少女に追いつこうとしたとき、右からトラックが走ってきた。あのまま行ったら少女にぶつかる。少女は気づいていない。これはヤバイッ
「危な~い!」
ギリギリの所で飛び込む、こっからの記憶はない。
それにしても頭かい~な~・・・え、なんか、いつもより明らかに髪が長いんだけど、なんで?
「看護婦さん鏡貸してくれませんか。」
なんか声も異常に高いような
「はいどうぞ」
その時僕は手鏡を見て思わずちびりそうになった。なんと、女の子になってしまったのだ。
「ぎぃぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ」
病院中にこの声が響く、
「どうしたんですか?いきなり大きな声を出して」
「あ、す、すいません。」
「あっ、あなたと一緒にいた人も目を覚ましたそうですよ。」
俺と一緒?というか俺の本当の身体は?と思いながらとなりのカーテンを開けてみた・・・
「ぎゃ~~~~~~~」
「ぎゃ~~~~~~~」
なんとそこには俺の体があった。苦さすぎる足、ぼさっとした頭から絶対にじぶんの身体だと分かった。
「な、なんで私がそこにいるのよ?!」
俺の身体がそう言ってきた。
「それはこっちのセリフだよ。」
まてよっ、これ・・・・・身体と魂が入れ替わってる! マジないよ、これありえないよ。これどうやって直すの、ねえ、このまま戻らないってのは無しだからな。・・・って焦ってもどうにもならないし、ここは落ち着け、深呼吸だ。フーハーフーハー。
「これは恐らく身体と魂が入れ替わったんだろう。焦ったってどうにもならない。どうする?この後。」
「待って、一回状況を確認しよう。
1 私が登校中にトラックにひかれそうになる。
2 そこに貴方が飛び込んで助ける。
3 そして塀にぶつかって、二人とも気絶。
恐らくその時に魂が入れ替わったんでしょう。
4 そして今に至る。と言ったわけだ。」
「そういえば、あなたのなまえは?」
「私は小村 葵 あなたは?」
「俺は長沢 準」
「お二人さん、お話ししているところすいませんけど、ご家族が来ましたよ。」
え、いきなり、どう対応すればいいの?ねえ