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8・諸行無常の響きあり四






「あぁ〜♪ お腹いっぱいっ」


 少し先の夜道を、今にも鼻歌でも歌い出しそうな満足げな笑みを浮かべて雪代は歩いていた。俺の隣には、なにやらぶつくさと呟いているシャクナゲおり、その二人の温度差に充てられたのか思わず口からは嘆息が漏れ出る。


 夕飯は、シャクナゲのバイト先……雪代曰わく、とみこさんの腰が治るまではバイトに駆り出されるらしい……で、俺と雪代、平山祐希と偽名を使っているシャクナゲの三人でとった。

 念を入れて作った偽名が本名とよく似ているのは、いざ呼ばれた時に反応出来なくては意味がないからだ。呼ばれ慣れている……あいつの場合は『呼ばれ慣れていた』と過去形だけど、本名と似たような名前ならば、その名前に慣れるのも早いだろう。

 そう考えた上での偽名である。


 それはともかく、今夜の夕飯はバイト上がりの雪代と合流してから、賄いが出たシャクナゲに俺達が相席した形で取った。

 賄いとはいえ、贅は尽くしてはいなくても手間暇と心を尽くした料理は旨そうで、本来ならば満足のいく食事であっただろうと思う。

 しかし、当のシャクナゲは、不満そうな……納得がいっていなさそうな顔で、雪代の少し後ろを歩いていた。


 もちろんその理由の一端には、

『これも〜らいっ!』

 と許可なくおかずを強奪していく雪代や

『この生姜焼きとサラダの胡瓜交換ねっ』

 と、江戸時代末期の海外との不平等条約ですら真っ青な不等価交換を、向かいに座る女から強要された事もあるのだろうけれど、理由はそれだけではない。

 むしろそれだけでは収まらなかった、というべきか。


「そりゃ人の奢りであれだけ遠慮なく飲み食いしてりゃ、腹もいっぱいだろうな」


 つまりおかずを半分近く持っていかれた上に、奢りを強要されたのだ。

 そう言いたくなる気持ちは、昼食の出来事を鑑みるまでもなく、しょっちゅうたかられている俺には非常によく分かった。

 雪代はケチじゃないんだけれど……むしろ気前はいいぐらいなんだけれど、遠慮や躊躇というものが致命的に欠けている。奢る事にも奢られる事にも遠慮が全くないのだ。


 そう、今の彼女は昼時に言っていたように、『仲介料』と称して思いっきりシャクナゲに晩飯をたかったが為にご機嫌なのであり、『不当な仲介料』として晩飯を奢らされたシャクナゲは、見かけよりもずっと食べる雪代に、かなりの出費を強いられてげんなりとしているワケである。

 この細い体のどこにあれだけ入るのか。今日のバイト分は確実に雪代の胃袋に消えた事だろう。


「俺はまだ食いたりなかったんだけどな。胡瓜だけは何故かやたら食った気がするけど」


 雪代は胡瓜が苦手なのだ。ちなみに同じく苦手らしい椎茸は、俺の頼んだ天ぷら定食の幾つかとの不等価交換によって、俺の胃袋に収まっている。


「なぁんかイヤミな感じねぇ。人がせっかく歓迎会として、晩御飯を一緒にしてあげたのにさぁ」

「なんで俺の歓迎会で、俺がお前の分まで支払いしなきゃならないんだよ?」

「そこはそれ、男の甲斐性ってもんでしょ?」

「この場合、甲斐性とかそんなもんは関係ないと思うんだけどな」


 その意見には全面的に同意見だ。

 むしろ雪代は、『男の甲斐性』という言葉の意味をもっとよく知るべきだと思う。


「あぁ〜もうっ! 男が細かい事をグチグチ言うなっ!」

「うぉっ!? 危ねっ、っていきなり顔面狙ってフルスイングとか、それこそ女の子としてどっか間違ってるだろっ!!」

「あっ、こらっ! 避けるなっ、生意気なっ!!」

「無茶苦茶言うなっ!」


 まぁ、口に出して言ったりなどすれば、こんな風に鉄拳が飛んできそうだから言わないけれど。


 ……うん、まぁ、何はともあれ仲が良さそうで何よりだ。

 そう思う事にして、俺は巻き込まれないように距離を取る。

 二人に比べて身体能力の低い俺は、シャクナゲみたいにひょいひょいと雪代の癇癪をかわしたり出来ないし。

 万が一巻き添えでクリーンヒットでも食らえば、綺麗に意識を飛ばしてしまうだろうし。

 さすがの雪代も、癇癪で『剣軍』を作り出して攻撃したりはしないだろうが、絶対にあり得ない、可能性ゼロとまでは言えないヤツだし。

 つまり危険だから距離を取ったのだ。


 もちろんそれだけが理由じゃない。

 俺に対するものより、雪代に対しての態度の方が、ずっとシャクナゲは自然体であるように思えたから、止めようなんて気がサラサラ起きなかったのだろう。

 少なくともこうやってじゃれあって……いるのかどうかは微妙だけど、動き回っていれば、昼間のバイトも相まって夜中に夢を見る可能性も少なくなる。

 俺の渾身の力作である『抑制器』を持ってしても、一つっきりでは抑えきれない、あの暴れん坊な鎖達の無意識下での暴走も減る事だろう。

 もし雪代が、そんな事まで考えた上で無茶苦茶を言っているのなら大したものなんだけど……多分そうじゃないんだろうな。

 まぁ、意識せずに『有益な無茶苦茶』をやっているのなら、それはそれでスゴい事なんだとは思うけど。


「もうっ、当たんないし、疲れるしっ。でも、食後のいい運動にはなったにゃ〜」


 ノースリーブのタートルネックに、上からオレンジがベースのパーカーを引っ掛け、ハーフサイズのローライズジーンズと、鍔の広いキャップを斜めに被ったスタイルは、活動的過ぎる雪代にはよく似合っていた。メイド服なんかよりも、こっちの方が断然雪代らしい。

 全体的に明るい色調の服は、そんな雪代の性格そのものを表しているかのようにも思える。

 今は当たらなかった癇癪に少しだけ唇を尖らせてはいたけど、ポジティブな自己解釈をして再び上機嫌そうにケラケラと笑ってみせる。

 彼女の癇癪をかわし続けて、肩で息を吐きながらぐったりしているシャクナゲとはどこまでも対照的だ。


「くそっ、一発も当たってないのになんでか負けた気がする」


 拳を振るい続けるのと、体全身を使ってかわし続けるのとではやはり運動量が違うのだろう。しかし、その辺りを差し引いて考えても、元気さと前向きさで雪代にかなうヤツなんてそうはいない。

 かくいう俺自身も、雪代雅には出会ってからこの方負けっぱなしだ。


「そうだよ、あんたじゃあたしに勝てないの」


 一発も当たらなかったくせに勝ち誇る様が何故か様になって見える。それが別に可笑しかったワケじゃないけれど、俺の顔には自然と笑みが浮かんでいた。



 ──シャクナゲでは雪代には勝てない。

 そう宣言してみせる事が、雪代なりの優しさなのか、はたまた天然ゆえなのかはわからない。

 それでもシャクナゲが呆然としている様を見れば、今の言葉に受けた衝撃だけは分かった。

 新皇であった自分。

 新皇になってしまった自分。

 少なくとも雪代はその事実を知っている。それをシャクナゲ自身も知っている。

 それなのに今言った言葉からは、『あんたなんか別に大した事なんてないんだよ』と言っているように聞こえた。少なくともシャクナゲにはそう聞こえたのだろう。

 気を使うどころか、むしろ気を使わせて、朝から振り回した末での言葉だ。さぞかしシャクナゲに大きな衝撃を与えた事だろう。


「ま、明日からも頑張んなさい。またご飯奢られに行ってあげるからさっ」

「いやいやいや、次はお前が奢ってやる番だろ」


 だから俺も、今までのようにやたらとシャクナゲに気を使う態度を改めて、雪代が作り上げたノリに乗っかる事にする。

 その方がこいつには効果的みたいであるし……何より荒療治も立派な手法だ。痛みを麻痺させるよりも乗り越えさせる為に動いてこそ、俺が俺らしい形で『相棒』と呼べる存在になれるだろう。


「明日も小料理屋の裏方頑張れな」

「……っ、分かったよっ」

「また昼過ぎにでも飯食いに行くからさ」


 目を白黒させている表情が少しだけ笑える。吐き捨てるかのような調子ではあったけれど、素直に頷いてみせた辺りが滑稽だ。口元にはこらえきれない笑みが浮かんでしまう。


「まっ、昼定食ぐらいならあたしが奢ってあげてもいいよ」

「今日俺が奢らされた食い放題に比べたら、えらく安くついたな」

「このあたしが奢ってあげるって言うのに、文句を言うのはこの口かぁ!?」

「口って言いながら普通に目潰し狙いとか、女とか男とか以前に、人間としてアウトゾーンだろっ!?」


 本当に仲良くなれたみたいで何よりだ。今朝までのどんよりした空気も、雪代にかかれば微塵と残らないらしい。

 まぁ先ほどまでとは違って、今の目潰しとか普通に本気にしか見えないのだけれど、シャクナゲは見事なスウェーでかわしているのだから問題ないだろう。

 問題ないと思い込む事にしよう。


 なにせ、問題ありだったとしても俺には止められないんだからさ。







「ねぇ、アカツキ」


 そう雪代が声をかけてきたのは、俺とシャクナゲがここ最近のねぐらとしている廃棄されたビルの一室での事だった。

 シャクナゲはすでに寝床に付いているだろう。

 散々引っ張り回されて疲れていたみたいだし、雪代のテンションに慣れていない事も負担になったはずだ。

 俺は俺で、今日は雪代のせいでこなせなかった雑務があったから、暗い室内灯の中でマシンを起動させ、夜も更けた時間帯にも関わらず机に向かっていた。


「寝てなかったのか?」

「ん、まっ、疲れてはいるんだけどね」


 仲間が持ってきてくれていた資材の一つである毛布をその細い肩にかけ、彼女は部屋の扉に背を預けていた。

 そして両手に持っていた白いマグカップ二つの内、その片方を差し出してくれる。

 それに小さく礼を言ってから手を伸ばし、最後にエンターキーを叩いて一段落を付けてから背後を振り返った。


「何か話でもあるのか?」

「話っていうか、確認……かにゃ〜」

「確認、ね」


 さて、何を確認したいのだろう。心当たりが多すぎる自分に苦笑してしまう。

 まぁ、十中八九『シャクナゲ』に関する事なんだろうけれど。


「あいつってさ、本当に『敵』だったの?」


 予想がどんぴしゃ過ぎて……というよりも、あいつを迎え入れた今更になってからの確認は、あまりにもど真ん中な発言過ぎて呆気に取られてしまう。

 だって雪代は、今日一日一緒にいたのだ。特に警戒した様子もなかったから、雪代なりにシャクナゲに関しての考えにはケリを着けていると思っていた。

 元からさっぱりし過ぎるほどの性格をしているし、噂や風聞だけで他人を評価する人間でもない。


「あいつは……敵なんかじゃないよ」


 それでもなんとか返した言葉には、どこか弱さが滲んでいる事は俺自身が自覚していた。

 あいつは確かにこの国からしたら敵で。

 変種ではない人々からしたら許されざる変革者で。

 多くの人々にとっては、憎悪を抱くべき仇だろう。

 でも、変種の立場からしたらどうだろう。特に関東という地方に生まれ、抑圧されてきた変種達からすれば?

 そう考えた場合、あいつは変わるべき国の在り方と人の常識を揺るがした、最初の改革者の一人という事になる。

 現に関東で起こった革命軍は、変種はおろか変化に柔軟で常識に捕らわれた部分が薄い若者達──そして力と時間が有り余った者達には、圧倒的な支持を得た勢力として、破竹の勢いで勢力を拡張していっている。


 そう、単にあいつは、いまだ革命が起こっていないこの地方の人々と、身を置いていた位置やそこから派生した考え方が違うだけだ。

 その力を持って起こした行動の先……圧倒的で反則的な力の先が、力に魅せられ、変化していく環境に惹かれた人々の暴走に繋がった。それだけだ。



「本当はさ、敵なんて今のこの国にはいないんじゃないかって俺は思うんだ」


 立場の違いが対立を生む。それは間違いない。

 そういった意味では、確かに敵と呼べる存在はいるだろう。

 でも、少し立ち位置を変え、見方を変えてみれば……あるいはほんの少しだけ出会い方さえ違っていれば、無二の親友になれた者達も『今の敵と呼べる存在』の中にはいるはずだ。

 あいつがそうだ。新皇と呼ばれたあの少年は、単に立ち位置がマズかっただけで『暴悪なる変革者』、あるいは『最初の改革者』に祭り上げられてしまっただけなのだ。


「あいつはさ、周りの人間みんなが先へ先へと走り続けていた中で、ただ一人後ろを振り返る勇気を持っていた人間……それだけだよ」


 でも、あいつは──シャクナゲは、祭り上げられた立場を良しとはしなかった。一度後ろを振り返ってみる勇気があった。

 行動が暴走し、思考が迷走し、欲望に壊走してしまった人々の中で、それを省みる事が出来た。一人だけ変わってしまったものを惜しむ事も出来た。たった一人で周りに間違いを正す為の行動が取れたのだ。

 さらに、自分よりも強い相手──幼なじみという親しい相手と向き合う覚悟まで持てたというのなら、それは最早過去を懐かしむだけの甘さや郷愁なんかじゃない。

 それは強さ、勇気なんだと思う。

 弱さや臆病さだとは誰にも言わせない。あいつ自身にも言わせるつもりはない。


「多分、この国は近いうちに壊れるよ。もう長くは持たない」


 コーヒーをことさらゆっくりと口に運んでから言った一言。

 それは簡単な予測で、外れようのない未来。止める事の出来ない結末だ。

 誰も過去を振り返る余裕などなく、先へと転がり続けた先にある道だ。

 そんな未来で、進化を謳った変種達……中でも権力を握った者達の中には、ひょっとしたら『取り返しのつかない選択』をする者もいるかもしれない。最悪の『進化論』を進めていく者がいる可能性がある。


 ──旧種である既存の人類を淘汰する事で、種の強制進化を促す者。

 つまり既存の人類を殺し尽くしていく事で……生まれたばかりの子供であれ、変種の兆候がなければ殺してしまう事で、種の進化を強制的に進めようとする者。

 そんな存在がいないとは限らない。

 いや、変種として虐げられた者達ならば……そして強大な力を持つが故に、孤独に溺れている者ならば、周りを『同族』ばかりの世界に変えようとする人間がいる可能性はかなり高い。

 そんな強制進化が上手くいく可能性は高くない事は明らかなのに。

 変種がいきなり生まれだした事を理由に……そして『短期間での進化は一度起こった』という事だけを支えに、そんな馬鹿げた事をしでかすヤツがいないとも限らない。


 そんな存在こそが、雪代の言った敵──『俺の本当の敵』だ。終生交わる事のない天敵だ。


 俺はその現れるかもしれない敵こそを恐れている。まだ見ぬ天敵に恐怖している。

 その考えは誰にも語っていない。今は教えるつもりもない。

 それが荒唐無稽な推論だと笑われる事が怖いからではなく、単にその推測を語るには相手を見極める必要があったからだ。


 絶対的な力を持ちながら、そんな最悪の進化を否定する勇気を持つ者。

 どんな事があっても、どれだけ傷つく事になっても、今までを……周りの人々を好きでいられる強さを持つ者。


 そう。例えば皇と呼ばれ、周りに持ち上げられても、その立場に狂わなかったような人間──つまり彼のような人間にしか話せない。


「シャクナゲは敵なんかじゃないよ。絶対にあいつは敵なんかにはさせない。

 ──あいつは未来の為に……これからを生きる人達の為に俺が残せる希望になってもらうんだから」


 そう言って笑みを浮かべてみせるも、雪代の表情はどこまでも冴えない。

 俺の言葉の足りない部分を読むかのように目を細めて、小さな溜め息を漏らす。


「……あんたはさ、昔っからなんにも教えてくれないよね」

「そうかな。そうかもな」


 俺が何を考えてシャクナゲを迎え入れたか、何故あそこまで彼にこだわるのかは誰にも語っていない。

 雪代はもちろん、無銘の仲間達にも教えていない。

 中には、示威武力として彼の力を求めただけだと考えている者も少なくはないだろう。


「……あんたが何を考えているのかなんてさっぱり分かんないんだけどさ」


 そう言いながらも雪代は微かに笑みを──無理矢理浮かべたような笑みを刻みながら、そっと誓いを立てるように胸の前で腕を組んでみせた。

 俺が何を考えているのか、何故何も語らないままで動いているのかには言及しないままで。


「気にしない事にする。あんたはどこまでも甘いヤツだからさ」

「悪いな。今はまだ推論の域を出ない、世迷い言にも似た事に備えているだけに過ぎないんだ」


 本当に世迷い言だったら……そのままで終わってくれたら、どれほど気が楽だろう。

 世迷い言に迷っているなんて、自分でも少しだけ可笑しいのだけれど。


「あいつがどうしようもないヤツだったら、無銘への本格所属後の初仕事は、危険極まりない大仕事で、とんだ汚れ役になるトコだったんだけどね」

「……物騒なヤツだな。お前はそんなつもりで今日いたのか?」

「まぁね。例え力を抑えていても、あたしぐらいしかその役割を果たせるヤツなんていないじゃない?」


 今日、シャクナゲの面倒を頼んだ時。そしてそれを受けた時、雪代はかなりの覚悟を持っていたという事に今更ながら気付かされる。

 そんな雪代の考えが今になって始めて分かり、自分のいたらなさが情けなくなる。


「良かったよ。これであたしは、あんたとあいつを支える土台になれる」


 それでも……そんな自分の考えにいっぱいいっぱいの俺にも、彼女は笑いながらそう言ってくれた。


「あんたが未来とあいつを支える柱になるのなら、あたしがその柱ごと全部を支える土台になる。あたしの力が先へと続く道を切り開く為の剣になる」

「いいのか? その……」


 今までの生活を捨てる事になっても……という言葉は。

 情けなく霞んでしまった俺の言葉は、雪代の笑みに掻き消されてしまった。

 そしてその後に続く、前向き過ぎる発言に打ちのめされてしまう。


「捨てるんじゃないの。『大事に置いておく』の。またいつか戻ってきて、もう一度始められるようにね。捨てるなんてまっぴらゴメンよ。もったいない」


 その言い様は格好よく。

 どこまでも雪代雅らしく。

 清々しいまでに生き汚い。

 美しく見えるほどに迷いがない。


「だから今から……これからは、あたしも本当の意味での無銘の一員になるよ。

 あたしがあいつと共に、あんたの世迷い言ってヤツを壊してあげる為に」


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