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1話:新生活は波乱の予感! (表紙イラストあり)

挿絵(By みてみん)

 ――それは、ずっと夢見ていた日だった。


 ついに――ミラはマギア・インペリアル学院の門をくぐった。

 広大な石造りの校舎に、白い尖塔。空中には魔力の光がゆらめいている。


 ここは、魔法の才能に恵まれた者たちだけが集う国内でも屈指の名門校。

 入学を許された者は将来を約束されると言われ、特別な英才教育を受ける。

 卒業生の中には、この国の中枢を担う者も少なくない。


(落ちこぼれだった私が、ここに来れちゃうなんて……!)


 小さな村で、魔法も思うように使えなかった日々を思い返す。

 それでも諦めず努力し、今も隣を歩く使い魔のピクルと共に合格を掴んだ。


 ピクルは、魔法使いに仕える“使い魔”

 ――かつては小鳥の姿だったが、成体となった今は逞しい人の姿へと成長している。

 村での修行時代から、ずっとミラを支え続けてきた頼りになる相棒だ。


 今も昔も、魔法を扱う上でのサポートだけでなく、心の支えでもある。

 その存在が、今の自分の自信の源になっていた。


「ねぇ、ぴーちゃん見てみて! 

 すごい広くて、立派だよね! お城みたい!」

 隣を歩くピクルに嬉しそうに声をかける。


「とりあえずクラス発表見にいくか」

 キョロキョロとはしゃぐミラとは対照的に、ピクルはいつも通り冷静だった。


 掲示板の前は、入学生たちでごった返していた。

 張り出されたクラス表には、びっしりと名前が並んでいる。


 ――魔法使い科 A〜Dクラス

 ――使い魔科 a〜dクラス


「俺らはdか。ミラはDだな」


 ミラは首をかしげる。

「これ、どういうこと? なんか大文字と小文字が混ざってるけど……」


「大文字が魔法使い科、小文字が使い魔科ってことだ」

 ピクルがさらりと教える。


「えっ? ぴーちゃんと私、科が違うの!?」

 ミラは驚いて目を丸くする。


「事前に資料渡されてただろ? 見てねーのかよ?」

「……全く見てない……」


 インペリアル合格から入学まではあっという間だった。

 村での卒業式、みんなとの別れ、慌ただしい引っ越し。

 落ち着く間もなく迎えた今日――ミラはまだ現実についていけていなかった。


「まぁ、魔法使いと使い魔は科は分かれてるけど、ペアで進級してくから。

 途中から合同授業が増えるし、実質同じクラスみたいなもんだろ」


 なんてことのない様子で返すピクルに反して、ミラはまだ理解が追いつかない。


「途中からって……いつまで別々なの?」

「まじで何も見てねーのかよ……一ヶ月くらいって書いてたと思うけど?」

「えー!! 一ヶ月も別々なの!?」

「独り立ちするいい機会じゃね?」


 軽く言ったピクルに対し、ミラの表情は思いのほか強張っていた。

 未知の世界に踏み出した不安が、胸の奥を締めつける。


「そんな顔すんなよ。一ヶ月なんてあっという間だって」


 ピクルが励ますように明るく声をかけると、ミラは俯いて唇を噛みしめ――

 ポツリと呟いた。


「……やだ……」

 ピクルが聞き返すより早く、ミラは顔を上げて叫んだ。


「別のクラスなんて絶対やだ! 私もぴーちゃんと同じクラスに行く!」

 ミラは思わずピクルに抱きつく。


「お、おい! やめろって! !?」


 ピクルは顔を真っ赤にして慌て、

 ミラの行動に周りの生徒の視線も突き刺ささる。

 それでもミラは気にせず、しがみついたまま離れようとしない。


「いやだ! 聞いてないもん!」


「お前がちゃんと読んでなかっただけだろ!? とりあえず一旦離れろって!」


「やだー!」

 ジタバタ暴れるミラに、ピクルは深いため息をつく。


「つーか、そんな勝手なこと無理だから。諦めろ」


「……そんなぁ……」

 ピクルに淡々と諭され、がっくりと項垂れるミラ。

 まだ下を向き、不安そうだ。


 そんなミラを見て、ピクルは少し心が痛む。

(俺も心配だし、一緒にいてやりてーけど……仕方ねぇ)


 ピクルはミラの背をポンと叩き、明るく声をかける。

「新しい世界を広げるいい機会だと思えって。 しばらくはそれぞれ頑張ろうぜ」


「……分かったよ……」

 ミラはまだ納得いかない様子だったが、渋々自分の教室へ歩き始めた。


 胸の奥はまだ不安でいっぱい。

 それでも――ピクルの言葉を信じて、ミラは前を向いた。

 新しい学園生活が、ゆっくりと始まっていく。

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