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兄妹  作者:
1/3

お兄ちゃん

兄妹。

前編です。

どうぞ。

先日、わたしは大好きなお兄ちゃんの元を去った。

一緒に笑ったお兄ちゃん。

一緒に泣いたお兄ちゃん。

一緒にケンカしたお兄ちゃん。

どうか…お幸せに。


※※※※※※※※




わたし達兄妹は、途中から離ればなれになった。

お父さんとお母さんが事故で亡くなったから……

わたしとお兄ちゃんは別々の親戚の人に預けられた。

それはわたしが小学校4年生に、お兄ちゃんが高校1年生になりたての頃だった。

わたしはお父さんとお母さんが死んでしまったのが悲しくて、ずっと泣いていた。

わたしを引き取った叔父さんと叔母さんはそんな私に冷たかった。

毎日のように疫病神と言われた。

そしてある日、わたしは違う親戚の人に預けられた。

この人達も冷たかった。

食べ物も明らかに皆と違うし、一緒のテーブルで食べさせてもらえず、ずっと床で食べていた。

そしてまた他の親戚の人に預けられた。

この人達もまた、冷たかった。

わたしがちょっとした失敗をするだけでぶたれた。

そして今度は最初にわたしを引き取った親戚の人に預けられた。

そんなことを何度も…何度も繰り返された。

毎日が苦しかった。

お兄ちゃんに逢いたい。

逢いたい逢いたい逢いたい逢いたい逢いたい逢いたい。

そればかり考えていた。

ある日…お兄ちゃんから電話がかかってきた。

高校を出て就職をしたらしく、わたしに「一緒に暮らさないか」と言ってくれた。

わたしは嬉しくて嬉しくてワンワン泣いた。

わたしが中学校1年生の時だった。

それからの毎日はとても楽しかった。

アパートはお風呂が無いほど古いものだったし、ひとつの部屋しか無かったけどわたしにはそれで十分だった。

高校に進学し、わたしはアルバイトを始めた。

その年の父の日、わたしはお兄ちゃんにネクタイをプレゼントした。

お兄ちゃんは「なんで父の日に…」と笑ったけど、わたしにとっては中学1年のあの時からお父さんでもあったんだよ。

わたしはお兄ちゃんにネクタイを着けてほしいとお願いしたけど、照れくさいらしく着けてくれなかった。

わたしがふてくされて頬を膨らませると優しく頭を撫でてくれた。

※※※※※※※


わたしは…もういない。

お兄ちゃんはわたしの為に色々頑張ってくれた。

自分のことなんか2の次だった。

だから…これからは自分の好きなように生きてね。

それが……わたしの願いだよ?

いかがでしたでしょうか?

後編をお楽しみに。

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