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そして彼は剣聖と呼ばれた  作者: 白黒まざる
学園都市クレエア
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9.そして夜は更けた

 レイスが頭を上げるとペネロペは笑顔で待ち受けていた。


「じゃあ、ここに行くといいわ。大通りを西に行ったところにあるドラクロアハンター養成所よ。ちょっと待ってね。」


 ペネロペはカバンのなかに手を入れ、そこから紙とペンを出し、そして何かを書いたあとに指をその紙にかざした。


「【シュライン】」


 ペネロペが唱えると指先から紙に光が走った。そしてそれを丁寧に折りたたみレイスに渡した。


「それを明日見せれば悪いようにはされないはずですよ。」


 ニコッと笑ったペネロペから紙を受け取りその日はお開きとなった。


 二人を店先まで送り、二人の帰りを見届けた後、レイスはスターシャに挨拶をしてから自室に戻った。

 帰り際にエミリアが「腕試しに行く前にうちに来なさい。準備運動くらいなら付き合ってあげるから」と昨日渡したメモに来るように言って二人と別れた。


 寝る準備をしてからふと窓際の椅子に座り、今日一日で得た知識を持ち帰ったメモを読みながら街の景色を眺める。


「魔法…いるかな…」


 夜風につぶやきが流されると同時に改めてここへ来た意味と覚悟を考え始める。


 いや…そういえば自分は一人の剣士として生きていくために生まれ変わった。それに本当に必要ならセラも魔法を無理やりにでも使えるようにしたはずだ。まぁ…セラが俺を諦めていなければの話にはなるが、それを今考えても仕方がない。


「まぁ、まだ自分の力がどれくらい通用するのか分からないしな。まだ魔法に頼るのはやめておこう。」


 そういう結果に落ち着き、また眠りについた。

 朝、昨日より早くに目覚めたレイスは身支度をして一階に降りる。昨日の朝と同様にいい匂いが立ち込めていた。


「おはよう!あら、早いわね。ちょっと待ってね。準備するから。」


 スターシャは何かを焼きながらカウンター越しにレイスに声をかける。


「おはようございます!今日も出かける予定があって。」


 レイスは答えながら一番近いテーブルに着く。そして運ばれてきたトーストとスープに口をつけながら、エミリアから渡されたメモを一瞥する。そこにはエミリアのハンターグループの事務所「カノープス」の住所が書かれている。それを壁に掛けられている地図で確認しながらまだ慣れていないコーヒーを一気に飲み干した。


「ごちそうさまです!それじゃあ行ってきます!」


 レイスは食器をカウンターまで持っていき、スターシャに渡すと、紙袋を一つ受け取った。


「今日も良い一日になるといいわね!」


 彼女の元気な声に背中を押されるように店を出る。そして大通りを南に歩き、いくつかの通りを曲がった先にこちらの言葉で「カノープス」と書かれた看板を掲げたレンガ造りの二階建ての建物があった。


「立派な事務所だな…」


 改めてエミリアの凄さを感じつつ、事務所に入るとそこには木製の机に一人の女性が座っていた。レイスはその女性に心当たりがあった。


「ブレ!?どうしてここに?」


「あっ!レイスさん。お待ちしてましたよ。私はここで雇われて、受付を担当しているの。」


 前回会ったときは夜でかつ、黒い服を着ていたのではっきりと見ていなかったが、ラフな服装で明るいところで会うと印象はかなり違う。

 思わずブレに見惚れていると端にあった階段から聞き慣れた声がフロアに響いた。


「レイス!来たわね!もう準備はできてるわよ。こっちに来て!」


 レイスは手を引っ張られ、ブレに「じゃあ」と声をかけたあとに受付の奥にあった裏口に案内される。


 開けると広めの空き地があり、そこにも見たことのある人物が待っていた。


「おっ。来たな。」


 白髪混じりの整えられた短髪の壮年の男が腕を組んで待ち受けていた。


「あんた…たしかエミリアを襲撃した時に罠にかかった…」


「嫌な覚えられ方してんな。あの時は世話をなった。俺はサイモン・レディスここで昨日から雇われている。よろしく頼む。」


 そう言って刻み込まれたシワがより一層深くなるほどの笑顔を見せた。


「エミリア、これってどういうことなんだ?エリスノー達だけじゃなくてこの人も雇ったのか?」


「ええ、昨日ほかのメンバーに頼んで留置所から迎えに行ってもらったのよ。恐らく彼のグループは今回の件で解散させられるだろうしね。」


 困惑するレイスを尻目にエミリアが淡々と説明を続ける。


「レディスはハンターとしてもベテランだけどそれ以上にレンジャーとしてかなり優秀なのよ。」


「レンジャー?」


「レンジャーってのは探索や偵察。単独での潜入、調査を生業とする役割ってところかな。」


 レディスはレイスの質問に簡潔に答えた。そしね合点がいった。エミリアもロアウルフの件で思うところがあったのだろう。確かにレンジャーいれば想定外の事態に遭う確率を下げられる。


「なるほど…それで、どうしてレディスが?」


「もちろん、あなたの準備運動のためよ。」


 エミリアは自信満々に答えたが、何も聞かされていなかったのか、後ろのレディスは驚いてエミリアのほうを向いた。

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