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23.そして彼らは向かった

「それにしても、これで全部なの?」


 エミリアは地面に伏して痙攣する者達を眺めながら呟いた。レイスの突貫の策があまりにも上手く行き過ぎているこの状況にエミリアは少し不安を感じていたが、事実とは少し違っていた。


 異変を感じた見張り役4人はすぐに駆けつけようとしたが、見えない障壁に遮られ、中に入ることができなかった。そして4人はどうすべきか、物陰に隠れ議論を交わしている最中であった。それほど彼らにとって現状は余りにも想定外であった。

 今回のエミリア襲撃事件の実行役となった何でも屋【アンダーテイカー】は金さえ払えば仕事はしっかりこなすと評判であり、また万が一彼らの裏切りがあった場合もそれを制圧できるハンターが各々のグループから集められていたのが…その始末役のハンターたちが皆、この障壁の内側に行ってしまったのである。


「それて、これからどうするんだ?コイツらを始末するのか?」


 エリスノーも同じく彼らを眺めながらこの策の発案者であるレイスに聞く。


「いや…ここで彼らを殺しても見せしめ以外に俺達にメリットなんてないだろ?見せしめに殺したとしても仕事の邪魔をする奴らが居なくなるだけで世間的な評判はあまり良いものにもならない…だろ?」


 レイスは魔法で変えられた長い金髪をかきあげながらエミリアの意見を促した。


「そうね。他のグループや街の人、それに依頼人だって怖がっちゃうもの。それは無しね。」


 エミリアの答えにブレも同意する。


「ここで遺恨が残るとまた襲撃される可能性だってありますからね。いい判断だと思います。」


「わかった。じゃあ殺すのはナシとして…で?改めてこれからどうするんだ。」


 エリスノーが納得し、またエミリアとレイスに問いかけるが、エミリアはこの中で身元の分かるレディスに近づき、しゃがんだ。そして彼に手を伸ばした何かを探すように身体中をまさぐる。


「あったあった。ほら、これ!」


 エミリアの掲げられた手の中にあったのは先ほどレイスも手に入れたハンター証明書であった。


「そんな証明書でどうするんだ?」


 レイスはよくわかっていない様子であったが、他の面々は納得し、監視者たちは諦めた表情を浮かべていた。


「ああ、まぁそうだな。」


 エリスノーが頭をかきながらレイスに解説を始めた。


「ハンターの証明書には名前から所属するグループの名前やら…そう!そいつのハンターに関する全てが記載されてるからそれを証拠にすれば国の衛兵が調査してくれるはずだ。でも、そいつらの上がコイツらを切ったらどうするよ?」


「そうね…。なら襲撃者はあんたたちじゃなくてこの痺れてる人たちにされたって私が証言するわ。少なくともハンター同士の争いはご法度だもの。あとは衛兵達に任せるわ。そうすればあなた達に調査が及ぶことも当分はないと思うし。ましてや彼らの組織が私を襲うことを依頼したなんて言えないだろうし。」


 エミリアはエリスノーの質問に答えながらレディスに再び顔を向け一つの提案を持ちかけた。


「レディスさん。あなたがちゃんと私の言うとおりに証言してくれたら働き口は私が用意するわ。他の人達もね。どうかしら?」


 レディスは少し考えるような表情の後、首をゆっくりと上下に振った。


「これでまぁ…決着かな?」


 レイスも一連の会話に納得したようで軽く笑顔を見せた。


「それで、いつまでこの魔法を展開し続ければいいでしょうか?」


 ブレがエミリアに確認すると「ごめん。ごめん。」と言いつつ、レディスに耳打ちした後に「もういいわよ。」と合図を送った。

 ブレが空に手を掲げ何かをつぶやくと空間が歪み、再び元の夜空が広がった。それを確認するとエミリアが裏通りの入り口付近に手をかざした。


「【アクアバースト】!」


 その瞬間大きな爆発音が鳴り響いた。そして数分後、衛兵が数名駆けつけ、エミリアとレイスは考えておいた事情を説明した。その間、エリスノー達は物陰に隠れ、痺れて動けない男達を連行していった。


 後日、国と事態を重くみたハンターギルドは徹底的に調査し、レディス達の協力もあって彼らのリーダーらは逮捕。グループは解散命令を受けたのだった。


 連行されていく男達を見送った後、エミリアは隠れているエリスノー達に合図を送ると二人は物陰から現れた。あらかじめ、いまだ夢の中の彼らの仲間は衛兵に見つからないように4人で隠していた。

 

「じゃあこれからよろしくね!」


 エミリアが元気よく声をかけると複雑な顔を一瞬したもののエリスノーとブレは軽く頭を下げた。


「仕事とは言え、迷惑をかけた。それに結果として助けられた。恩に着る。」


「そうね。迷惑はかけられたわ。だからしっかり働いてね。」


「ああ、俺達は約束した限りは途中で裏切ったりはしない。それは信用してくれ。」


「ええ、頼んだわよ。」


 二人の会話に割ってレイスが口を挟んだ。


「ところでエミリア、そろそろ教会に行かないと行けないんじゃないか?」


 エミリアは慌てて駆け出し、それ続くようにレイスも走り出した。


「5人とも明日のお昼頃にカノープスに来て。」


 エミリアの声が響く頃には二人は闇に消えていたのだった。



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