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22.そして彼は画策した

 動くべきか、動かざるべきか…


 その判断が監視者達にとって命運を分ける選択であった。そして彼らは動かなかった。それは彼らがハンターとして中堅と呼ばれる経験値を積んでいたから……

 焦らず、冷静に、現在起きている状況を見定める。監視者達は打ち合わせることもなく、全員が互いに背中を預け合い、円形に待ち構え、目の前の剣士と片腕の男に注意を払いながら、エミリアを探す。


「こんなにうまくいくもんかね。」


 片腕の男、エリスノーの言葉が監視者たちに届くと同時に彼らを足元から頭の先まで光が走った。


「クソお!!」


 なんとか監視者の一人が叫ぶも、全員がその場で膝から崩れ落ちる。そして距離を取っていたレイスとエリスノー、そして倉庫の陰に隠れていたブレとエミリアが彼らに近づいた。


「ふーん。なるほどね。」


 エミリアはその場で動けず口を僅かにパクパクと動かす男達の何人かの顔を確認しながら納得したような表情でその周りを歩く。


「見覚えがあるんだな?」


「ええ、残念ながら一緒に仕事をしたハンターもいるわ。」


 レイスの問いにエミリアは立ち止まり、中年風の男を見下ろしながら答えた。


「そうよね。【プロキオン】のレディスさん。」


 レディスと呼ばれた中年風の男は観念したのか、おとなしくエミリアを見つめる。


「あの…、レイスさん。あなたも何か魔法を使われたのですか?」


 ヴレは信じられないと言った表情で監視者達を見つめる。


「いやいや、たまたまですよ。それにお二人も協力してくれたので成功しました。」


 レイスにとってこの答えは謙遜でも無く事実だった。一つでも間違えば自分が死んでいてもおかしくない。そんなギリギリの作戦であった。


ー数分前ー


「ちゃんと教えてくれないか?」


 エリスノーはレイスの「死んでもらう」という言葉に顔色を変えず、聞き返す。


「全然驚かいないんすね?」


「仕事柄、その言葉が嘘か本当かある程度予測は…そんなことより」


 エリスノーは話を戻す為の合図として小さく咳をする。


「じゃあ時間もないんで…、まずエミリア、俺の髪型を君と同じにできるか?」


「まぁ、それくらいなら魔法でできるけど?」


 エミリアは突飛押しもない質問に少し驚くが、レイスは構わず、続けて作戦をせつめいする。


「よし。それならエリスノーと俺は目立つところで餌になる。それでエミリア…」


「また、あたしなの!?」


 エミリアは話が振られると思っておらず大きな声を出す。ただ、レイスの考えたこの作戦はほぼエミリア頼みだったのだから仕方ない。


「なにか…罠みたいな魔法は使えるか?攻撃するというより、相手の行動を封じるみたいな…」


 エミリアは少し考え、レイスに提案した。


「相手の動きを封じる…それなら一つ、【パラライズ】っていう全身を痺れさせる魔法なら、その魔法陣を踏んだ相手をしばらく痺れさせられるわ。でも私の得意な魔法じゃないから少し時間もらうけど。」


「どれくらい必要?」


「そうね、効果範囲と効果時間によるけど十数人を一時間程度痺れさせるなら……魔法陣を組む時間で5分くらいかな。」


「それで頼む。」


「そんなあからさまな罠にかかるのか?」


 エリスノーが2人の会話に思わず割って入る。


「意外と気付かないもんさ。路地裏で明かりが少なくて、向こうは作戦の成否をすぐに確認しなきゃならない。それが例え罠かもしれないとしてもな。」


 レイスはしゃがみ、地面を撫でながら説明を続ける。


「しかも、エミリアのおかげでこのあたりはいい感じに荒れてるからな、魔法陣を砂で隠せば…まぁ、わかんないだろうな。」


 今度はブレが心配そうにレイスに質問する。


「でも、監視している者たちが全員集まってくるでしょうか?一人、二人を確認させに行って他は周りの見張りというか警戒をしていれば…」


「向こうが一番警戒しているのは…自分たちの身元がバレることなんだよ。」


 レイスはゆっくりと立ち上がり優しく諭すように答える。


「あんたたちも言ってたろう?バレたら駄目だって。それはあんたの依頼人と同じなんだ。しかもそんなに仲介は挟めない。挟めばそれだけ弱みを握られて、後々面倒になる可能性が高くなるからな。ならここにその依頼したグループのメンバーが確認に来る可能性が高い。なら一人でもバレたら終わりなんだよ。」


「つまり、数人で確認させに行ってそれが罠だった場合、その数人から身元がバレて逃げられたら終わりってことか。」


 エリスノーが手を顎の下に置き、納得したように頷く。


「そういうこと。確かに監視してるやつらが全員来ないとは思うけど、それでもかなりの戦力を削ることはできると思う。しかもこっちにはブレさんの魔法で空間内の人間の数も分かる。だからブレさんにはさっきと同じ魔法を監視者が釣れたらかけて欲しいんだ。」


「でも、それだと私たちが裏切った場合、あなた達が…」


 ブレが重ねて質問するが、レイスは静かにマヴロ達を見るだけであったが、彼女にはそれで十分であった。


「なるほど…わかりました。」


「ただ、エミリア、君にはブレの魔法が発動する前に外に出てもらう。それなら2人が裏切ったとしても君なら逃げ切れるだろう?」


 レイスがエミリアの方を向き、保険の提案をするものの、エミリアの地雷を踏み抜いたようだった。


「冗談じゃないわ。私は残るわよ。」


 レイスはその答えに苦笑いするしかなかった。

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