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17.そして彼らは相対した

 まず最初に反応したのはエミリアの魔法を受けてまだ立ち上がれなかった襲撃者だった。


「エ、エリスノー!!」


 少しハスキーな女の声が通りに響いが、制止するようにエリスノーと呼ばれた男はフードを脱ぎ、残った片手を血の流れる切り口に当てる。


「塞げ【ステイル】」


 切り口が小さく光ると皮膚が伸び、切り口を覆った。

 エリスノーは油断していたわけではない。相手の指先の些細な動きにまで細心の注意を払い、目の前の男と対峙ししていた。

 しかし…あまりにも()()()()()だった。

 まるで息をするように…前後の動きに全くの無駄がなく、自分に対する攻撃があたかもそうすることが当たり前の行動のように思えたのであった。


「ブレはこっちに来い。二人でコイツをやるぞ。キトリノとモヴ、マヴロの三人はエミリアをやれ!」


 荒い息を整えつつ、エリスノーと呼ばれる男は片腕を抑えながら、指示を出し、先ほど叫んだブレと呼ばれる者も立ち上がり、彼の隣に並んだ。もう一人も立ち上がり、エミリアを囲む輪に加わった。


 エリスノーと呼ばれた男は浅黒く、スキンヘッドの頭には何かの紋章のようなタトゥーが刻まれており、奥まった瞳でレイスを睨みつけている。


「一つ確認だけど…ここで手を引いてもらえないかな?」


 レイスは剣を素早く下に振り、剣についた血を払いながら提案したが、もちろん聞き入れられるわけもなかった。


「それはできねぇな。悪いが、あんた達はここで死んでもらう。俺達の生活のためにな。」


 エリスノーは片手でコートを脱ぎ捨てる現れたのは粗末なシャツでは覆いきれない鍛え上げられかつ引き締まった筋肉を持つ体であった。


「エミリア、そっちは任せて大丈夫かな?」


 レイスは構えを取り直し、エミリアに聞く。


「問題ないわ。ロアウルフに比べればね。」


「そうか」とレイスは小さく頷くとその目線を目の前の男に移す。もう先程のような不意打ちは効かないだろう。…ただ一つ、違和感がある。あの隣に立つ女…たしかブレと呼ばれていた。こちらに加勢に来たはずなのに全く自分にに対して敵意や攻撃する意思を感じない…


 レイスは確かめることにした。……ブレに向けて一直線に突進をかけたのであった。

 しかしそのブレの前にエリスノーは立ちふさがり大きく腕を振りかぶり向かってくるレイスに向けてめいいっぱい殴りつける。

 レイスはこうなる可能性を考え突進していたので避けるのは造作もなかった。それなのにレイスは剣を持った左手を大きく引き、構わず突っ込み、拳に向かって渾身の突きを放った。


「ガシャン」と、金属と金属がぶつかり合う大きな音が響く。


 剣は確かに拳を捉えたが、その拳は鉄のように鈍い銀色をしていたのだった。そして剣を払うと再び浅黒い色へと戻っている。


「なるほどね。」


 レイスはバックステップをしながら距離を取りつつ。ある程度の仮説に自信を持ち始めた。

 やはりあのブレという女は攻撃する気がない。その気があるなら攻撃をエリスノーが受け止めた時に何かしらの動きを見せるはずだがそれがなかった。

 それとエリスノーの能力…素手で地面を割るほどの力なんて元の世界にはいなかった。にも関わらず、難なく不意打ちで腕を切り落とす事ができたが、今回は止めらた……ということは何らかの魔法か。

 自分の皮膚を鉄のように硬化、もしくは鉄そのものにする魔法だと仮定する。そしてそれは常時発動していることはできず、意識して一定時間しかできないと考えていいかもしれない。でなければ襲ってきた時からずっと使っているはずだから…


「なぁ、エリスノーさん。質問だけど…それってなんの魔法?」


 まるで雑談の延長線上のような聞き方をするレイスの質問に対して思わずエリスノーは驚いたが、すぐに警戒心を強めた。


「手の内をバラすバカがどこにいるんだよ!」


「だよね。」とレイスは再び構えを取る。狙うはブレの方だ。自分も経験があるが、何かを守りながら戦うというのは難易度が上がる。ということは隙も付きやすい。それにあのブレの存在もレイスにとってはノイズのように気になっていたのだった。


 一方、エミリアの方は囲まれてはいたものの一向に襲ってこない襲撃者たちにうんざりしていた。


「どうしたの?襲ってこないの?じゃあこっちから行くわよー」


 エミリアは誰に言うでもなく三人に問いかけたが、動きはなかった。しかし、エミリアはすでに三人を倒す準備を終えていたのであった。あとは向こうが仕掛けてくれば終わるのだが…


「ガキン!!」


 金属音の鳴った方にエミリアは気を取られた。そこには渾身の突きを受け止められているレイスが映った。


 エミリアが気を取られた瞬間、長い爪がエミリアに向かって襲いかかる。すぐにそちらに注意を向けたが、すでに目の前までやってきている。そしてもう一人はその後ろから迫り、残った一人は魔法を放つように手を掲げている。



「やっと釣れたわね。あんまり待つのは好きじゃないの」


 エミリアは優しく微笑んだ。


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